湯内川・遡行(雷電温泉〜朝日温泉) (岩内町)    地図はこちら  ■Home
  2012年8月27日 晴れ メンバー2名
  8:40雷電温泉→8:45F1→11:30F6→(13:00-13:25)朝日温泉→14:20雷電温泉

岩内町の市街地からトンネルが連続する国道229号を南下すると義経伝説が色濃く残る雷電岬が見えてくる。 岬の突端には牙のような弁慶の刀掛岩が望まれ、その断崖の一部に湯内川が滝になって落ちてる筈である。 新トンネルが貫通する前までは旧道から入渓したそうだが、 今は取り付が一変し海を泳いで行くしかないらしい。 以前、沢を下って海に出たことはあるが海から登る沢と云うのは初めてだ、 そのユニークさにすこぶる興味をそそられた。


          

   
         
この沢に2度足を運んだSさんに様子を聞いたところ 「ルートは簡単、行けば判る。泳いで滝登れば終わったも同然、岩ぼろいから気を付けて」 と至って明瞭な回答だった。 やっぱり海を泳がなきゃだめか?なら暑い日がいいなと予定を立てたら思いっきり真夏日になってくれた。 既に朝から陽射しが強く雷電温泉傍の駐車場で身支度してるだけで汗だくになる。 もう沢でも海でも何でもいいから早く水に浸かりたい気分だった。 泳ぎの不得手なKさんは蛙の水掻きのような面白い手袋を用意していた。          


          
         
          

   
         
海岸に向うと弁慶の刀掛岩など荒々しい断崖風景が広がり、 ついで足元をすばしっこい舟虫が逃げ回る。 磯のにおいのする潮溜まりを沢靴でちゃぽちゃぽ歩くのは何とも不思議な感じだったが、 岩場を回り込むように進むと前方に30mの高さから簾状の垂滝が落ちはっと目を見張った。 F1か?と一瞬ビックリしたがどうやら隣の沢のようで安心する。 やがて崖が海にせり出し数十mに渡って波がドド〜ンと打ち寄せている場所がある。 どうやら泳ぎのポイントに入ったようだが天然ホールド一杯の崖をこのままへつってみることにした。 4-5m足下から波の打ちつける音が響いてあんまし良い感じはしなかったが最後に 2mほどの高さから砂浜に飛び降りて着地、泳がず第一関門をクリアする。          


          
         
          

   
         
すぐさま赤茶けた釜付20mのF1が現れた。 難しいのは初っ端くらいだと聞いていたがなるほど威圧される光景だ。 取り合えず近寄ってじっくり観察すると、ん!行ける。  まずはスラブ状の右岸を中段まで登ってザイルを出し、 滝音で声が届かないので笛で合図することにして空身で取り付く。          


          
         
          

   
         
頭の高さの僅かな溝にハーケンを効かせるとこれで取り合えず下まで落ちることは無くなった。 岩は確かに脆いが思った程でもなく滝口左へサックリ抜ける。 滝上から下を覗くと流石に足の竦む高さだ、青い日本海を眺めながら一時の満足感に浸った。 ザックを続けて吊り上げハーケンをセカンドに回収して貰う。          


          
         
          

   
         
滝上には旧国道の橋と両側に封印された隧道があり、凄い場所に道路が通っていたものだと感心する。 2002年に湯内川の真下を刀掛トンネル(2,754m)が貫通するまでここから入渓したのではないかと思われる。 歴史を感ずる廃道と橋の下から覗く風景が面白かった。          


          
         
          

   
         
ここから朝日温泉まで3km余り、 序盤に崖記号と滝マークがまだ2つ残ってるから何かあるだろうと思っていたら、 すぐ背の立たぬ釜とゴルジュのどん詰まりにF2・5m(写真右)が待ち構える。 ここは右岸をへつって抜けると続けざまゴルジュのF3・5mがあり 水流から右岸を抜ける。 いやはやアドレナリン沸騰する。          


          
         
          

   
         
これでいよいよ終わったかと思ったらどっこいそうは問屋が許さなかった。 トンネルの真上にF4・8mちょっと大きな滝がある。 どこから取り付くかいろいろ探して結局、右岸水流脇を直登した。 ここから沢中には色々な人工物が目に付きちょっと気になる。 トンネル工事で使われたと思われる通信ケーブルが横断したり、 温泉から流れてきた物など様々だった。          


          
         
          

   
         
暫し単調なゴーロが続いて退屈しかけた頃に再び滝の雰囲気、 けど小さなF5・4mで左岸を低く巻いた。 ここの沢水は気持ち濁りがあって鉄の味がする。 もちろん魚は見かけないが岩の上に日本ザリガニを発見した。 一応水温が低くきれいな川にしか住めない絶滅危惧種と云うことになっている。          


          
         
          

   
         
そしてc200で釜付F6・6m(写真左)は滝の裏をくぐって右岸から登りたいが意外に手強い。 釜に浸かりながら相方のショルダーを試みるがなかなか手掛かりまで届かず苦労する。 前向きになって足を持ってもらい腕力でぐいぐい棚まで上がった。 セカンドにあぶみ作って垂らし右岸のバンドを伝って滝上に抜けた。 c230釜付二股F7・6m(写真右)は右岸を巻いた。 高々2時間もあれば終わるだろうと思っていたがちょっと甘かった。          


          
         
          

   
         
忽然と鉄橋が横断し中のパイプを触ると暖かいので雷電温泉までお湯を引いていると思われる。 気のせいか沢中で時々水がぬるくなったりするが地図に温泉マークがあるのであちこちで沸いてるのかも知れない。 放射状に黒い粒の付いた実があり興味を引く、 食べてみたが美味しくない、何んだろうと思ったらウドの実だった。          


          
         
          

   
         
標高的にそろそろ朝日温泉かと思う頃、 大きなF8・10mが現れ右岸の乾いた側壁を登る。 おや!再び前方に光るものが見えまた滝かと?と思ったら朝日温泉の屋根だった。          


          
         
          

   
         
廃業して久しいが「弘化元年1844年、日本百名湯」と書かれた古びた宿で 木目の出た玄関の柱や壁板の節目に昔の賑わいの名残が感じられる。 内湯の戸が外れ心遣いに甘んじお邪魔する。 ぬるかったがずっと入ってると気持ち良い。 セミの鳴き声を聞きながら曇りの林道をてくてく車に戻った。 初見の目新しさを差し引いてもなかなかエキサイティングできる楽しい沢に満足しました。          


          
         






























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