雷電山の由来はアイヌ語で諸説あるが(ライ・テム 落雷で山が唸る)と云うのがイメージ的にすんなりくる。
日本海に突き出た大きな山という他は特に目立つ特徴も無く、美しい山々が並ぶニセコ連山の中に於いては至って地味な存在である。
厳冬期に三国内から一度山頂を踏んでいるが天気が悪かったので展望狙いと春スキーを兼ねて再訪することにした。
札幌から現地に向かう途中、雲一つ無い青空の下に真っ白な羊蹄山、ニセコ連山、幌別岳が順に目を楽しませてくれた。
蘭越の町道からコックリ湖へ通じる林道は1km程入ると雪でストップ、
そこからスキーで40分ほど進んだ所にコックリ湖の案内板が立っていた。
前からコックリさんみたいで変な名前だと思っていたが本当に狐が多いとの理由で「狐狗狸湖」と書くとは思わなかった。
その案内板から尾根に取り付くと、ミズナラとカンバの疎林が続いて春スキーにもって来いの広い尾根が続いた。
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緩やかな尾根を登って行くと序々に展望が開けてくる。
初め木の枝越に見えた幌別岳がいつの間にか大きな山塊として広がりを見せ、続いて大平山と狩場山が姿を現す。
尻別川が大きく蛇行し、青空の下に広々した日本海と白い山々が美しいコントラストを見せている。
更に標高を上げると噴火湾が見え始め、道南の山々の中に恐らく駒ケ岳であろう山容と胆振方面に端正なオロフレ山が望まれ、
何とも言えない風景に暫し足が止まった。
700mを過ぎるとカンバも斑になりゲレンデのような見晴らしの良い斜面が広がる。
やがて日の当たる尾根筋に潅木がちらほら目に付き、
1046ポコの前後には既にハイマツが出始めていた。
さて地図を見れば山頂まで顕著なポコが三つあるが、
一つ目のこのポコはシートラすることも無く、海を眺めながら楽に巻くことができた。
もう少しすればハイマツが立ち塞がり今日はたまたまラッキーだったかも知れない。
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一つ目のポコを超え平坦な尾根を進むと再び展望が開け、
雷電山の稜線の先に目国内岳、シャクナゲ岳、アンヌプリ、羊蹄山、尻別岳が一列に並ぶ。
羊蹄山は綺麗な円錐形ではなくちょっと外輪をこちらに傾けた姿が雄阿寒岳のようで面白い。
さていよいよ雷電山の頂稜が目と鼻の先に迫る。
目の前には広大なオサンナイ川の源頭斜面が広がり、そこに幾筋ものシュプールが刻まれていた。
帰りにこれを滑ってみたいが果たして上手く戻れるだろうか?
慌てるように地図を取り出してみたが車までかなり歩かねばならず諦める。
機会があれば一度訪れてみたいルートだった。
1161ポコに登る尾根筋は砂を撒いたようにポツポツとハイマツが出て、右の急斜面をひいこら登って頂稜に出る。
上は掴み所の無い広い稜線で山頂は近い筈だが何処だか検討が付かない、まだずっと奥か長げえなあ〜と思いながら漸く先行の待つ山頂に到着した。
およそ山頂らしからぬ平坦さで取りあえず羊蹄山とニセコの山々が見える方へ進んでみる。
するとじわじわ浮かび上がる日高山脈のような白い山並みに目を見張った。
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積丹半島の付け根に位置するこの山からの眺望は抜群である。
眼下に岩内の町を望み日本海が弧を描くように延びている。
海に突き出す半島に白い峰々が横一列に並んで絶景と言うほかない。
岩内の奥の高い山は八内岳だから右端は稲穂嶺か銀山あたりだろうか。
真ん中に泊源発が見え、その上のポコポコはトーマル峠周辺の両古美山や泥ノ木山かと思われる。
そして双子のような余別岳と積丹岳が一際白い山体を呈し、珊内岳に続いて左端に大天狗が思ったより小さく望まれた。
前回とは打って変わっての大展望に気を良くして下山とする。
下りは往路に沿って尾根を滑降した。
丁度良い具合に雪が融け出してストレスなく快適である。
あのオサンナイ川の源頭斜面も気になったがこの好条件で尾根を滑らなかったら悔いが残るところだった。
1000m弱から林道まで適度な傾斜の広い尾根は気の趣くまま快適な滑降が楽しめる。
斜度から言ってもこの時期が一番お薦めではないだろうか、
登りが長くてちょっと飽きるが印象に残る良いルートだった。
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