戸蔦別川カタルップ沢〜神威岳(遡行)  1756.1m(北日高)  ■Home
2006年9月下旬   総時間9:25(休憩含) 標高差1076m メンバー3名
カタルップ橋7:30→c1030二股(9:35-9:55)→神威岳(12:12-12:32)→c1030二股14:50→カタルップ橋16:55

土曜日にカタルップ沢から神威岳へ登り、日曜日は五の沢からチロロ岳の1753m峰を登る予定でganさんと話が決まる。 神威岳はGWの縦走で北東尾根から登り眺望に恵まれた良い思い出があるが沢からは初めてである。 ここの記録は「山と谷」にも無くどうやら一部の沢好きにだけ知られているようである。 「あまいものこ」さんや今回同行する「マイソアラ」さんのHPを見ると相当の面白さが期待できツアー会社が募集してるくらいだからたぶん外れは無いだろう。 日が短いこの時季に早出するのは当然だが3時半の待合せは流石にきつく寝た気がしないまま札幌を出発した。 朝焼けの日勝峠を快調に飛ばし途中で久々の俊一さんと合流して二台で戸蔦別川へ向かう。 林道を16km進んだエサオマントッタベツ川出合いに車が数台停まっている。 赤テープが張られ一応終端となっているが更に草の被った林道を進入してカルタップ沢出合まで車を入れる。 俊一さんに沢の印象を尋ねると「難しさはガケの沢より確実上、豊似川右股よりやや上かな?」と首を傾げながら言うからまっ何とかなるだろう。

入渓していきなり滑・滑滝に圧倒される        苔が付いて綺麗 思いがけない美沢に感激する       F1この上からぞくぞく滑と滝が現れる
絶好の秋日和にせかされ早々に身支度を済ましてカルタップ橋から入渓する。 いきなりのっぺりしたスラブ状二段の滑滝が目に飛び込み思わず声が出る。 水量は少ないがツルツル滑って中を行けず潅木を伝って滝上に登る。 黒々した岩盤に白い帯模様が入る一枚岩は良く滑り足元の緊張が解けない。 今日はフェルトの渓流靴にして正解だった。 ganさんのスパイク地下足袋では全く歯が立たず気の毒な程である。 北面の沢で日が入らぬせいか暗い感じがするが滑や滑滝が交互に現れ素晴らしい渓相をしている。 いつも滑は大歓迎だがこの沢に限っては帰りのことを考えると悩ましいものがある。 970mで幅広の大きな滝12b F1が現れ左岸から高巻く。 この滝は下から見るとホールドがあって登れそうな気がしたが滝口がツルツルの一枚岩で良い感じがしない。 1020m二股は左右とも小滝が合流し初めて休憩を入れる。 本流は右だが左も期待できそうな雰囲気である!  まだ誰も入ってない沢かも知れずなんだか気になった。 いつの間にか岩盤は黒色から茶色に変わり違う沢にでも入ったかのように両岸が高く狭まって小滝の連続となる。 1140mでのっぺりした40mにも及ぶ大きなナメ滝 F2が現れる。 右岸の乾いた岩を選んで登っていくと上が急な草付き斜面でズルズル滑る。 バイルを取り出すのが億劫で先行する俊一さんからお助け紐を貰った。 帰りは左岸の潅木を伝って滝の中間まで下り傾斜の緩んだ流れを飛んで右岸に渡ると難なく下まで降れる。 小滝が連続し一つ登るとすぐ次が待ってる感じで全く休む暇も無くグングン高度を稼ぐ。 1250mにある三段12m F3は狭いルンゼ状で小粒ながら遠目には垂滝のように見える。 滝の下に入ると中は意外に手掛かりがあって直登できるが下りはザイル2本繋いで一気に懸垂した。 そして標高1350の40m F4もルンゼ状の中を水がジグザクに流れインパクトがある! 水心から離れず直登し最後だけ左岸から巻いて滝口に上る。下りは中間より懸垂した。 大きな滝はこれが最後で小滝そしてガレ沢を暫く詰め標高1600m過ぎで水を汲む。 ありがたいことに沢型がずっと続き軽い籔漕と僅か十数bのハイマツを越え稜線へ上る。 ハイマツの中に鹿道が延びてるがエサオマンまで続いてるの訳ないか?  初ピークを踏むganさんの足が早くなり僅か数分で大パノラマとは対照的に質素な山頂に到着した。
     
1020m直登沢出合、左の沢も気になるな〜       ルンゼ状の滝また滝、楽しさと緊張が続く     40b F4 次々と試されてるような気になる
やはり神威岳からの眺めは一級品だ! 北は紅葉に色ずく伏見岳〜ピパイロ〜1967〜戸蔦別岳そして幌尻岳の東カールがでかく。 南は何と言っても北カールを抱いたエサオマンが格好良く後ろの札内岳もどっしり構え見飽きることがない。 暫くゆっくりしたいが長居も出来ず急いで小腹を満たした。 なんたって下りに結構時間が掛かりそうだがヘッ電を付けてあの滑を降りたくない。 用心して大小ザイルを5回出し滝の核心をやり過ごした。 一度下流の滑滝を潅木に捕まって降りる時にヒヤットすることがあった。 先に下るganさんが樺の枝を揺すったところ根元の幹に挟まっていた大岩が抜け落ちたのだ。 背後から大声を上げるとganさんが反射的に身をかわしかすめるように岩が落ちていった。 もし当たっていれば大怪我だったろう。 勝幌の枝沢でもこれに似た経験を思い出したが人の入らない沢は不安定な石が多く注意が要る。 ようやく入渓した橋が見え気が抜けたのかズルッと滑り臀部をしたたか打ってしまった。 全く最後の最後まで気が抜けぬ沢である。 前半の滑そして後半の滝が短い間に凝縮し飽きることがないが甘くない。


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