札幌は-4度だったがぐんぐん下がり沼の沢に着くと-13度になっていた。
夕張川から川霧が立って凛とした空気の向こうに鬼首山が朝陽に照らされている。
鬼とは程遠い山容だが厄介な一面を持ち合わせていのかも知れない。
まずは橋を渡って取水堤に続く道路の雪を除けて車を止めた。
ぽつんと一軒ある農家に断りを入れると、そこの奥さんが「へ〜うちの裏山に来たのかい、どこから?」と興味深げな様子だった。
畑の脇を横切って目指す尾根に向うと沢沿いに作業道が延びていた。
尾根は思いのほか登り易く、交代しながら新雪をラッセルする。
次第に斜度が増して339を越えると急になり正月で訛った体が辛い。
振り返ると夕張川に沿って紅葉山、沼の沢、清水沢と喉かな風景である。
そう言えば時々古ぼけたピンクテープを見掛けるが夏道でもあったのだろうか?
漸くして山頂からの北尾根に出ると<雨霧山塊>とでも言うような山並みが目に入った。
すぐ北に無名峰630mが構えて鬼首山より高そうに見える。
そして細い尾根を30分ほど辿った高みにブリキの山頂標識が掛けられていた。
木々の間に分かるのは夕張岳と冷水山くらいで遠くは日高山脈だろう。
帰りに同じルートを下って先ほどの農家を通ると今度は玄関先におばあちゃんが待ち構えていた。
「わしも若いとき登ったことあるんだよ」「へ〜どこから、道でもあったのかい」
「なーに、裏から藪を漕いで登ったんだよ、うちの屋根が見えたっしょ」・・
元気なおばあちゃんにタマゲました。(ルートは国土地理院の点の記を参考)
後日、山の由来を聞いた紅葉山出身の藤井さんより「実は記憶が少し曖昧で失礼しました。正しい
<鬼首山の伝説>は
こちらにあります」との連絡を頂きました。なるほど内容はあらかた違わないが面白い言い伝えだと知りました。
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