厚田から国道231号を北に向うと安瀬(やそすけ)という小さな集落がある。
「やそすけ」とはアイヌ語で(刺場/網場)の意味で断崖迫る土地に数軒の家が点在している。
安瀬山はその奥に佇む一等三角点の山だが登る人は滅多にいない。
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濃昼山道と大沢との出合い、古道は対岸に続く 薄っすら雪景色の沢登りもおつなものである 雲が広がり山頂からは海が見えるのみだった
滝の沢橋の袂に「濃昼山道」の標識が立っていた。
ルートは山道の途中から大沢を詰め、下りは同じ沢から海に出る予定である。
参考にした「あまいものこ」さんのHPではトンネルの窓から出発し、帰りは山道を下るというものだが、
大沢が函状とのことでドボンするなら帰りの方が良かろうと逆を行くことにした。
取り敢えずトンネルの窓を偵察しに車で走ったが分からず、Uターンして半身ほどの窓を確認する。
昔は一日掛りの山道も今は車でたったの5分と驚異的な短縮である。
さて初めての濃昼山道にわくわくしながら出発すると呆気なく大沢の出合いだった。
いにしえの道と別れ、沢沿いに旧道らしきブッシュを分けると小屋でもあったのか茶碗やビンのかけらが落ちていた。
この旧道はルベシベ峠△564mから濃昼に抜けた山越えの道だったようだ。
ちょこまか出てくる滝を巻き、400m左股に掛かる6mを直登しようとしたら凍っていた。
辺りは徐々に冬景色となり、やがて残り100mの軽い藪漕ぎになる。
笹に載った雪でヤッケが濡れ、悴む手を我慢しつつ山頂に到着した。
三角点はすぐ見付かったが雲が広がって見えるのは鉛色の海だけである。
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へつりや飛び移りは長靴ならではの面白さが加わる この窓からトンネルに戻る。最後まで愉快な山だった 沢の遡行で海岸に出たのは初めてのような気がする
さて下降を続け濃昼山道を過ぎると程なく函の入口が見えてくる。
ちょっとドキドキしながら下ってゆくと長靴には厳しいへつりが待っていた。
落ちたら首まで浸かりそうな深みもあってこの時期ならではの緊張を強いられるがホールドが豊富で幸いだ。
結局この函は200mほどくねくね続き、今日一番の核心だった。
河口が近づくといきなりトンネルが沢を塞ぎ、流水溝から海に飛び出した。
広々とした日本海を見て何故かほっとした気分になる。
数m上のトンネルまで釣りと思われるロープや梯子があって至れり付くせりだ。
いにしえの道に始まって函のへつりで終わり、ちょっと冒険心がくすぐられる楽しい山だった。
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