知床岳  1254.2m (道東)   ■Home
2004年4月29-30日 晴れ   総時間15.00(休憩含) 標高差1254m 片道8.9km
1日目 250mテン場1700
2日目 250mテン場440→474m610→稜線950→知床岳1100-1110→474m1225→テン場1315-1355→二股1410→海岸1530→相泊1630

札幌を未明出発し昨日開通した知床峠を走る積りだったが雪で通行止めとなり根北峠に回った。 古多糠から見える半島の白い山々は感動もので一番大きな羅臼岳はすぐ判ったが知床岳はずっと先に隠れているようだ。 相泊の食堂に登山BOXが置かれ、まだ寂しい数の記帳しかなかった。 けれど今日は二人パーティーが先行し熊よけが期待できそだ、雪の状態からスキーを止めてスノーシュー持参で出発した。

相泊から雪の消えた海岸を歩いた        生涯の思い出になるカモイウンベ川の渡渉箇所      かろうじてスノーブリッジの残る二股

雪が無く日射しの強い海岸を歩いていると時期外れの山行のようで先が案じられる。 20分程歩いて丸木橋の掛かった幅3m程の小沢を渡ると番屋の裏に赤い印を見付けた。 もしかしてさっきのがカモイウンベ川か?疑問に思いつつ番屋まで戻ると木の幹にペンキで「山」の字と、 中腹からロープが下がっていた。 しかも先発組が登った靴の跡があったので迷わずこれを行くことにした。 高々30-40mの段丘だが泥壁で足場が悪く持参したザイルを出して上がると雪の緩斜面が広がっていた。 エッチラオッチラ歩くと二股になる。もう二股!早いなあ楽勝ジャン。 少し変に思いつつ尾根に上がって様子を見ると悪い予感が的中した。 さっきの小沢はやはりカモイウンベ川ではなかったか、後の祭りだ。 気が焦るが取敢えず現在地の確認を急ごうと東に下ることにした。 すると案の上、沢の音と共に眼下に流れる正しいカモイウンベ川が目に留まった。 ホットするやらガッカリするやら複雑な心境である。 海岸まで戻って出直すことも考えたが意を決して急斜面から川辺へ下り、裸足になって脳天を突き刺すような冷たい川に入った。 重装備で不安定な上に川底がヌルヌルして危ういが絶対に転べないと必死な思いで対岸にたどり着く。 足は真っ赤か!感覚が失せ一時はどうなるかと思ったがようやく生きた心地がした。 何だか今日一番の大仕事が終わったようで後は行ける所まで行こうと腹を決めた。 少し進むと本来の二股でようやく調子が出てきたなと思ったら山親父のビッグな足跡のお出ましである。 子供から借りた防犯ブザーを鳴らすと小鳥が反応するだけで何の役にも立たず大声を発しながら歩く。 何時の間にか先発組のトレースが消え、ずっと不思議だったが後で合点がいった。 標高250mをテン場とし食事はお湯を注いですぐ出来る物ばかりで済ませる。 これぞ知床と思わせる星が燦燦と輝き、酒が入ると一気に疲れが出て就寝する。 そして夜明け前にスキッと目が覚め、5時前に出発することができた。 1時間半ほどで474mピークに出ると初めて古いテープを見つけ、普通の山と違う原始の趣があった。
     
474mピーク過ぎから稜線を望む         尾根直登途中から862峰と右に硫黄山       稜線は一面の這い松、ガスの先が山頂

このピークから少し先に平らな良いテン場があったが重装備を担いでまで上がる必要はないと思う。 視界が開けると独立峰のような険しい862峰が目に飛び込み、近寄りがたい岩峰である。 コルへ登るルートも何だかはっきりせず何処も結構な急斜面である。 結局、尾根を直登するが雪が切れるたびハイマツ漕ぎの連続で知らぬ間に脛は傷だらけになっていた。 細尾根の両側は急斜面で、中腹の岩峰は亀裂の走る東斜面を慎重にトラバースした。 雪面はステップが切り易いのでどんどん登れるがハイマツが出るたび頭がくらくらする思いだった。 稜線の向こうに硫黄山と知円別岳が顔を覗かせ、ずいぶん遠くに見えたが懐かしさに思わず声が上がった。 斜面が次第に緩くなると突然視界が開け広い台地に出る。 雪面に広がる白と黒のモノトーンはまさに「最涯ての地」にふさわしい景観である。 稜線では強烈な風とガスに見舞われ次々に難題が降りかかって簡単にピークを踏ませてくれない。 防寒服にガッチリ身を固めこまめにデポ旗を打って前進し、ようやく一段高いピークに到着する。 台風並みの風と視界不良で山頂探しもままならずここをピークとして下山した。 下のハイ松まで戻ると風が弱まり目印のテープを全て回収しながらザラメ状の尾根を一気に下った。 テントを回収し浜辺を歩いていると地元の漁師が何やら笑いながら話しかけて来た。 「昨日川で転んでずぶ濡れで降りてきた奴らがいてよ、そいつら千歳の○○○のくせにだらしねえな〜」 我々と同じミスをして渡渉で転んだなと容易に想像は付いたが気の毒で笑う気になれなかった。

<2005年の 知床岳 はこちら> 

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