十勝岳〜楽古岳 1457m〜1471m (南日高) 残雪期縦走  ■Home
2009年4月中旬 晴れ メンバー4名
十勝岳西尾根5:05→十勝岳山頂(8:50-9:10)→楽古岳山頂(11:55-12:25)→上二股13:40→山荘14:45→林道15:05


南日高の主稜線では十勝岳と楽古岳の間が残っており数年前に1泊で予定したものの2日目の悪天に引き返したことがあった。 そのとき十勝岳の山頂付近から南の急尾根を下っているツボ跡が不思議だったが車を回収に行く途中でそのグループとばったり出くわした。 彼等は山荘を基点に楽古岳から十勝岳を12時間かけて縦走し山荘に前後泊したとのことでのんびりした山行が羨ましかった。 今回は早起きし日帰で駆け抜ける予定だが雪の腐れ具合を気にしながら忙しい山行になりそうである。

ポコに上がると日高側には雲海が広がっていた     長い西尾根も十勝岳が見えると残り半分になる    十勝岳ピークへあと一息、好天で絶景が期待される

日高幌別の別荘に3名で前泊し翌日に1名が合流して2台で楽古山荘ヘ向った。 帯広のTさんとご一緒するのは初めてで歳は30そこそこだろうか? 我々と並ぶと若さが際立ち悲しいかな既に自分も老齢の域に達した歳なのを実感させられる。 メンバーの中ではGさんが足茂く南日高に通ってるが他の2名は初めてピッケルとアイゼンを用意しての山登りである。 Yさんは少し緊張してるとのことだが初めて積雪期の日高に入るのだから不安なのは無理もない話である。 さて1週前の情報に寄れば牧場を過ぎるとすぐデブリで車がストップとのことだったが調子よく山荘から1.5km手前まで入ることができた。 林道途中には雪の片鱗も見当たらず帰りは山荘から近くて嬉しいがその分肝心の山で苦労させられそうだった。 1台をデポして翠明橋にあるトイレの向かいに車を止め、さて取り付く尾根の雪は?と見上げれば案の定しょぼくて何とも心細い。 2週後のGWに再び近くの山から入る予定だが何だか急にそっちの方が心配になってきた。 この尾根には過去2度ばかり雪で苛められた思い出があるがこの状態なら右の沢形から登った方が良いかも知れない。 国道を少し戻って笹薮に入ると何と沢はしっかり開いてがっかりしたが靴を濡らさぬように登ればすぐ雪で埋まるだろう。 思った通り100m程で雪がびっしり沢を埋めるとそれからは面白いように高度を上げた。 振り返ると野塚岳とオムシャヌプリの急峻な山容がこれでもかと言わんばかりに眼前に迫ってくる。 この光景を前にTさんは歓声とも嘆声ともつかぬ声を発するのに対しYさんは静かに目をパチクリさせてるのが対象的だった。 雪は硬からず軟らからずツボのまま800mで尾根に上がると所々雪が割れ笹が覗いている。 日が当たる斜面の雪は既にボロボロであと数日も陽気が続けば消えて無くなりそうだった。

見飽きることの無い累々とした山脈が北に延びてゆく     対峙する楽古岳の山容が素晴らしい、緩やかな主稜線の登りは見た目以上に時間を要する

それにしても西尾根ってこんなに長かったかな?地図を取り出せばまだ1/3を過ぎたばかりである。 眺めのよいポコに出ると日高側には雲海が広がってアポイ山塊が島のように浮んでいる。 更に1148mポコまで登ると初めて十勝岳ピークと稜線が視界に入ってまたまた歓声が上がった。 そのうち累々とした山脈も北に広がってまるで長い尾根歩きを飽きさせないかのように見せ場が現れる。 一時はペテガリまで遠望が利いたがあっと言う間に雲が押し寄せ山頂に着く頃には神威岳とピリカヌプリが見え隠れする程度になった。 それでも展望としては一級の類ではなかろうか?むろん初めてのメンバーは大感動の様子である。
さて一休みしたらいよいよ未踏の稜線に気がはやる。 楽古岳まではコイボクメナシュンベツ川の深い谷を囲むように主稜線が弧を描き山肌に刻む険しい谷筋を眺めながら歩くことになる。 最低鞍部に向ってグリセードでどんどん下れば十勝岳はあっと言う間に遠ざかり楽古岳まで1時間そこそこに見えるがどっこいそうはいかない。 1000m台まで下ったあとは延々と400mの登り返しで目の前のポコを越えると更にポコが続く我慢のしどころだ。 あんな近かった楽古岳だが山頂が見えないのが辛い!全く人の距離感なんて当てにならないものである。 それでも今日は雪が腐らず歩くには恵まれた方で順調に帽子のような山頂部を残すだけになった。 安全を期しピッケルを手にステップを刻んで登りながらYさんに買ったばかりのアイゼンを試し履きさせてあげれば良かったなと後悔する。 山頂は無風でとっても暖かく見渡す山々の半分は雲に覆われてしまったがそれでも何度か登った中では一番の展望だった。 Tさんの餃子スープをご馳走になったらありがたくなって一眠りしたいが下山の時間である。 ルートは夏尾根に従い稜線から沢への急尾根は腐れ雪に足を取られながらも流石に早く夏場の半分で上二股へ下った。 途中Yさんが足を滑らせ10mほど下の木に引っ掛かったのが唯一ヒヤリとする場面だったが雪の状態に因ってはただで済まないから気は抜けない。 さて気になる渡渉だが雪解けで増水しているかと思ったら一二度靴を濡らす程度で済んだ。 日の当たる場所には土が出てエゾエンゴサクが咲き始め林道には蕗の薹の蕾が所狭しと顔を出していた。 山荘の前には同じルートを一泊縦走したと思われる登山者のザックが干され中へは寄らずに林道を下った。 そのうちと思っていながら後回しになってたルートだけに順調に終わり充実した一日になりました。





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