鋭鋒が並ぶ後芦別山群の一つシューパロ岳に登ってきました。
「シューパロ」とはアイヌ語で「シ・本当の」「ユーパロ・夕張」を合わせ「夕張川本流」を意味する。
人造湖のシューパロ湖は良く知られているがシューパロ岳を地図で言い当てるのはなかなか難しい。
山名はおろか三角点もなく取りあえずシューパロ川を見つけて遡ればシューパロ岳と言うことになる。
普段は芦別岳の陵線に隠れあまり目にすることのない山だが同じ後芦別山塊の夕張中岳という山から初めて全容を目にした時の印象は強烈だった。
はたして何処からどう取り付けばあの頂に立つことが出来るだろうか?
息を呑むほど急峻な様は今もって忘れることができない光景である。
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急峻な山容が印象に残るシューパロ岳 c885mこの沢で最大10mの滝、上段高巻き消耗する 退屈しない程に小滝が現れ一気に標高を上げる
前夜、芦別ダムの東屋もどきを拝借しC0、着いたのが既に遅かったものの金曜の夜ということもあり25時まで飲んでしまう。
4時半のアラームに起こされると結構な雨音で誰からともなく二度寝と言うことに・・・。
1時間ほど熟睡し小鳥の囀りですっきり目を覚ますと雨はいつの間にか止んでいた。
芦別川左岸林道は遥か下に芦別川が流れ、長い林道は整備されていたが終端まであと少しの所で行き止まり、
残り3kmほど歩いて西面直登沢に入渓した。
小さな渓で水は澄んでるが飲用すると少し匂いがする。
早々右岸に古い作業道があるのをKo玉さんが見付けると道は700mの土場まで続き
、その後は沢沿いに鹿道が続いて随分助かった。
沢自体このままブタで終わるかと思ったらc885mで二段10mの滝があった。
やたら滑る二段目を巻くと草つきと泥壁で体力を消耗する。
その後も退屈しない程に小滝が現れ1030mで早々と涸沢になった。
1050mに手掛かりの薄い6mの苔滝があり3人がかりで直登、すぐ後に5mの手応えある涸滝が続きなかなか楽しい。
いよいよ急な沢筋を詰めると1150mで判然としない二股になり右に進む、やがて空が開け
汗だくで山頂の北、30mほどハイマツの陵線にポンと飛び出した。
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1150m二股から一直線に急な涸滝が続いた 最後にハイマツを漕いで狭く質素な山頂に到着 夕張中岳が姿を現し奥深い山域を実感する
ドラマチックな再会むなしく芦別岳は雲に隠れたままだった。
鋸目の入ったハイマツを辿り標識テープすら無い狭い山頂からは崕山、礼振峰、惣芦別岳、幾春別岳など近くの山々が見えるだけである。
次々に雲が押し寄せ後芦別山塊の山座同定は叶いそうもなかったが一瞬だけ夕張中岳が姿を現してくれた。
下降は狭く顕著な西尾根を使う事にする。
ハイマツと潅木の急斜面を下るとのっけから急な崖にぶち当たり木に掴まって巻いた。
再び崖に当たり巻いて戻ろうとするが夕張中岳がなかなか遠くならず何か変だ?
すぐ尾根を外したのに気が付きネマガリの大トラバースを始める。
先行するスパイク地下足袋の二人に漸く追い付くと「更に一本尾根が割り込んでいたのでこのさい100m登り返す」と言う。
急にくらくらしてきたがネマガリを登って本来の尾根に戻り一安心する。
そこからは斜度も緩み順調に標高を落とし、滝をかわしたc780mで西面直登沢に戻った。
鹿道を辿ると今朝はなかった蕗の食痕と新しい熊の足跡があり、暗くなる前に戻れてほっとする。
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<2011年の十八線沢ルート〜夕張中岳はこちら>