利尻山東陵 (積雪期) 1726.9m  ■Home
2008年4月下旬 晴れ後曇り 東陵〜鴛泊 メンバー4名
4/26 ヤムナイ沢林道9:50→1400mC1・15:55
4/27 C1・5:20→鬼脇山→南峰コル→本峰(8:30-9:05)→北峰9:25→非難小屋10:55→キャンプ場13:20


飛び石連休の前半に利尻山のバリエーションルートの一つ東陵を予定しました。 小雪だった今年は何処の山も雪解けが早く果たしてGWまで持ってくれるか心配でした。 LIVEカメラの映像を見ると山はそこそこ白くて安心したが今回で9度目のS庭さんに言わせると全然雪が少ないらしい。 お天気は日曜が悪く雨を覚悟の登山になりそうで今一気が乗らぬが積雪期の利尻山に登れるチャンスなどめったにあるものでない。 今回は事前に赤岩でロープワークの訓練も行なった。 行ってだめなら戻ればいい・・といっても容易に戻れる場所でもなさそうだがまあ何とかなるべ〜 取り敢えずモチベーションあげて出発した。 (Photo by Sさん)

尾根に残る雪渓を頼りに高度を稼いだ        ヤムナイ沢を挟み荒々しい南稜の岩峰群を望む     バットレスと南峰の凄い迫力にただ圧倒される
4/26 晴れ時々曇り
前日の19時に札幌を出発し24時少し前に稚内フェリーターミナル傍の公園でテント泊した。 5時起床、天気は晴れ、7時出発のフェリーに乗船すればいいので朝は少し余裕である。 船の中で東北陵から登ると言う○山の会のメンバー2名と一緒になり予定通り8:40鴛泊に到着する。 身支度してると人のよさげな運転手が近寄ってきて値引き交渉が成立した。 不要な物をコインロッカーに押し込めタクシーに乗り込んだ。 運転手のおじさんは「昨日は沓形から登る登山者を乗せたとか、どこどこのコースはどうだとか」私よりずっと山の話に詳しい。 島を1/3周程走ると山の上に雲が纏わり付いて離れず気になるが幸い明日は雨から曇りの予報に変わったようだ。 車はせいぜい林道の入り口で終わりかと思ったらヤムナイ沢の手前まで入ることが出来た。 GWはだいたいここまで道は開いてるらしい。 沢を渡り林道を1.6km程歩いて標高400mより尾根へ取付いた。 雪を繋げながら時々藪漕ぎし大きな雪渓と結構なハイ松を漕いで550mの尾根上に出た。 そこには20年程前に廃道となった登山道があるがハイ松や潅木でまともに歩けず北側に広がる雪渓を登って標高を上げた。 1000mを過ぎると足元から深く落ち込んだヤムナイ沢の対岸にまるで恐竜の背かやじりの様な岩搭群が並んでいる。 あれが南陵だと聞かされたがいったいどうやって登るのか考えただけで目が回るような光景だった。 尾根は次第に細くなりガレた脆い岩で歩き難くハイ松と潅木を押し分けへし分け登って行く。 そろそろテン場を探さなくてはならないが雪が少なく適当な場所が見つからない。 鬼脇山を越えた処にあるらしいが今の雪の状態では当てになるまい。 雪渓を登ってる最中に右のアイゼンが知らぬ間に外れていた? 一瞬肝を潰したが30mほど戻った処で見つけ胸を撫で下ろした。 1420mまで登ると尾根のちょっとした窪みに雪渓が付いていた。 S庭さんが少し先の鬼脇山へ様子を見に行った話ではテン場どころか思いっきり細くなってると言う。 この際、傾斜地でも何でもよいスコップで雪を切り崩してテン床を均し風除けブロックを積んだ。 夜中トイレに行くとき落っこちないように立派な階段も付けた。 ウイスキーは500mlしか持ってこなかったから効率よく酔っ払わなくちゃいけない。 二方向に町の灯りが見えめずらしく携帯のアンテナが3本立ってる! 先のタクシーに携帯を忘れたLは恨めしげにメールするのを見ていた。 9時半就寝、夜中は快適に寝れたが他のメンバーは寒かったと言う。

二日目:鬼脇山を越えるといよいよ核心が始まった   岩塔(ピナクル)を基部から巻く、一歩一歩無心で登る    ガスってなかったら足が震えたかもしれない
4/27 曇り
3時半起床、薄明かりの外を覗くと曇り空ながら薄日も差しまずまずの天気だった。 ハーネスを付け出発、バットレスの奥にちょこんと飛び出た本俸までいったい何時間掛かるのだろう。 鬼脇山からは話の通り一気に稜線が細くなり歩幅程度のリッジを超える。 右斜面はたまに潅木が出て有難く左のヤムナイ沢は足元からスッパリ落ち幸いガスで谷底までは見えない。 昔、正月に会員2名が雪庇を踏み抜いて亡くなったのはこの辺りではないかと言う。 今はすっかり成仏されてるであろう御霊に手を合わせついでに山行の安全を祈った。 再び先が大きく落ち込んで覗くと一旦下った雪渓の先にピナクル越えがあり始めてザイルを出した。 S庭さんがダブルロープで右から巻くように雪渓の壁を乗越えて姿を消し50mザイル一杯の処で後続への合図が鳴った。 Y内はタイブロックを使い、T井、H寺の順に雪壁を乗越え急な雪渓を登った。 雪の付いたリッジの先が登りでなく落ちているのは厭なもので今までこんなに神経を使って歩いたことがあっただろうか。 陵線は一気に急を増しいよいよ南峰直下に入ったのが分かった。

これが標高差150mの雪壁か!落ちたらお終いだ     なんと急で長い登りだろう、腰と背中が辛い・・    雲を抜け視界が効きだす、あと少しの我慢だ
ピッケルを雪面に突き刺し先行者のスッテプに足を蹴り込み時には四つん這い状態で慎重に一歩ずつ高度差150mの雪壁を登った。 背中も胸も苦しいが立ち止まるのも嫌で上に見える黒い岩塊の傍にいるS庭さんの処まで必死に登った。 そこは南峰の基部で漸く一息付ける場所であり少し先の本峰手前まで行くと長年の風雪に耐えた古い祠が据えられていた。 本峰は高さ10m程の岩峰でありハイ松と潅木に覆われ西風の当たる面は凍って白くなっていた。 ザイルを出したが取付きの後はそんなに難しくない、もっとも雪に覆われてたら話は別だろう。 古い山頂標識が地面に転がってるだけの質素で狭い本峰だった。 まさかここから北峰、南峰、各岩塔群を見下ろすことができるとは思わなかった。 ふっと雲が切れ足元に東北陵と東陵の荒々しい岩陵を俯瞰でき感激である。 北峰の赤い祠にはスクリューがぶら下りきっと海の神様を奉っているのであろう。 北陵に向ってツボ跡が下っておりおそらく運転手が言ってた長浜尾根を登った登山者のものと思われた。 東北陵を登った二人連れは今頃どうしてるだろうか? じっとしていると寒く記念撮影してそそくさと北陵を下った。 残雪を繋ぐように小屋前で休憩し長官山から予定してた沢へ尻滑りは潅木が出て止めた。 登山路に沿って残雪を下っていた先行者のツボ跡がいつの間にか消えてる? 尾根の途中から沢を覗くと大きな雪渓が上から下まで続いているではないか! これを下ると先のツボ跡が再び現れメンバーは尻滑りを始めた。 さすがに登山路を歩くよりずっと早く370mで夏道に合流しテクテク下ってキャンプ場へ着いた。 船の便を調べると時間があり一風呂浴びようと温泉へ向かってる間にポツポツ雨が降りだした。 初めから諦めてた天気だがぎりぎりまで待ってくれ本当にありがたい。 風呂から出ると雨は本降りとなり昨日のタクシーに来てもらってターミナルに戻った。 車中で今日また登山者を乗せたことを聴かされこの天気によく行くもんだと呆れた。 ターミナルでは北陵を予定の学生グループが雨宿りし食堂で飯を食べて14時20発のフェリーに乗った。 次はいつ来れるだろうか?船の窓から見える利尻山はどんより雲が掛かったまま遠ざかっていった。 じゃんけんで勝ち一番先に車の運転手になったが稚内から手塩まで酷い土砂降りである。 交代したとたん嘘のように雨が上がるからよほど普段の行いが悪いのだろうか・・ けど札幌に着くまでいったい何本空にしただろう心身共に疲れたがとっても良い山行だった。

本峰手前の古い祠、長年の風雪に耐えてきたものだ  まさか本峰から南峰、各岩塔を見下せるとは・・・    鬼脇山から延びるツボ跡に感嘆の声が上がった





利尻山 リシリザン(道北)1718.7m ■Home  

2000年6月 曇り後晴れ 鴛泊コース メンバー7名
登り4.45 下り3.35 総時間8.20
登山口→(2.50)小屋→(1.45)山頂
山頂→(1.20)小屋→(2.15)登山口

礼文島から利尻島行きのフェリーに乗り込む    山頂神社で記念撮影、寒くて裏へ退避する     本峰へは立ち入り禁止、奇岩が並んでいる

鴛泊のフェリーターミナルから北麓野営場へ重いリュックを背負いぞろぞろと歩き始める。 初めての利尻島は雨のお出迎え、観光や登山の時期にはまだ少し早いのかどの土産店も寂しげであった。 坂道を辿るメンバーの足取りは礼文岳帰りで元気がなくひと気のない静かな町とあいまってセピア色に映ってたかもしれない。 途中の店で食糧を調達しキャンプ場でバンガローを借りた。 礼文島で採ってきた竹の子を焼き即席のうど料理で酒が進んだ。
翌朝3時に起床し4時出発する。 薄雲で覆われているが天気は回復基調である。 数百m先の「甘露泉」で名水を汲む、少し呑み過ぎたせいか喉が咽きコップでがぶ飲みすると頭の芯が痛くなるほど冷たい。 水は2リットル詰めてちょうどだった。 出だし平坦で歩き易く樹齢を重ねた松の大木が目立つ中を小鳥の囀りを聴きながらまさに散歩気分である。 ダケカンバや笹で見通しが悪くなると脚も重く一本調子の退屈な登りが続いた。 6合目の「見晴台」は雲で全く視界が利かなかった。 道々花の種類は少ないがエゾエンゴサクの群落とハクサンイチゲ、○○スミレ、それからギョウジャニンニクが旬を迎えていた。 登り一本調子の長〜い道程りの末ようやく8合目に辿り着く。 どうやって此処まで運んだのか年季の入った大きな石碑が建っていた。 避難小屋に荷をデポし少し身を軽くする。 ここの人慣れしたカラスには要注意だ「キャー!黄色い悲鳴」危くKさんのカメラバックを持ち去られるところであった。 小屋を出た直後で大きな雪渓の淵を歩くが用意したアイゼンを使うことはなかった。 9合目の標識には「ここからが正念場」とある。 急登でずるずると小砂利が滑って登り難く時々設置されたロープの世話になる。
やっとの思いで達した山頂には小さな祠が建っていた。 風が強くて寒い、雲が切れ眼下に鴛泊と沓形の小さな町、海を挟んで礼文島、サロベツ原野を望むことができた。 初ピークを踏め嬉しかった。 登山の時季にはまだ早いのか静かな登山を楽しめた。 下山中に天気は回復し青空が広がる。 お土産を採取し麓の温泉で急いで汗を流しフェリーへ向った。 海上から眺める島は妙に名残惜しかった。
雲の合間に青空と礼文島が見えだした       残雪の長官山に小屋がポツンと見える     姿を現した!利尻島は海に浮かぶ山だあ


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