2013年8月31日 曇り メンバー4名
5:55奥新冠北電ゲート→6:35南西面沢出合い→7:30大滝c780→10:30尾根取付きc1400→(11:15-11:35)ルイベツ岳→14:40南西面沢出合い→15:15奥新冠北電ゲート
ルイベツ岳とはアイヌ語で(火を噴く山から流れる川)の意味、幌尻岳から南西5kmに位置する割と大きな山である。
この山の存在は「ガイドブックにない北海道の山50」で初めて知ったが
何せアプローチが遠く気になりながらもずっと後回しになっていた。
崖淵を縫うように作られたこの林道はまたいつ閉鎖されるか分からないだけに今の内さっさと登ってしまうことにした。
前夜19時過ぎに札幌を出発、小雨降る林道を慎重に車を走らせ24時イドンナップ山荘に到着する。
既に後部座席でたっぷり飲ませて貰い、
軽く安着祝いして寝たが今朝起きたら酒がしっかり残って先月の二の舞かと一瞬焦る。
飲み過ぎでモチベーションが下がりルイベツ岳を止めオロエナイにした失敗がありながら相変わらず反省が足りない。
今度こそきっちり落として帰るぞ!と回らぬ頭で身支度を進めた。
北電ゲートから歩いてすぐ林道とダム工事で殉職した58名の慰霊碑に手を合わせる。
道路から崖下を覗けば如何に難工事だったか容易に想像がつき、
眼下に流れるプイラルベツ川の美しい渓谷を見ながら40分程で南西面直登沢に出合う。
蕗の葉が覆うような渓だが沢幅も水量もそこそこで、取り合えずぶたでなくてほっとする。
山頂まで2000m進んで1000m登る急峻な地形だけあって小滝がそこそこ出てきて退屈しない。
ちょうど導水路が屈曲する、c780で最初に現れた8mの垂滝がこの沢で最大だった。
左岸の小ルンゼから低く巻くが岩と泥壁のトラバースに気を遣う。
c930ですっきりした沢筋が右から入るとすぐ上に6mの滝、右岸から巻く。
小滝を幾つか越え快調に高度を稼ぐ、先程まで谷間に見えた山並みもすっかり雲に覆われてしまい雨にならないよう祈る気持ちで先を急いだ。
一気に水量乏しくなってc1010で水を汲んだら程なく復活する。
c1060mで6mの滝、細かい突起の流れから登れそうだが岩が脆く右岸を巻く。
巻く途中に岩壁があり足掛かり乏しく木の枝掴んで腕力で這い上がる。
更に小滝をポツポツ直登するとc1240で遂に水が涸れた。
涸沢は暫くすっきりして登り易かったがc1300を越えると倒木が塞いで難儀し出す。
おまけに斜度がきつくフェルトが滑って大変だ、笹薮も酷くなり堪らずc1400の尾根に逃げる。
こちらは薄い笹と潅木でほっとする。
自分はスパイク地下足袋に替え、yoさんは6本爪軽アイゼンを付けての登りですこぶる快調、
残り50mは潅木とハイマツが濃かったが一段高い頂に到着した。
三角点はすぐに見つかり周りの笹を刈って写真に収める。
ピンクテープ一つない質素な頂きは如何にもマイナーな日高の山らしいがガスで展望なし、
けどピークハントの喜びで十分だった。
細い西尾根にはまるで登山路のように鹿道が延びて順調に下降する。
滑って尻餅を付くフェルト靴の二人が気の毒な一方で軽アイゼンが威力を発揮する。
時々地図にない支尾根に入りかけると鹿道が消え、間違いに気付いて尾根に戻るとしっかり鹿道が続いているのにたまげる。
これなら登りもこの尾根を使った方が早かったかも知れない、全く鹿様様である。
そしてもう一息で林道という藪中で地バチの襲撃に合い、先頭の自分とyoさんが数箇所刺される!
黒い物に襲ってくるのは本当で手袋の上から3ケ所、顔を1ケ所やられパニクる。
yoさんが逃げようとしてタランボの木を握りしめ踏んだり蹴ったりだった。
最後にオチが付いてしまったが奥深き日高の山に登れ満足感一杯で林道をテクテク戻った。