2009年9月上旬 メンバー7名
7:00白水橋→7:13・890m林道→9:25大滝→(11:50-12:45)石室→13:10黒岳→14:00リフト駅→14:40ロープウエイ駅下山
ころころ変わる天気予報に翻弄される。
遡行を一日早めまだ星の煌く未明に札幌を出発した。
高速に乗ると徐々に空が白みやがて東の空がオレンジ色に染まって好天が期待される。
そして旭川を過ぎると一気に冬山か?と思わせるような真っ白に冠雪した大雪山が目に飛び込んできた。
これから沢を登ろうとする者には何と手厳しい光景だろう身の引き締まる思いがする。
層雲峡に着いて身支度を済ませると予め車をデポしてきたメンバーが揃い白水橋に向った。
入渓して程なく紅葉した上川岳が望まれた あちこちから蒸気が上がりユニークな光景である ルンゼを詰めながら迫力ある大滝25mに見惚れた
橋には鍵の掛かったゲートが設けられ潜ろうとするとタイミング良く関係車両がやってきた。
紅一点のChiちゃんがすかさず同乗を願い出ると「いいよ」の返事が帰ってきて一斉に荷台に上がった。
渓谷を眺めながら15分ほど揺られ初っ端から思わぬ展開にメンバーの頬は緩みっぱなしである。
林道の末端まで運んで頂き1時間の歩きを免れたものの楽しみだった「メロンの滝」なるものは見逃してしまったらしい。
入渓して暫らくは両岸から崩れ落ちた岩屑が埋まり凡そ渓相がどうのと言える沢ではない。
だが向う谷間の先には抜けるような青空の下に上川岳の岩塔と紅葉が望まれ心が弾んだ。
少し行くとc1000m付近で川中のあちこから蒸気が上がっている。
ぶくぶく温泉が湧いて溜りは指を入れられないくらい熱く地獄谷を彷彿させる。
今まで5m程の滝が2つか3つあっただろうか?さしたる難所も無かったがc1370mで地図にある大滝25mが現れた。
水煙の舞う滝下を横切って右岸のルンゼから巻く途中で迫力ある滝の全貌を目の当たりにする!
中盤から明るく開けた沢となる、源頭が近ずく 草のベッドに横たわる、ポカポカして気持ちいい 源頭には雪渓が残り北鎮岳が真っ白に冠雪していた
滝上に出ると顕著な二股でそれぞれに6mの滝が落ち左股を巻いて越える。
谷は一気に開けまっすぐ延びる先には桂月岳と陵雲岳の源頭コルが見えている。
上部に雪渓があるのか登るに従い冷たい水に変わったが水量はまだまだ元気一杯だ。
大岩を右に左にかわし崩壊間近かな雪渓を越えずんずん高度を上げると背後には手塩岳がくっきり見えていた。
右は色鮮やかな紅葉斜面に上川岳の岩塔郡がにょきにょき並んでいる。
全く一気に登るには勿体無いほどのローケーションで思わず高山植物の上に寝転ぶとポカポカして眠くなってしまった。
周囲は低いハイマツと潅木帯だが沢の中は歩き易くいよいよ最後の二股で飲み水を汲み左股に入る。
ガレた沢型を石室に向うと所々に大きな雪渓が残りその縁にはチングルマやツガザクラが咲いていた。
もうそこまで冬が来ているというのにこの小さな花に健気さと力強さを感じずにはいられない。
そして陵雲岳の脇から真っ白な北鎮岳が現れるとまさに山岳風景画の中に身を置いてるようだった。
これといった特徴に欠く沢だったが今回は「紅葉」と「初冠雪」が加わって素晴らしい遡行になった。
石室まで藪もなくベンチで休憩して人が溢れんばかりの黒岳山頂を後にしロープウエイで下った。