トムラウシ川(地獄谷〜ヒサゴ沢〜トムラウシ山〜ワセダ沢)大雪山・遡行  ■Home
2007年9月下旬  行動時間 1日目5:00 2日目11:00 3日目4:45 メンバー4名
9/21金(雨) 札幌20:00→剣小屋C0・12:00
9/22土(晴れ)林道崩壊車止め8:30→トムラウシ川入渓9:33→地獄谷C1・13:30
9/23日(晴れ)地獄谷5:30→ワセダ沢5:40→ヒサゴ沢7:26→ヒサゴ小屋(11:05-11:30)→北沼→ワセダ沢13:20→地獄谷C1・16:55
9/24月(晴れ)地獄谷7:00→入渓点(10:40-11:45)→林道崩壊車止め12:50 (休憩含)

増水気味で時間が掛かった、地獄谷はもうすぐ    テント場から朝日に照されたトムラ東峰が見える       ヒサゴ沢−c1365で現れた二連の滝                  

トムラウシ川の上流に位置し幻の渓谷と呼ばれる地獄谷を訪ねるのは初めてである。 話によるとテント床はオンドルのようにポカポカ暖かく濡れた衣類も翌朝までには乾くらしい。 ここをベースに各支流を探検したり釣りや手掘りの露天に浸かってのんびりするのが楽しみだ。 今回は3連休を利用して地獄谷で二泊し初日に五色沢〜スゲ沼沢、翌日はワセダ沢〜ヒサゴ沢を遡行する計画である。 特にワセダ沢はかつてクワウンナイ川、ヌビナイ川と並びかつて北海道で3本の名渓に入ると某誌に紹介されたというから外されない。

9/21金(雨)
夜札幌を出発するが雨足が強くトムラウシ前泊を止め剣小屋に向った。 小屋にはツアーらしき先客数名が就寝中だが荷物が散乱している。 どうにか寝床を確保しひそひそ安着祝いを始めると「静かにしろ」と怒られ早々と就寝する。

9/22土(晴れ)
5時半に小屋を出発し7時過ぎトムラウシ温泉に着き身支度する。 いざ装備を分担し出発する段になってコッヘルを忘れた事に気付くが今更どうしようもない。 カムイサンケナイ林道を14km程走ると西沢手前の枝沢で道が決壊し車を止め残り4kmを歩いた。 終盤は林道が荒れ決壊が直ったとしても普通車での進入は無理である。 林道を離れ川音に向って下るとトムラウシ川は昨日の雨で増水気味だった。 巻き道をフルに使い徒渉に手こずる以外は単調な遡行が続く。 やがて左岸に赤茶けた岩盤と滑が連続しヒサゴ沼からの支流出会いを過ぎると先方に立上がる湯気が見えた。 硫黄の臭いにワクワクしながら近づくと左岸一帯から蒸気が噴出し川床の至る処から湯が湧き出している。 巨大な湯の花の熱塊を上がるとふかふかの草地で良いテン場だがひんやりして聞いた話と少し違った。 他を見渡しても取り敢えず此処が一番良さそうである。 すぐ奥にも大量の蒸気が上り行って見るとボッケから泥湯を湧き出し熱気とガスで息苦しい。 後背地は裸地でガスのせいか木が全く育ってなかった。 さて五色沢の探検に行こうと誘うが皆気乗りしない様子で釣りをして遊びたいと言う。 結局沢に行かず釣りと焚き木集めに奔走するが釣果は無く流木も少なく苦労した。 4時頃に札幌E山岳会のパーティがやってきて対岸にテントを張る。 挨拶がてら「昔は熱くて堪らなかった思い出があるが今日は寒いですね〜」また魚が釣れず下流で仲間が粘ってると言う。 川辺の露天も水が入り過ぎてダメだし今日はたまたま条件が悪かったのだと納得する。 夕闇迫るころメインディッシュを欠いた野菜だけの天麩羅を揚げながら祝宴を始める。 沢に冷やしたビールを取りに行ったH氏の絶叫が響きいったい何事かと一同顔を見合わせた。 戻ってきた彼は照れながら近道をしようとして泥湯に片足を突っ込んだと言う。 沢靴は履いてたがスパッツを外したばかりなのでくるぶしから上が赤くなっていた。 直ぐ沢水で冷やせと言ったが当の本人は痛くも痒くもないといたって暢気な顔をしている。 幸い濡れたズボンだったから直接熱さが伝わらなかったようだが一歩間違えれば大事故だった。 ほっと胸を撫で下ろすと同時に可笑しさが込み上げマンガみたいな話だと一同大笑いした。 温泉卵とさとうのご飯はブクブクに入れると旨く出来きマーボ春雨を作って食べた。 急に冷え込んで寒くて堪らず焚き火は明日に持ち越してテントに入った。 外は満天の星で明日の好天を約束してるようだ。good night!

ヒサゴ沢−c1400・30mの大滝が核心である       ヒサゴ沢−c1550から快適な滑と小滝が続く       ヒサゴ沢−明るい秋の遡行を楽しんだ

9/23日(晴れ)
未明は冷え込みが厳しくシェラフの中で身を縮める。 目を開けるとテントの入口が開けっ放しだ!しかも外は霜が下りて白くどうりで寒かった訳だ。 H氏の脛は大丈夫とのことで一先ず安心し身支度を急ぐ、濡れて冷たくなったズボンと靴を履くのが辛かった。 対岸にテントを張ったパーティーはワセダ沢からトムラウシ山に登って一泊し温泉へ降ると言ってたからのんびり出発する様子だ。 昨日よりだいぶ水量が減っている。 トムラウシ川本流から少し下ってヒサゴ沼への支流に入ると水量が半分になった。 c1150で左岸より地図に水線の無い沢が入る。 倒木が累々とした広い川原を過ぎc1190の出会いで水量2:1の支流を間違えそうになった。 枝沢と言え今日は結構な水量がありボケッとしていられない。 次はヒサゴ沢との出会いだなと思ったら数分もしないでc1200右から結構な水量の沢が入ってきた。 これを過ぎたらワセダ沢を坦々と登れば良いだけと思い込み失態する。 どうも肝心の沢を間違えたようで気になる。 現在地をはっきりさせる為に少し進んで2台のGPSで確認するとなんとヒサゴ沢に入っているではないか?!アッチャー。 まだ戻れる範囲だがヒサゴ沢の方が面白いのは皆知っている。 そこそこ滝はあるが遡行距離は短く取り敢えず非難小屋まで行って先を考えることで意見が一致する。 c1365で現れた二連の滝8m+4mは周囲を取り巻くように左右から支流が流れ落ち壮大で明るい雰囲気だ。 直登できないので左岸を斜上して巻き最後に4m程の垂壁を攀って滝上に出る。 メンバー2名は少し離れて4m壁を上がり更に高巻きを続けている。 しかし乗越して戻った沢は左から入る支流で2名はこれを本流と勘違いし登り過ぎてかなり上にいる。 ホイッスルを吹き呼び戻した彼らにようやく本流の大滝が目に入ったのか唖然とした顔をしている。 30mはあろう大滝の両岸は高く厳しい大高巻きを予感させアドレナリンが沸騰する!  どうやら右岸から高巻けそうでザレ場から濡れた階段状の岩を20mほど登り更に数mの脆い壁を攀じる。 掴む岩がボロボロ崩れ緊張の一場面を越え草地に上がり高所をトラバースして滝上へ抜ける。 クライマックスを終え振り返ると秋空に錦秋のトムラが映えていた。 c1500で6mの滝はH氏が直登を試みたい様子だが安全を期し左岸から高巻いた。 c1550から快適な滑と小滝群が100m以上続き急登が終る上部に大きな雪渓が残っていた。 c1650二股を左に進むと細い流れの両側から木が被って歩き難く小枝で鼻血ブーとなる。 左の岩場に逃げると僅かに人の歩いた跡がありブルーベリーを頬張りながら歩いた。 湿地は一面が草紅葉のグランデーションで素晴しく程なくヒサゴ沼の脇に非難小屋が目に留まった。 テン場は夏の賑わいが懐かしいほどひっそりし小屋中で暖かいスープを頂いた。 まだ11時を過ぎたばかりでワセダ沢の下降は可能である。 メンバーの体調に不安は無くヒサゴ沢の滝を下りたくないの一言で話が決まった。 そうとなれば日が短いからのんびりもして居られない。
従走路までの岩場の登りで鳴きウサギが姿を見せてくれた。 北沼まで2時間近く掛かり途中で所属会のK&Iペアと行き違っただけで人出が無い。
     
秋景色が素晴らしい ヒサゴ小屋が見えている     ワセダ沢−c1350・6m 巻き道があり易しい沢だ     ワセダ沢−小さな出会いをうっかり見逃す                 

さていよいよワセダ沢の下降である。 上部はずっとガレ場だが谷筋を追うと緑に覆われた山腹の中に地獄谷の黄土がポツンと見えた。 意外に近くこの分だとテン場へは明るい内に戻れるだろう。 急なガレを600m以上降りてようやく水流が現れるが直ぐに伏流しc1460で再び流れ出した。 c1380で6m二段の滝を巻いて降りるが容易に直登できそうな滝だった。 すぐ下にも6mの滝があり右岸から懸垂で下りると左岸に巻き道があった。 小滝を幾つか下ってしまうとあっけなく本流との出会いで小さい入り口ながら4人揃って見逃すとは不覚だった。 しかし遡行の面白さはワセダ沢よりヒサゴ沢の方が断然上で結果として満足している。
テン場に戻って1時間もすると真っ暗になり焚き木で暖まる。 寒くはないが酒が早々と切れテントに入った。

9/24月(晴れ)
最終日も天気がよく水が引いて徒渉に困らないのが何よりだった。 途中で竿を出すとオショロコマが10匹ほど釣れ天麩羅にして頂いた。
































inserted by FC2 system