ユウトムラウシ川〜トムラウシ山  2141m  (新得町・美瑛町)    ■Home
    2015年8月22-23日 曇り後時々晴れ/晴れ後曇り 4名
    5:30野営場→6:35入渓820m→11:20F1・1270m→14:55最終滝1600m→15:10湿原C1・1630m
    5:15C1→6:10縦走路→6:25三川台分岐→8:05南沼分岐→(8:45-9:00)トムラウシ山→11:40コマドリ沢→14:15短縮登山口

週末は十勝川の源流の一つ、ユウトムラウシ川からトムラウシ山を予定した。 ユウトムラウシとはアイヌ語で「温泉の水垢がある所」の意味、 登山基地にもなっている東大雪荘を終起点にぐるっと周回する計画である。 期待するような渓ではなさそうだが三川台から見下ろす源頭はまさにカムイミンタラを彷彿させる景観でちょっと楽しみである。

寝不足のままひっそりしたトムラウシ野営場を出発、沢沿いの林道を辿るとすぐ崩壊地になる。 草茫々の道を更に奥まで進むと沢から離れ出したので適当に入渓した。 ユウトムラウシ川はどちらかと言えば川と表現したい広さで雨が続いたせいか水量が多く感じられた。 坦々としたゴーロの沢だが川幅が狭くなると徒渉で苦労し、流木などで時間が掛かる。 ただ両岸から垂れる滝は大雪山らしいスケールで、やはりその辺の沢とは違うなという感じである。 標高が上がるとガスの中に入り、今日も明日もただの苦行になりそうだ。 そして水量が減って歩き易くなった頃に大きな滝が出現、2段15mあるこの沢の核心だった。


一段目10mは結構立っている。 中段までは狭い岩棚から登れるがその上がフェイス状でバランス良く登らねばならない。 念の為にハーケンを打って身を引き上げた。 ハーケンは残置し、二段目5m(写真中)を登って滝上に出るまで1時間近く掛かったがなかなか面白い滝である。 この滝で少し興奮したのか直後の二股を見逃してしまう。 間違って入った右俣でつい夢中になり、次の二股で漸く気が付いたがこのまま突き進みたくなる渓相だった。


戻った本流も小滝・中滝が幾つか続き、沢登りしてるなって気になってくる。 F1以降では7mが一番大きな滝(写真右)だったがハングった側壁をショルダーで登った先行からザイルを貰う。 滝は誰か一人が登ればパーティーとして勝ったも同然、全般に滝の数は少ないものの登れるものが殆どでそれなりに楽しい。


沢中の大岩が収まると空が広がって後ろに饅頭の様なツリガネ山が望まれた。 次第にガスが上がって時折り日も射し、沢沿いの草地に咲くコザクラやツガザクラ、キンバイが源頭近しを思わせる。 1600mで最後の滝(写真中)を超えると沢は庭園の中を左にカーブし、遂に源頭の入口に到着したようである。


そこかしこに花が咲いて解放的な光景だが再びガスってしまった。 c1630mの左岸に平らな草地が広がり、ウサギギクとヨツバシオガマの花畑にテントを設営する。 「明日もガスだったらここから稜線に上がり、トムラウシの山頂もパスして帰ろう」ということになった。 15時半から一杯やって19時に就寝、 暑くも寒くもなく快適な眠りにつく。


翌朝、外に出ると晴れていた。 カムイサンケナイ川源頭の1898と1794ピークがシルエットになってなかなか格好良い。 沢の水は澄んで冷たく、朝露に濡れた水草に咲く白い花が可愛らしい。 みんなたっぷり寝て昨日よりすっきりしている。 湿地の中をゆったり蛇行する沢沿いに青々とした池塘が点在して何とも心地よい風景が広がっていた。


湿原の奥はトカチフウロやシナノキンバイ等の花畑になって写真を撮りながら歩く。 目指すは左奥の一番緩やかな稜線で近づくと不意に小さなテン場が・・・ そこから踏み跡を辿ると呆気なくオプタテからの縦走路でラッキーだった。 三川台からの道のりは左に黄金が原、右の眼下に辿った湿原を見下し、 足元にトリカブトやリンドウ、イワギキョウなど秋の花が一杯で幸せな気分になれる。 天気が回復しくれて本当に嬉しい。

          

大小の池塘が点在する湿原はまさにカムイミンタラと呼ぶに相応しく、 数ある秘境の中で最も手つかずな場所ではないだろうか。 テントの場所や歩いたルートを目で追いながら一人悦に入る。          

          

1280mの二股で間違った支流を詰めるとこの源頭に出る。 あのまま突き進んだら沢中でビバークだったかもしれないが源頭はすっきりして何処からでも登れそうである。 オプタテと十勝岳が少しずつ姿を見せ始める。 ツリガネ山の前衛がやけに尖がって興味をそそり、その谷間を流れるユウトムラウシ川は雲海に覆われていた。          


たらたら歩いて誰もいない南沼キャンプ場に到着、テントや濡れた物を広げて乾かす。 山頂は大賑わいで雲海の上に山々の展望もまずまずだった。 間もなく北海道を離れるauruさんの最後の山行だったが満足した様子、どろんこと長い尾根道に閉口して下山する。 東大雪荘でサッパリ、露天の下に元気一杯のユウトムラウシ川が流れていた。







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