全道的に雨の週末だが辛うじて道東が曇り、
高い山は望めずピークハントに切り替えて二つのトムラウシ山を予定した。
今日は伏美岳に連なるトムラウシ山、明日は札内ダムの近くにつんと聳える通称トムラウシ山で
大雪山のトムラウシ山と同名というのが気になるだけのマイナーな山である。
アイヌ語でトンラ・ウシとは「水垢、水草・の多い川」「花の・群生するところ」との諸説だが、
この二山は花どころか藪を想像させるのが精々だ。
予報も曇りから小雨が付いていま一つモチベーションは高まらないが、
山に登れるだけでも幸せだと気持ちを切り替え出掛けることにした。
札幌から高速を経由して2時間程で新嵐山に到着、そこで腹の調子と身支度を整え林道に向かう。
ゲートが閉まってたらニタナイ川の支流から登る積りだったがすんなり予定地に到着する。
少し増水して濁ったピパイロ川を渡渉し、北東面直登沢に入る。
普段ならチョロチョロかと思われる小さな渓がまずまずの水量で少しほっとする。
歩き難い沢中を嫌い右岸に延びる鹿路を探しながら歩く、程なく鹿路も消えてただ鬱陶しいだけの沢を詰める。
少しスッキリしてきたなと思ったらc830で唯一4mの小滝、水が冷たいのはすぐ上の雪渓のせいだった。
谷間の向こうに剣山を望み、腹ごしらえをかねて大休憩する。
結局c900を前に水が涸れ、あとは顕著な谷筋を辿れば良いだけだが意外に複雑で、
地図にない沢形に迷って時間を食わされる。
c1200まで登ったところで芳しくない沢筋から尾根に逃げると潅木があって登り易く、
途中の鹿路を使って木に囲まれた山頂に到着した。
三角点の笹を刈って腰を下ろし、正面の妙敷山〜伏美岳〜ピパイロ岳を眺める。
展望はこれだけだったが諦めの天気だっただけにちょっと嬉しい。
伏美岳に突き上げるニタナイ川にはまだ雪渓が残り、今年の雪の多さを思い出させる。
濡れた体が寒くて退散するとハイマツとダケカンバの狭い尾根の先から急な沢形になって潅木を掴みながらの下降が続く。
ここは浮石が多く後続の発する声と共に一抱えもある岩が落ちてくるので気が抜けない。
c950の二股から水流が現れ、冷たくて美味しい水に一息入れる。
小さな滑滝が幾つか続き、c750で8mの斜滝が最大、とにかく岩がよく滑る。
c730・5mの滝に新旧の捨て縄、ここを下ってる人もいるんだな、
と思いながら巻きにかかると滝上でスリップするメンバーにヒヤッとする。
こんな沢で怪我したらつまらない、慎重に歩く。
c700までつるつるに磨かれた小さな滑滝が続き、そこそこ時間の掛かる沢だった。
芽室町でさっぱりし、ジンギスカンの食材買って剣小屋に泊まる。
翌日は雨に変わり山に登らず帰路に着いた。
トムラウシ山の頂から妙敷山〜伏美岳〜ピパイロ岳を望む