長万部岳〜利別岳  973m・1021m  (長万部町・今金町・島牧村)   ■Home
    2014年2月22-23日 メンバー3名
    晴れ時々曇り 8:55道路除雪端−10:10うすゆき荘跡→12:30長万部北コル→(13:45-14:00)長万部岳→14:55後志利別川二股C1
    曇り時々晴れ 6:25C1→8:10利別北コル→(9:15-9:30)利別岳→(10:40-11:00)C1→12:10長万部北コル→13:20道路除雪端

後志と檜山の境界に位置する利別岳は清流日本一に選ばれた後志利別川を源頭に持つ山である。 道南1000m超の一座でその魅力的な山容に引かれるが何せ奥深くアプローチがネックと言える。 雪の締まった時期にピリカダムから日帰りでと思っていたが 折角ならまだ登ってない長万部岳から一泊で冬山を楽しむことにした。

                    

  
          
大雪の札幌を5時前に出発、向こうはどうなってるか気掛かりだったが長万部に入るとそれ程でもなくほっとする。 うすゆき荘跡までモービルの古いトレースを辿り、その後は40cm程のラッセルとなる。 七曲りと呼ばれるジグザグに切られた登山路をショートカットして鐘のある平坦地に出ると長万部岳のピークが良く望まれた。

                    

  
          
青空が広がるたび美しい白銀の風景に変わり、吸い込まれるようにトレースを刻んだ。 こまめに設置された黄色い案内板がよく目立つ、 何となく冬山に似合わない気がするが次第に小さくなる番号が励みになってくる。 楽しそうな斜面を横目に延々と尾根のトラバースを続けてようやく広いコルに至る。 ここから利別岳が見える筈だがガスっていた。 いよいよ長万部岳の肩へ最後の登りになるが見た目以上に高く急である。



振り返ると利別岳から馬蹄形に延びてくる広尾根が見える。 この尾根から利別岳へアプローチも考えたが一泊では時間的に厳しく止めて正解だった。 右の白い尖がりが黒松内岳だと分かるまでずいぶん苦労し、 登るに従い写万部岳と内浦湾が望まれ展望見たさに俄然登頂意欲が高まってくる。

                    

  
          
スキーアイゼンを付け無木立の斜面を快調に登るkiさん、 ところが波打つ斜面に雪の被ったクラックが走っていて頭から落っこちそうになる。 一人でなくて良かったねと胸を撫で下ろし、足元を確認しながら木のある方に逃げた。 稜線の右にキックターンを重ねて標高を上げると谷が深さを増し、 登り切って山頂かと思ったら双子峰のような本峰が少し先に見えていた。



初ピークの長万部岳は素晴らしい眺望で迎えてくれた。 谷を挟んで対峙する利別岳はなるほど風格ある山でこの時期ならではの白さを際立たせている。 右奥の狩場山は雲に隠れているが利別岳の左奥にメップ岳が薄っすら見え、 こんもりしたカニカン岳も望まれる。 辿って来た方向に目を転ずれば丸山、二股山、写万部岳、黒松内岳など登った山々がずらっと並ぶ、 そして半島の東西には海が臨まれ何とも贅沢な展望が広がっていた。

                    

  
          
長万部岳山頂よりどう見ても高いニセピークに戻り、 そこから利別川の源頭まで北西尾根を滑降してみることにした。 狭い頂陵の先から恐る恐る下を窺うと小灌木が点在する感じの良い斜面でほっとする。 見える先まで滑ってみるとさらさらした雪にスキーがスイスイ曲がり、 しかも灌木を抜けるとはるか下まで続く好斜面に目を丸くする。 ほど良い斜度の疎林が沢の出合いまで続き、重装備でも雪の舞い上がる浮遊感が堪らなかった。


                    

  
          
テンバは清流日本一に何度もなってる後志利別川源頭の二股とした。 美しくとても静かな場所である。 その水を汲んでウイスキーの水割りを飲みたかったが沢床まで結構な雪で諦める。 夕暮れが近づくと利別岳がシルエットになって谷間に浮かび、まったりと贅沢な時間を過ごした。 米を焚いてカレーを作り、夜の9時から朝の5時まで3人ともぐっすりだった。 翌朝は予報に反して曇り空、小雪の舞う中をさえない気分で出発する。

                    

  
          
しばらく沢沿いに進む積りだったが雪が深く、雪崩を警戒して二股からすぐ尾根に取り付いた。 尾根上は靴が沈む程度で空身のせいか昨日より随分楽に感ずる。 半ば諦めの天気だが薄っすら青空も覗かせ、小鳥のさえずりに期待が出てくる。 緩やかなトラバースを続けると後ろに長万部岳が望まれ、頂下に楽しかった白い斜面が見えていた。

                    

  
          
雪原のような北コルに出ると急に雲が切れ、青空をバックに利別岳の肩が姿を現した。 テンション急上昇!このまま晴れてくるかと思いきや再びガスに包まれテンションダウン。 さてスキーアイゼンを付け急な肩を登ってゆくと雪の下がガリガリで難儀する。 やっぱりピッケルとアイゼン持ってくるべきだったか・・・ 高度感が増しストックを持つ手に力が入る。 どうにか登り切ったものの帰りはどう下ろうかと考えながら雪庇の張り出す頂稜を辿った。

                    

  
          
ニセピークを一つ越え利別岳山頂に到着する。 丸い山頂は立ち木一本なく遮る物がなかったがガスに包まれ眺望は得られなかった。 山頂を極めた喜びに変わりはないと気を取り直して戻りかけるとみるみる青空が広がってくるではないか! ものの1分も経たずにすーっと展望が広がりマイナーなピークに歓喜の声が上がった。 西方に小さな突起のカニカン岳、稜線の先にカスベ岳とメップ岳までが限界で狩場山は雲の中だった。 そして北西に真っ白な頂稜を持つ843m峰が気になる存在である。





利別岳の山頂から北方を望む。 こちらから見る長万部岳(写真右)もなかなか凛々しく格好良い山である。 下った北西尾根の先になんと豆粒より小さな黄色いテントが見えていた。 辿った稜線のずっと先には白い大平山が望まれ、厳冬とは思えない穏やかな風景が広がっている。





そろそろ下山とする。 振り返ると登った時には見えなかった利別岳の山頂が艶かしいばかりに輝き、 うっとりする景色を何度も目に焼き付けた。 シールを外すとさらさらした雪にスキーが滑ってあっと言う間にあの気掛かりな急斜面に差し掛かる。

                    

  
          
ガリガリで苦労した利別岳の肩は雪庇側の斜面が意外に広く雪も柔らかだった。 案ずるより産むが易し、コルまで望外のスキーが楽しめた。 テンバからは沢中を詰めて長万部岳の北コルに上がる。 ここからは一転して雪が重く、山中で数台のモービルと行き交う。 突然重装備で現れた我々に「どっから来たの?」と道南訛りが懐かしい。 この後はジェットコースターのような彼らのトレースを下る。 利別岳を厳冬の一泊で登って大正解、本当に良い山だった。






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