知床岬トレッキング  (羅臼町・斜里町)  ■Home
2016年7月15日〜16日 曇り時々晴れ メンバー8名 
3:30相泊→5:30観音岩→8:00タケノコ岩→10:35ペキンノ鼻→14:00滝ノ下C1 20km
5:30C1→6:10念仏岩→7:20カブト岩→9:00赤岩→10:20知床灯台→11:15知床岬→13:20赤岩→14:20相泊  6km 休憩含む 

「知床の岬に〜 はまなすの咲く頃〜♪」地の果の先っちょ知床岬は知らない人がいないくらい有名で一度は行ってみたい場所である。 ところが世界遺産になってからは観光船での上陸が禁止されて行くのが大変、山越えかシーカヤックか或いは地味に海沿いをテクテク歩くしかない。

計画はリーダーにお任せ、またメンバーも知った顔ぶれで道中かなりお気楽モードで知床に向かった。 立ち寄ったルサフィールドセンターは世界遺産ブームの陰りが見えガラガラ、波にさらわれた女性もいるので気を付けてとのことだった。 相泊で安着祝いをして夜明けとともに出発、ご来光と国後の山並みを眺めながら知床岳以来の懐かしい海岸を歩く。

番屋がポツポツ続き、放し飼いの番犬が吠えながら出迎える。 足は地下足袋、スパイクシューズ、沢靴と様々だが丸い石ころ歩きも思ったほど楽ではない。 時間が経つとさすがに足の甲のあたりが痛くなってむしろ岩場の方が楽に思えてくる。 観音岩が近づくと断崖が迫って良い感じに・・残置ロープで登った岩の上に観音様が祭られていた。 海はベタ凪ぎ、トッカリ瀬のへつりも潮が引いて楽々だった。

4時間半でタケノコ岩に到着、次の岩まで見た目以上に時間がかかる。 残置ザイルで高巻くと小さな入り江に舟が浮かんでほっとする光景、 漁師が忙しそうに網の手入れをしていたが塗料の匂いが強烈で挨拶もそこそこに過ぎ去る。 この先は剣岩やメガネ岩などぽっかり空いた穴や洞窟など奇岩が続いて面白い。 ヤドカリやイソギンチャク、イソガニなど浅瀬でお馴染みの生き物を見掛けないのが残念だがエメラルドグリーンの深みはコンブで一杯だ。 岩の上は海草がよく滑るので足元ばかりに目が行く。

高く連なる断崖と裾の緑が美しい光景を織りなしている。 苔のような緑は何処にでもあるイタドリだがここのは丈が均一で色が新鮮だ。 海に迫り出す断崖風景はスケールこそ違うが子供の頃に探検した函館山の裏海岸に似ている。 それにしてもここを恒例行事で歩く羅臼の子供と引率者は大したものだと思う。 ペキンノ鼻からの海岸にはハマエンドウ(写真)やチシマフウロ、イブキトラノオ、エゾカンゾウなどが目を楽しませる。 近藤ケ淵はぬるぬる滑るコンブに下半身を浸かって通過した。

ようやく男滝の手前に滝ノ下番屋が見えてきた。 本日はここで終了、近くにテントを張る積りだったが倉庫に泊まっていいよとのこと、 甘え序に頂いた冷えたサイダーがなまら美味い。 米を焚いてジンギスカンを食すとキツネがちょろちょろし、誰かが遠くに熊がいると言っている。 日が落ちてから更なる好意に甘えて風呂とビールまで頂き、明日で番屋を空ける漁師達と大いに盛り上がった。

男滝・女滝は落差100m以上の高所から水を垂らし、砂地の良いテンバに一組テン張っていたが今朝はもう姿がない。 燕が飛び交う洞窟の先が念仏岩で足元深くをコンブがゆらゆらしている。 どこまで泳げばいいのか先が見えず、高巻くことにする。 ロープがフィックスされ踏み跡は明瞭だがふくらはぎが痛くなるほど高く急だった。 次のカブト岩の高巻きは展望が良く、登り切るとカワラボウフウの花畑に境界石が埋まっていた。 先端からはこれぞ知床というような素晴らしい眺望が得られる。 下りは急なザレにザイルを延ばしたが下部は落石を避けて左の草付きを下った。 振り返ると先ほど立った岩塔と下降した斜面が見えるがかなりワイルドな光景である。

赤岩番屋の漁師から小振りのウニを20個ほど貰う。 ここはみんな親切で良い人ばかり、小屋にザックをデポして岬へは空身で向かう。 花の先生によると知床も山野草のメッカらしく写真の左上から順にハマベンケイソウ(浜弁慶草)・エゾノキリンソウ(蝦夷麒麟草)・チシマセンブリ(千島千振) ・シコタンハコベ(色丹繁縷)・センダイハギ(先代萩知)など初めて見る花に感激、 お馴染みのハマナス(浜茄子)の他にエゾスカシユリなどが咲いていた。

知床岬の大地は腰程の笹とブッシュに覆われ、幾筋もの踏み跡が灯台と岬に延びている。 漁師の話では一夏に400人程の訪問者が来るとのことで、この日も我々を含め3パーティーが入っていた。 霧の殺風景な踏み跡にトウゲブキの黄色い花が目立ち、一段高い岩崖によくポスターなどで見る白い灯台が立っている。 長い階段から灯台に到着、崖にシャジクソウ(車軸草)が咲いていた。 丸〜い水平線を期待したが生憎のガス、足元のワラビが気になりつつ岬へと向かう。 アサツキの咲く斜面を下って波が打ち寄せる岩礁の先まで行き、ここが「最果ての地」遂に来たぞ〜と遊覧船に手を振るが反応なし。

再び青空が覗き、丘でまったりしながら「クマのいない知床ってやっぱり物足りないよなぁー」 すっかり安心しきって番屋に戻る途中、親子熊と鉢合わせる。 親の方は一目散に山の茂みに隠れたが子熊は悠然と虫を食べている。 大声を上げようが全く動じず、子熊といっても2-3才にもなれば相撲取りより大きく、また近くに親熊がいると思うとちょとびびる。 暫くして番屋の方からトコトコ2人がやって来てあっさり追っ払ってくれた。 「奴ら人を見るからなめられたら駄目なんだわ〜」我々の様子を双眼鏡で見ていたお迎えの船長だった。 赤岩番屋から相泊まで船で40分、海から眺める半島の景色も素晴らしいものがあった。






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