神威岳〜エサオマントッタベツ岳〜札内岳〜十勝幌尻岳 残雪期縦走  ■Home
 1741m〜1902m〜1896m〜1846m (北日高) 
2006年5月上旬 行動時間33:05(休憩含)
1日目(晴れ):札幌19:00→戸蔦別林道C0・23:30
2日目(晴れ):戸蔦別林道5:20→幌後橋6:05→トツタベツヒュッテ6:30→びれい橋8:55→北東尾根9:50→1580mC1・15:50
3日目(晴れ):C1・5:25 →神威JP5:45→神威岳6:10→エサオマントッタベツ岳10:20→札内JP11:40→札内岳16:20→C2・16:35
4日目(雨後曇り):C2・6:10→十勝幌尻岳(11:40-12:15)→オピリネップ川15:25→幌後橋16:35→車17:35

GW山行で北日高を縦走してきました。 メンバーは山の仲間3名と神威岳に憧れ続けていたというSさん御夫婦をお誘いして5名である。 計画ではSさんの経験を考慮し3泊4日としたが心配は杞憂に終わった。

 林道歩きが一番辛い、さあ頑張って行こう!    北東尾根中腹、神威JPはもう一息だがペース上らず   大型テントで中は快適、ロケーションもGood!

 5/1 19時、3名で札幌を出発する。 戸蔦別林道の除雪最終点は非情にも最終人家でヒュッテまで車で入る読みが見事に外れた。 Sさんは既に車で就寝中、急いで予備のテントを設営し安着祝いして就寝する。 明日は13kmの林道歩きが待っている。

 5/2 快晴、4時00分起床、4時50分S夫婦が早々とワカンで出発し3名は5時20分スキーで後を追う。 林道は数箇所地面が出ていたが早朝は雪が固くスキーもワカンも歩く速さはさほど変わらない。 帰路合流する幌後橋でスキーをデポしトツタベツヒュッテでようやくSさんに追い付く。 時間と共に雪が軟くなりペースが落ちたものの林道歩きで4時間半、予定よりだいぶ早く北東尾根に着くことができた。 この調子だと楽に神威岳の肩までテントを上げれると皆意気揚々だ! 北東尾根は出だし急で昨日のツボ跡を登るが30Kg近いザックにふくらはぎが鳴く、 中腹部からは次第に傾斜は緩くなるがズボズボに嵌ってペースが上がらない。 次第に望まれる札内岳やエサオマンが慰めで後方に妙敷山と伏美岳、ちょこんと頭だけ見える十勝幌尻岳は遥かに遠い。

   
北東尾根のテン場から左を見ると札内岳にエサオマン北カールがとっても綺麗だ     右を見ればピパイロ岳に伏見岳と妙敷山が望まれローケーションが良い

15時50分予定より上の神威岳の肩手前1570m平坦部にブロックを積みC1とする。 テン場からは北・北東両カールを抱いた勇壮なエサオマントッタベツ岳とその急峻な吊り尾根を眺める。 山の上で寛ぐこの時間が何とも言えず好きだ。 今日は南極から帰国し2年振りに山に入るFさんの為に日本酒を持ってきた。 夕食の鮭鍋をつつきながらほろ酔い加減のFさんから出た言葉は「アイゼン忘れた」エッ!一瞬言葉を失う。 「固かったらピッケルで崩して行くしザイルもあるから大丈夫」こちらの心配をよそにFさんは至って暢気だ。 逞しいFさんの言うことだ何とかなるだろう。20時30分就寝

 5/4 晴れ、3時35分起床、朝食雑炊、5時25分出発、雪は固くテン場から僅か25分で国境稜線に出る。 目の前に白い峰々が飛び込んでくる。やっぱりGWの日高は堪らない景色である。 重いザックから開放され空身で神威岳に向かう。 今年は雪が多く名だたる山々が真っ白に輝いている。 特に神威岳から幌尻岳や戸蔦別岳の眺望は殊の外素晴らしく、これを眺めただけでも苦労して登った甲斐があった。 神威岳からエサオマンへ国境稜線を南下するとテント跡にザックがデポしてある。 稜線上は雪庇の割れも亀裂も少なくが雪庇に近づかぬよう注意して歩く。 最低コルからエサオマンまでいよいよ400mの登りで山頂ピストンの単独者と擦違う。

     
神威JPから中央の神威岳をピストンする       エサオマン吊り尾根、Fさん果敢にもワカンで挑む!? 山頂から札内JPへ、左は北東カールのキレット

真っ白な北カールは何と綺麗なこと、染み一つ無い美しい淵を登って行く。 肩への吊り尾根はビッシリ雪で覆われ捕まるハイ松も無く滑ったらカールの底に吸い込まれそうだ。 幸い雪面を蹴り込むとステップを刻めるのでFさんも問題なさそうだ。 カールから飛んでくる氷の粒に容赦なく右頬を叩かれ後ろのSさんも緊張の面持ちで登ってくる。 肩を過ぎると斜度が緩み神威岳から約4時間、岩と地面の露出したエサオマンの山頂に到着した。 初登頂のメンバーもいて暫し休憩するが明日崩れる天気と良いテン場を考えるとゆっくりもしていられない。 今日中に札内岳を越えるかどうかで2泊か3泊の分かれ目だが予定内なのであとは成行き任せだ。 札内JPから国境稜線を外れ東の支稜線に入ると予想以上に稜線が痩せコブが多く途中の岩場でザイルフィックスし十勝側の潅木帯を巻いた。 しかし去年のカムエク〜コイカクに比べればかなりましだ。 カムエク方面に目をやるとスケールの大きい十ノ沢・九ノ沢カールと去年踏んだ1903峰がどっしり聳えている。 険しい国境稜線が累々と続く長大な日高の山並みが広がっていた。 途中でワカンの故障もありエサオマンから4時間40分で札内岳に着く。 山頂から少し下がった処には以前なかった看板が掛かっていた。 日高の山には少し不似合できっと誰かが目立たぬ位置に移したのだろうと思ったが写真を撮ると見事にカムエクがバックに入り感心する。 1586mの平坦部をテン場にしたかったが贅沢を言える時間ではなく山頂から50m降った斜面を均しブロックを積んでテントを張った。 風がテントを揺らし明日の天気が気掛りだがそれほど酷くなければ下山できるだろう。 ラジオの予報では9時過ぎから雨で逆に諦めが付き安心して飲み始める。 夕食はソーセージの煮込鍋、各自持ち寄った酒ですっかりチャンポンだ、雨より二日酔いの方がよほど怖い。 21時就寝する。

     
札内JPから札内岳を目指す。この間の稜線狭い    エサオマンと幌尻岳、戸蔦別岳 極上の眺めだ    常に視界にあった札内岳がようやく近づいてくる

 5/5 曇り後雨、4時20分起床、朝食はちからラーメン、6時12分出発、外に出ると高曇りで稜線もすっきり見えている。 昨日までの朝の寒さは無く遅かれ雨の予感がする。 今朝は出だしから右にキネンべツ沢、左にピリカペタヌ沢の源頭を見ながら急斜を降る。 幸い雪がガチガチでなく降りやすかったがアイゼンは数歩で団子になった。 勝幌までの稜線は雪庇が大きく要注意だがコブの乗越に気を使う程度で後は概ね歩き易くテン場には困らない。 1710ピークを我慢して登れば先の様子も分かるだろうが10時前いよいよ雨が降ってきた。 黒い雲が空を覆い雨は簡単に止みそうも無いが幸い雨量は少なく行動を続けた。 問題は雨より風だった。勝幌山頂が近づくに従い風が強くなって身を縮めながらの登高となった。 頂上ポール下のテント跡に積まれたブロックを風除けに休憩するが濡れた体が冷えて長居は無用である。 視界の効かぬ中、烈風から逃げるように下山すると何とロストポジションする・・進路を西に誤ったようで山頂に一旦戻る。 ブロックの陰で地図を見直し北尾根を30分程下った処で大休をとった。 小腹を満たしホットブランデーを飲んでようやく生きた心地になる。 夏尾根を過ぎた1565mポコから東尾根を下ると風が止み後はズボズボ下るのみだ。 このGWに十勝幌尻岳まで結構な人が入ったのか斜面は穴ぼこだらけだが登りは相当のアルバイトを強いられそうだ。 急な樹林帯で格好のスキー斜面でもあり厳冬期にいいかも知れない。 オピリネップ川で丸木を渡り更に一度靴のまま渡渉して林道へ出た。 デポしたスキーを履いて17時35分ようやく車に到着する。 皆んな疲れきった様子だがきつい縦走を終え充実感で一杯、新嵐山でさっぱりして解散する。

   
正面にカムエクが鎮座する、かつて辿った陵線だ   左端に見える勝幌まで1710ピークの登りさえ我慢すれば後は一見楽そうだったが、そうはどっこい問屋が卸さない


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