豊浦町と長万部町の境界にある礼文華山道はかつて蝦夷地の三大難所といわれた峠で
江戸期に伊能忠孝や松浦武四郎、明治期にイザベラバードが歩いた「いにしえの道」である。
以前、岩屋観音を訪れた時にたまたま山道を整備されている方から頂いた案内図で知った道だが、
今では秘境小幌駅と岩屋洞窟をセットにしたツアーもあるなど人気のコースになっているらしい。
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雨上がりの中途半端な天気なので気になっていた礼文華山道を歩いてみることにした。
自転車を積んで一人で出掛ける積りでいたら同行が現れ、しかも車が2台になって渡りに舟である。
岩屋観音へは山道の途中からショートカットすることにして車をデポ、戻って豊浦町森林公園を出発する。
山道の案内板から登って行くと伐採された斜面が広がり、ピンクテープに導かれながら赤いイチゴと大きくなったウドの作業道を辿る。
古道らしからぬ景観も尾根に出ると少し雰囲気が良く、林道一面の車葉草が目に鮮やかだった。
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古道本来の部分は2-300mで終わり、あとは林道や旧国道の入り交ざった道が続く。
これらは古道が改良されたり付け替えられた道で木の枝越しに羊蹄山と昆布岳がちらっと見えるが展望はぱっとしない。
土場と思われる場所に「相撲取り場」の看板がユニークだ。
さて礼文華トンネルのほぼ真上に大きな案内板とゲートがあり、すぐ右の藪尾根に復元中と思しき細い山道が延びていた。
今から140年ほど前に馬三頭と通訳の若者を従えたイザベラバードが辿った路だが、
その旅行記に「景色は壮大そのもので天国にも比すべき風景が此処にある」と記されているので気になる。
この辺から100mほど藪を下ればデポした車だが雨の後で芳しくなく、海を垣間見ながらそのまま林道を下ることにした。
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国道をトボトボ1kmほど歩きデポした車に到着、林道ゲートのすぐ右に踏み跡があるので下ってみると小幌駅に直に出ることが出来た。
犬が一緒だったせいか向かいのホームで休んでいたグループが驚いた様子でこちらを見ている。
この駅は去年廃止話が持ち上がった日本一の秘境駅で先が危ういものの再訪できて嬉しい。
貨物列車を一本見送り、前回うっかりパスしてしまった美しい入り江でお昼とする。
続いて下った文太郎浜は殊のほか玉石の綺麗な浜で最後にこちらも景観の素晴らしい岩屋観音を再訪、けどやはり秋の方が良いかと思う。
今まで歩いた増毛山道、濃昼山道、様似山道、猿留山道に比べると物足りなさは否めないが、
岩屋観音や秘境駅など他にはない魅力ある山道と言える。
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<2012年 岩屋観音と小幌駅探訪 はこちら>