サツナイはアイヌ語で乾いた川の意味、ひとたび雨が降ればたちまち増水する川で天気には慎重さが求められる。
前半に小雨マークが並び中止かと思ったが一日ずらしての出発に、雨量は少なそうだがあずましくない予報である。
(写真は2009年エサオマンから望む札内岳、何処から見ても端正な山だ)
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札内園地キャンプ場で前泊する。
初日は雨予報だったが曇り、天気変わった?得した気分で札内ヒュッテを出発した。
斜面に大規模な崩壊を見ながら七ノ沢出合に到着、予報のせいかカムエクに入った登山者の形跡なし。
キネンベツ沢の出合からもゴーロが続き、出発から6時間半で860m二股に到着する。
これ以上進んでも良いテンバはなさそうだ。
右岸を整地してテントを張るとポツポツ降ってきた。
急いで火を起こす。
幸い雨はたいしたことなく奥のゴルジュで釣ったイワナをあぶりながら一杯始める。
五目ちらしとイワナの刺身が美味かった。
霧雨が止まずタープに移動するが寒くて男は早々とテントへ、タープの女王は一人そのまま朝を迎える。
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二日目、3時起床、一晩中小雨が止まず早々と撤退の意見も出たが明るくなると霧雨になる。
天気は想定通りだ、増水の気配はなく昼には雨も止むだろうと5時前に出発した。
すぐ岩盤に覆われた渓相となりゴルジュ滝は泳ぎとヘツリに分かれて超える。
V字に小滝・中滝か連なり、三段滝は中に入って低く巻く。
空模様と相まって次は何が出てくるかゾクゾクしながら進んだ。
960三俣を左に入ると沢が少し開け、晴れてたら綺麗だろう薄茶の滑滝が連続する。
やはり雪渓が出てきた、水が冷たいままで次もありそうだったが結局ここだけだった。
1050mから10〜10数mの滝が連続する。一つ目(写真右)は水流左を直登、抜けが滑って少し厭らしい。
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続くスラブ滝(写真左)は左岸をヘツリ気味に巻く。
小さなゴルジュは突っ張りで超え、微妙に滑る滝もあってなかなか時間の掛かる沢だ。
1250mで10mの滝(写真右)はLが左岸からザイルを引く、今日は20℃を下る予報だったがじっとしていると滝風に吹かれ寒くてしょうがない。
これを越えると1300mの三俣でかなり荒れて殺風景な景観だ。
中俣を進んで1400mから右俣に入るか、1300mの右に一直線に延びる沢筋を行くか迷う。
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結局、1300mの右俣を進んだがボロイ10mの滝処理(写真左)に時間を食う。
これを超えるとガレになって水が伏流、そして1450mに岩壁が立ち塞っていた。
こりゃ駄目だ、尾根に上がって左の沢(1400m右俣)を覗くとこちらも下に高い岩壁が見える。
どうやら1450m付近は何処も岩が剥き出しになっていそうだ。
大高巻きで左の沢に移ると幸い流れのある沢筋(写真中)がずっと上まで続いていた。
ダイモンジソウ、ウサギギク、チシマフウロ、イワブクロなどを見ながら
グングン標高を上げると1800mの手前で岩の崩壊地に出る。
さすが一筋縄では行かないがもう一息だ、左の尾根に入って灌木を分け山頂肩1850mに出る。
全面ハイマツで慣れない新人さんはうんざりという様子だが思った程の藪漕ぎでなくほっとする。
コルのガレ地は前に泊まった所で懐かしく、そこから踏み跡を探しながら4人が初ピークを自分は4回目の山頂だった。
霧雨が止んで風が無くポカポカしている。
眺望の素晴らしい山だが今回は登れただけでも満足と山頂を後にする。
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コルから札内川本流のガレを下ると草付きにイワギキョウ、ヨツバシオガマが咲いていた。
何も無い沢とのことだが1600mで水が出始めると狭い岩盤の急降下、ザイル出さずどんどこ下る。
やがてガレが埋め尽くし暫く水の無い沢が続く。
1280mまで下ると水が復活、天場にはいまひとつだが贅沢言ってられず17時25分C2とする。
濡れ木を集め着替えの無い新人2人が必死に火を起こす。
カレーでお腹を満たし、焚火にあたりながら21時までチビチビ飲んで寝る。
三日目 霧雨のち曇り 4時起床、今日もキリションかと思ったが歩き始めると止んで暖かくなる。
程なく50mの滑滝、下ると右から100m以上の滝が合流して壮大な景観だ。
だらだらとゴーロが続き十ノ沢を過ぎると北大女子が一人で朝飯用の釣りをしていた。
6泊の山行で今日は停滞とか羨ましい。
その直後、草地でジバチに襲われる。両耳刺されてダンボ、指もやられた。
八ノ沢出合を見過ごした単独者に会って漸く日高最奥の地から戻ったんだという気がした。
ずっとお日様に恵まれず寒さに震えた山行だったが終わってみると充実感で一杯だ。
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