幌尻岳(北カール)(北日高)2052m  地図はこちら(約111kb) ■Home
2002年9月  晴れ時々曇り    登り9.35 下り5.15  総時間14.50 標高差1300m
1日目 登山口ゲート→(1.20)取水ダム→(2.15)山荘 泊
日目 山荘→(4.50)北カール→(1.10)山頂→(2.35)山荘(尾根) 泊
3日目 山荘
→(1.30)取水ダム→(1.10)登山口ゲート
 六の沢出会い後は水量が減っていく         大量の流木が覆い尽くしている          F2左岸上部でザイル使用(高さ30m)

札幌を朝出発、好天続きで糠平川の水量も少なく幌尻山荘まで順調に到着した。 三連休と町民登山会にぶつかり山荘内は足の踏み場も無いほどごった返している。 遅く着いた者は管理人と先客に気兼ねしながら寝床を確保していたが我々は小屋の軒下で宴会し寝ることになった。(しっかり料金は取られる)
天気予報に反し夕暮れ時からポツポツと雨が降り出し夜中目を覚ました時には糠平川の沢音が大雨に聞こえ 忌まわしい「増水」の言葉が思い浮かんでハットする。
幸い翌朝には雨がすっかり止み登山者の中には早々と4時半頃にランプを点け尾根に入って行く人もいた。 9月ともなると日暮れが早く戸蔦別岳を周回して今日中に下山する人には時間が勝負なのだろう。 その点こちらは今夜も小屋泊まりなので余裕があり5時半過ぎ最終組で出発した。 小屋裏の小道を通り糠平川に入ったが起きがけでまだ体が慣れずスムーズな足運びとはいかない。 不明瞭な踏み跡と巻道を見逃さぬよう進むと先に出発した一個団体に追着いた。 人の尻に付いて歩くのは路を探す手間が省け楽だが沢本来の興味が半減し嫌である。 幸い団体は途中から戸蔦別岳へと向かって行ったがこの間たかだか30分とは言え登山靴の人もいたのには驚きだ。
六ノ沢出会からは人があまり入らないせいか踏み路もピンクテープもなく流水の減った沢を右に左にと快調に登り詰める。 大量の流木を乗り越え前方を伺うと何やら気になる滝が小さな白い筋として確認できる。 この滝(F1、10m程)は左岸を巻いて難なく越えることが出来たが問題は200mほど先にある高さ十数mの滝(F2)である。
滝の手前は深いV字状で高巻きが見つからずとりあえず左岸から2段目の上部まで登るがその上に良い足場が無く、 足元を落下する水しぶきに緊張しつつ残り3mにザイルを出した。
後から来た3人組が滝下で様子を伺っていたが上段辺りまで同じルートを辿り更に高巻いて潅木に姿を消した。 滝の落ち口から20mの処で踏み後が合流しており結局彼らに先を越されてしまう。 この後4-5mの小滝を過ぎ1200m二股を右、1350m二股は地図を確認し左を選んだ。 振り向くと六ノ沢出会から1881ピークへの稜線越しに北戸蔦別とヌカビラ岳が望まれる。
出発して4時間経ってるが沢の緊張感と青空が登頂意欲を高め疲れも出ずこぶる調子が良い。
やがて前方の空が開けると待ちかねた北カールの入口で目の前に広がる風景は実に感動的である。 おそらく一面のお花畑であったろう草原は早くも草紅葉に色付き始め清流がこんこんと静かに流れてる。 カール底をのんびりと源頭に向かい歩いてると後ろから来たのは先行してるはずの3人組みだった。 なんでも幌尻岳と戸蔦別岳の中間に突き上げる予定だったが1200m二股から左が悪く断念したらしい。 それにしてもタフな連中で再び追越し先に行ってしまった。
ガレ場に近づくと鳴兎の声があちこちから聞こえたが悔しいことに先頭を歩いた私にだけ姿を見せなかった。 源頭から左にガレ場を詰め山頂付近に出たが何せ標高差400m近くの急登で息絶えゝである。 一旦夏尾根の途中に出た方が楽だったかもしれない。 広い山頂は戸蔦別岳を廻ってきた先の一個団体で賑やかで眺めもまずまず。
ところが尾根道を下った10分後にはどんよりした雲が懸かり遠雷に驚きながら急いで小屋に戻ると大粒の雨が降ってきた。 小屋はあいかわらず大入りだが幸い二階に潜り込むことができた。 寝ているさまはまさに市場に並んだマグロである。
 F2の上部に続く小滝              下から見上げるカール底はまさに別天地の趣がある   ガレ場を詰め山頂を目指す
 ガレ中腹から見渡す広大な北カール
幌尻岳ポロシリダケ(北日高)2052m 尾根コース ■Home
2001年8月  晴れ時々曇り  糠平川コ−ス  登り6.55 下り5.30  総時間12.25(AM5.30出発PM6.30着) 標高差1300m
登山口ゲート→(1.20)取水ダム→(1.50)山荘→(1.15)命ノ水→(1.55)山頂→(2.00)山荘→(2.10)取水ダム→(1.20)登山口ゲート
 中も広い幌尻山荘(1000円)            命の水(チョロチョロ程度)           戸蔦別岳の端正な姿に引かれる
去年(9月)今年(7月)といずれも雨で断念、先月は遭難事故と遭遇し改めて山の怖さを認識し今回3度目の正直でようやく思いを果す。
いつものように金曜夜7時過ぎ自宅を出発し国道237の幌去橋を渡った「幌尻岳」の看板で農道へ入る。 真っ暗な崖淵の林道は走りたくないので豊糠の道路脇に車中泊したが午後11時過ぎマドをノックする音にビックリして飛び起きる。 近くの農家に不審者と思われたようで事情を話して再度眠りにつくが夜中に何度も眼を覚ます。
寝不足気味で朝を迎え車を1時間ほど走らせゲ−トに着くと車がビッシリでUターンすらままならぬが運良く1台抜けた後に駐車する。
すぐ身支度し5km先の取水ダムまで20kgのリュックを胸に食い込ませただひたすら林道を歩く。 前を行く単独者は先週オプタテシケを日帰りしたとかで軽装のためやたら足が速い。
取水ダムを過ぎ糠平川の右岸を四ノ沢まで辿ると岩面に「ここから渡渉です」と小さく書かれ靴を履き替える。 一週間ほど好天続きだったので水は膝から深い所でせいぜい腿位で透き通るように底も見える。 大きな岩の上2m程の高さをヘツる処もあったが水の中をジャブジャブと対岸に渡った方が楽だった。
行き帰りに十数人と擦れ違ったが寝袋を裸のままリュックの下に縛って渡渉してる人がいて見ているこちらが心配になる。 極めつけは下山時に私の格好を見て「この山は登山靴だけでは登れないのか?」には呆れた。 大阪から来たのに諦めて帰ると言い出すので運動靴を沢靴の替わりにしたらどうかと言ったが・・その後どうしたろうか? 
十数回の渡渉を繰り返し目の前にパッと山荘が現れ一先ず安堵する。 小屋を覗くとガラ空きでテン泊の予定を変更して2階に荷物をデポする。
すぐさまサブザックを持って尾根を登ると今までの反動か何と身の軽いこと。
中腹にある「命の水」で喉を潤し(コップ一杯溜まるのに結構時間が掛かる)。
少しずつ視界が開け背後に夕張岳と前方に戸蔦別(写真右上)が見え出す。 更に這い松と岩場が続く尾根の先にはどっしりした幌尻岳が迫り足元に咲く花々に疲れも飛んだ。 眼下の北カールには沢伝いに登ってきたグループがテントを設営しなんとも羨ましい。
岩場のピークを越え右に幌尻湖が見えると新冠川コースとの分岐で一頑張りし頂上に着く。 ケルンとレリーフ(北海学園大ワンダーフォーゲル部員)の目立つ頂きから東カール越に十勝幌尻、エサオマントッタベツ(写真下右)を望む。 軽く昼食を摂って小屋に午後3時到着すると取水口を一緒に出発した単独者が戸蔦別を一回りして戻るのと同時だった。 思ったより時間が早かったので泊まらず帰ると言うのにつられ急遽2階の荷物をまとめ下山することにした。 一人で沢を下りながら先月の遭難地点はたしか滝の近くと言ってたがこの辺だろうか?  亡くなられた方の奥様や仲間が漆黒の沢を下り私の車中でどんな心境だったろう・等いろいろ考えてしまった。 取水ダムに着くと若い男性が一人テントを張っていた。  ゲートまで最後の林道5kmは本当に長く真っ暗になる寸前で車に着いた。 平取に出て高速を使って帰宅、10時過ぎ居間でテレビを見ている自分に何だか不思議な気がした。
(注:現在は林道ゲートの手前2.5kmの仮ゲートからの出発となり小屋は完全予約制でテント設営は禁じられている)
 登山道尾根から見る幌尻岳山頂          ケルンのある広い頂(ガスが次々とかかる)     山頂から北方向

inserted by FC2 system