GW前半は後芦別山群と呼ばれる山々の中で唯一取り残しの小天狗岳を予定した。
夕張山地主稜線の裏に隠れた二つのピーク(1263m・1272m)を小天狗(岳)と呼ぶがくさびの様にそそり立つ山容が印象的である。
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太陽の里で前泊し、ゲートから硬く締まった雪道を出発した。
流木の架かった十八線川を徒渉して沢形を登ってゆく。
やはりスキーにするべきだったと思うほど残雪が多く、槙柏山と御茶々岳の雪付きからも少し時期を早まったようだ。
途中、松籟山に向かう単独者が軽い足取りで抜いてゆくがあまりの軽装に驚く。
主稜線のコルからはアルペンチックな夫婦岩と端正な夕張中岳の眺めが良く、御茶々岳手前の藪を巻いて極楽平に向かった。
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極楽平から西尾根を辿ると分岐コブの左に南峰が見えてくる。
更にコブをトラバースすると北峰(写真左)が見え出すがどちらも雪が多く手強そうだ。
コルから見上げる北峰は山頂部のハイマツ以外はほぼ雪に覆われていた。
アイゼン・ピッケルで急斜面を慎重に登ってゆく。
滑落しても谷底まで落ちることはないと思うと幾らか気が楽になる。
急斜面から垣間見る南峰(写真中)にやや不安を抱きながらハイマツを攀じ登って北峰ピークに到着した。
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【小天狗北峰から南の眺め】ピークの北面は足元がすっぱり切れ落ちていた。
そして後芦別山群の山々に目を見張るが南峰を前に気持ちが折れそうになる。
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【小天狗北峰から北の眺め】南北に連なる夕張山地主稜線とそれに並行する第二列の山脈の様子が良く分かる。
源頭越の中天狗も岩壁を擁した山容で、前に沢から登っているが山頂から見た小天狗岳の記憶が定かでない。
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分岐コブの北を巻いて南峰に向うと先程の北峰(写真左)が奇峰の様に立っていた。
吊り尾根にザックをデポして尾根(写真中)に取り付く、左右の斜面は急で特に右側は谷底まで落ちている。
岩は左から巻くが厭らしい雪庇もあって緊張の登行となる。
騙し騙し登るとこちらも最後はハイマツで頂に色褪せた赤布が結ばれていた。
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【小天狗南峰からの眺め】
やや靄っているが芦別岳とポントナシベツ岳、中岳の雄姿が望まれ、遮る物が無い360度の展望に満足する。
さて登りより怖い下りが待っている。
バックステップで下るなど結局ザイルを出すこと無くコルに戻ってホッとする。
充実感で一杯、極楽平から御茶々岳(写真右)を経由してルンルン気分で下山した。
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