花の夕張岳  1668m (夕張市)  ■Home
2012年6月10日 曇り メンバー4名
6:30夕張岳ヒュッテ→馬の背コース→(11:10-11:30)夕張岳→冷水コース→14:30夕張岳ヒュッテ

山開きを前にしたユウパリコザクラの会と地元企業ボランティアによる 整備&清掃登山に特別参加させてもらいました。 「花の名山」として有名な夕張岳はユウバリやユウパリの名が付く固有種が多く、 中でも「ユウパリコザクラ」や「ユウバリソウ」は誰もが一度は見たいと思う絶滅危惧種である。 花期は共に6月下〜7月とされ、 前者は今までに二度お目に掛かっているが後者は盛期を過ぎたものや涸れたものしか見たことがない。 年々温暖化の影響で時期が微妙に早まってきてるようにも思えるが、 今年は雪解けを考えると山開きの後ではちょっと遅いような気がする。 そんな訳で今回は絶好のチャンス到来、大いなる期待を抱いての山行となりました。

          

   
         
早起きして札幌を出発したものの何と夕張で雨になりテンションが一気に下がった。 雨でくすんだ夕張の街に比べ建設中のシューパロダムは余りに立派で、 湖面のはるか上に付けられた国道を疾走、真新しいトンネル、橋に目を見張った。 林道の入り方も随分と変わり、 道の真ん中に埋まって邪魔だった大岩も除去されて何となく違う道を走ってるようである。 小屋前には既にスタッフと協力隊の方々が参集され雨の上がった冷水コースを順次出発して行く、 我々も遅れず馬の背コースから出発した。          

          
         
          

   
         
登山路は濡れた笹が被って鬱陶しく足場の悪い場所もあったが概ね良好である。 やがてシラネアオイの群落が見事な「石原平」に到着、 道脇にはそこかしこにシラネアオイが盛りと咲き、その中に珍しい白い株を幾つも見かける。 空も明るくなって滝ノ沢岳と前岳が近くなり雨の心配は無さそうである。 望岳台で冷水コースからの一個団体を待つが協力隊が遅れてるのかなかなかやってこず、 雪渓にステップを刻み先行することにした。          

          
         
          

   
         
雪渓の中に木道がときどき現われ水流の傍らに咲くエゾノリュウキンカが鮮やかである。 前岳湿原でシソバキスミレやキンバイを愛でながら、男岩、ガマ岩へと進む。 お天気ならこの辺から芦別岳方面の山並みが良いのだが厚い雲の中に隠れ、 夕張岳の山頂も雲が垂れ込めたままだった。 水場は雪渓に隠れ、再び現れた木道を進んでシロウマアサツキとイワイチョウの群生地を通る。 といってもネギのような茎とみずみずしそうな葉っぱばかりで花はこれからである。 「崩壊地」では所々に可憐なユウパリコザクラ(写真左)を見ることができた。 ここから草花の種類が徐々に増え、ミヤマオダマキ(写真右)のつぼみも可愛らしい。          

          
         
          

   
         
湿原を過ぎると登山道は熊ガ峰と釣鐘岩の間を行き雪渓とハイマツの道を交互に登る。 吹き通しが近くなるとキンバイとミヤマアズマギク(写真左)が目を楽しませてくれ、 花に詳しいコザクラの会員の方からここのは夕張固有種だと教えてもらう。 またそこかしこに盛りと咲いてるナンブイヌナズナ(写真右)も これまた花の名山として有名な岩手県の早池峰山と夕張岳くらいにしかないとのことだった。          

          
         
          

   
         
さて蛇紋岩の礫地「吹き通し」に到着するとそこかしこに満開のタカネグンバイ(写真右)が出迎えてくれ、 そして足元にはぽつぽつとお目当ての白い花が咲いていた!  期待に胸をふくらませて来た甲斐があってまさに旬を迎えたユウバリソウ(写真左)と感動のご対面である。 ここにはユウバリソウの他に数種の固有種があるそうだが何ゆえこのような厳しい環境を好むのか・・・ 吹きさらしの砂礫に張り付くように一生懸命咲いてる姿はいじらしく清楚であった。 もう1つの特産種ユキバヒゴタイはまだ小さなつぼみで次の出番を待っている。 どんな花を咲かせるのか楽しみだった。          

          
         
          

   
         
遠望こそないが今朝の雨を思うと登れただけで上等だ、 しかも多くの花に出会え初ピークのメンバーも満足げな様子である。 「吹き通し」「崩壊地」「石原平」には今回新たにロープが張られ ボランティアによる週末毎の監視活動に頭の下がる思いがする。 花を惜しみながらのんびり下山すると小屋前で流しそうめんのご相伴に預かるなど ユウパリコザクラの会の皆さんにはすっかりお世話になりました。 車に乗り込んで林道を下り始めると何と大粒の雨が・・ 今朝通ったばかりの道に不安を覚えながら漸く白銀橋が現れほっとした。 この橋はやがてシューパロダムが完成すると湖の底に沈んでしまうのだが すぐ傍に高い橋脚がにょきにょき作られていた。 これからの変貌ぶりが楽しみな一方、いつまでも変わらぬ夕張岳の自然を願いつつ家路についた。          

          
         










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