電気の沢(荒井川) 遡行(北大雪・ニセイカウシュッペ山)  ■Home
2008年8月上旬 登り4:05 下り0:35 メンバー多数
車止め6:20→入渓6:25→11:30遡行終了c870m小沢→12:05車止 (休憩含)


昨日とは一転し朝から青空の広がる銀河トンネルの駐車場でメンバーの到着を待った。 石狩川と国道を挟むように高さ200m前後の断崖と柱状節理が並んでいる。 少し先から「電気の沢」が見えるというので行ってみると断崖の一角を侵食した深い渓谷が奥にあった。 あの中に入るのかと思うとまさに鳥肌の立つようなゾクゾクする景観だった。 さてメンバーが揃い国道の脇から急な作業道を車で登ると直ぐ行き止まりだ。 右岸に続く道を出発すると狭い木枠の階段状となり続いて沢に太い丸木橋が2つ掛かっていた。 まさか沢屋のためでもあるまいに何の橋かは知らないが踏み板が外れ川床まで高さがあるからあまり良い気持ちがしない。

電気の沢入口、F1を登ってるグループが見える     直ぐゴルジュが始まり微妙なへつりで越える      濡れた岩も苔も良く滑って気が抜けない
すこし先に釜を持ったF1・10mが見え右のクラックから先行する3名がザイルを延ばしていた。 後で分かったが札幌で新進の労山グループだった。 かなり厳しそうな滝でハーケンの打つ音が聞こえるが我々は問答無用で左岸を高巻いた。 ただこの高巻きも飛び出た崖を伝うなど慎重に上り下りせねばならず時間を要した。 F1の滝上へ降り立つと多人数の我々の方が先になり大きな巨岩帯を登っていよいよゴルジュ帯に突入する。 すぐに大きな釜が待ち構え初っ端から手強いが躊躇ってる暇はなくへつって滝上へ抜けた。 上と下で確保し一人づつ登ったがこんだけ人がいると沈するメンバー必然であり気が抜けない。 狭いゴルジュの両岸は相当な高さでくねった淵に入ってからは天窓のような空しか記憶が無い。 折角撮った写真も大方ピンボケでとても残念だった。 高巻く手段も撤退も許されず次々と現れる滝・釜・函を微妙なへつりで突破するのがこの沢の醍醐味である。 だが滝は必ずといっていいほど深い釜を持ち白濁したさらしや轟音に思わずたじろんでしまう。 初見の身には次に何が出てくるかドキドキの連続で想像通りの厳しさを感じた。 だが今回はこの沢に熟練した北見山岳会との合同であり安心感があった。 左岸をへつり足のつっぱりで滝を登る場面では短足の自分には堪らず沈してしまった。 旨く水中に落ちれば怪我しないでリトライできる楽しさはあるが自力で登れるメンバーでなければ辛い。
     
樋状の滝口、いぶし銀のテクニックで突破      薄暗いゴルジュの中は釜と滝の連続だった      空が見えてきたぞ、そろそろ終わりかな
次の滝も深い函の先に勢い良く水が落ち泳いで取り付くには手強そうだった。 右岸の高みに古い鉄杭が打たれへつりで越えるようだが外傾した足場と高さが何となく厭な所である。 そこでこの杭にザイルを掛け振り子のようにぶら下がってみると案外うまくいった。 とにかく連携し色んな手段を使って次々と関門を突破して行くのが面白い。 ザイルを出す場面もそれなりに多く回収に時間がかかるから何本あっても足らない程だった。 ゴルジュの中でいったい何時間経ったろうか? 夢中になって休みも取らずと言うか落ち着いて休める場所もなかったが漸く明るくなってきた感じがする。 沢幅が少し広がり岩壁にふさふさした苔がビッシリ生え数時間ぶりに目に映る緑が新鮮だった。 高さは苔の洞門の数倍はあり全く言葉で表せない感動を覚えた。 苔が滑る大岩を脇から這い上がればこれで終わりかと思ったらまだ気が早かった。 ゴルジュは明るい雰囲気に変わったがへつりは続きやがて何事も無かったかのような平凡な渓相になった。 下りは送電線保守の刈分け道を帰るのだが何処まで奥に行くのかと思ったら沢が大きく左に曲がる辺りの枝沢を登った。 登り詰めると刈られたばかりの作業道と出合い峠まで上がったとたん今度は左の急な踏み跡を下った。 更なる近道らしいがもう何処をどう歩いてるのかさっぱり見当がつかない。 途中から層雲峡のホテルやロープウエイが見えると国道を走る車の音が近づきあっけなく出発地に戻った。 以前この沢で亡くなられた方の慰霊碑は入口にあったらしが大雨で流されたと言う。 遡行距離こそ短いがエキサイティングで満足度の高い沢だった。
     
 身震いするほど見事な苔の回廊に見とれる     日が射して明るくなったがゴルジュ型は続いた    へつりで沈し戻る人、背が立たないから泳ぎは必然

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