週末はまずまずの予報でそのうちにと思いながら先延ばししていた札幌岳から漁岳の縦走を計画する。
近間で山泊まりするには持ってこいのルートだが最近あまり歩く人がいないようだ。
重いザックを背負っての縦走は辛いが思い出に残り、後から山並みを眺めて感慨に耽るのもまた楽しい。
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沢の穴は心配した程でなく下降でも問題なかった 札幌岳を下降すると雪崩の厭らしい斜面が待っている やや複雑なガマ沢源頭付近、札幌岳が遠くなる
待ち合わせ場所にみんな早く揃ってやる気満々だ、
漁岳林道に下山用の車を、空沼岳登山口にエスケープ用の車をデポすると丁度、
朝日が出てきて好天を期待させた。
ピッケル・アイゼンは要らない筈だが冬泊まりが初めてという北さんの体慣らしを兼ね
全装で行くことにした。
札幌岳登山口に着くと20cmの新雪で空がすっかり雲に覆われてしまう。
沢中の積雪は厳冬期に近く、寒いせいかデブリが少なくて幸いだ。
ただ風邪が治り切らず体調いまひとつだがまずは順調に札幌岳山頂に到着する。
ガスで視界が悪く、風があって寒い。
山頂直下の急斜面はザイルを延ばして下降、すぐ吹き溜りの広い斜面があり、雪崩を警戒しながら下降する。
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せめて真廉沼辺りの陵線まで、もう少し頑張るぞー だが結局、空沼岳を望む静かなテンバに落ち着いた 今回大テントを担いだタッチ、沢山ご飯食べてね
ここは残雪期に2度来てるので見覚えある地形だが天気のせいかガマ沢の
源頭までやたら複雑に思えた。
アップダウンやトラバースに疲れてペースがガクンと落ち、
狭薄山をピストンする話も立ち消えとなる。
テン場は御来光と札幌の夜景が期待できそうな空沼岳の稜線を予定したが疲れてしまい、
ヒョウタン沼の近くに大テントを張った。
大きな雪庇が風除けとなりとても静かな場所である。
米を焚き、かなちゃんの具沢山スープカレーでお腹一杯になる。
自分は酒と風邪薬でバタンキューだったが20時にはみんな揃って就寝したらしい。
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空沼のコルから狭い陵線の登り下りに手こずる ピーカンが外れたが薄日射す稜線風景もおつだった 左下は巨大な雪庇と崖が続いて気が抜けない
3時半起床、ラーメンと雑炊を食す。
新たに20cmの降雪あり、予報が見事に外れて曇天だが風は無かった。
空沼岳を過ぎるとようやく薄日が刺し始める。
ピーカンを期待したがぼやっとした真っ白な風景もおつだった。
「やはり日帰りでは味わえない神々しいまでの美しさ、
それもびっしり見せるのではなくちょい見せと言うか、憎いほどの演出に美しさが増しますね」
と北さんの言葉が憎いほど上手かった。
空沼岳の頂陵を数百m過ぎるとラルマナイ川源頭コルにガクンと落ちる。
急斜面でちょっと厭らしく、横に逃げようとしたら亀裂が入っていた。
コルから先は大きな雪庇の続く狭い陵線で上を行くかトラバースするか迷う。
少し手こずりながらアウルさんとマサが先導、ここは東に崖が続いて視界の無いときは要注意である。
やがてハイマツが埋る、まるで牧場のような風景に古いモービルの跡が延びていた。
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クトーを効かせガリガリバーンの北漁岳を登る 北漁岳山頂、ガスっているが初ピークで嬉しい 漁岳山頂より滑降、難しい雪で足腰が切なかった
入組んだ漁川の源頭コルを過ぎると終盤だが漁岳はなかなか姿を見せなかった。
始め北漁岳の右奥に見える饅頭の様な山がそうかと思ったが、
どっしりした北漁岳に隠れたままだ。
北漁岳の北斜面は硬いバーンで少し緊張しながら登る。
かなり前に先輩等が縦走した時に雪崩れて数名が流された場所だと確信した。
雪庇の末端から頂陵に出るとシュカブラの中に盛り上がった北漁ピークがあった。
漁岳が低く見え、ピークに人影が見える。
そして予定より2時間早く漁岳山頂に到着、薄っすらガスに覆われて展望は無かった。
さて記念写真に納まったら、シールを外して下山とする。
直下はガリガリかと思いきや雪の柔らかい面もあり、楽しいやら辛いやらで忙しい。
青空と恵庭岳を眺めながら縦走の満足感と終わったなという一抹の寂しさに浸る。
林道にはまだビッシリ雪が残って幸い、車を回収し定山渓温泉でさっぱりして解散した。
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