新冠林道をひた走って下新冠発電所を過ぎると程なくアイマベツ沢の橋があり右岸の作業道に入る。
すぐにゲート、鍵が開いたので番号を控えそのまま進むと1kmで砂防の工事が入っていた。
邪魔にならぬよう車を止め、急な作業道をテクテク登ってS字のc430で入渓する。
思いのほか水量がありブタでなくほっとしたがやたら滑る岩に閉口する。
スパイク地下足袋で来たのを後悔しながら淡々とした沢を進むと不意に新しい林道を二つ横断してビックリする。
この奥にも砂防を作る計画なのだろうか?あのまま車で登ってくれば良かったと拍子抜けする。
やがて谷が深くなる610mの二俣にそれぞれ滝が掛かっていた。
左には木の間越しに20mはありそうな滝が垣間見え、進む右は8m+6mの二段滝が涼しげに水飛沫を上げている。
右岸を高巻くと踏み跡とも鹿道ともつかぬ薄い踏み跡が錯綜し、
上段の斜滝を足下に見ながら滝上に抜けた。
F1を過ぎると再び平凡な小沢に戻るが相変わらずペースが捗らない。
今日はピウ岳とあわよくばオロエナイ山の一日二山でも!と目論んだが甘かった。
780m二俣は右の水量が圧倒的に多く危うく騙されそうになる。
左に入ってすぐ3mの小滝、傾斜のある小滝群を気分良く登ってゆくと一気に水が乏しくなる。
1L給水したとんに水が涸れ、細かな二俣を拾ってコルを目指したが倒木が煩い。
コルの右斜面には地肌が剥き出しの大規模な雪崩痕が見え、この先ますます倒木が酷くなりそうだ。
左の沢形に逃げるとじき笹が覆い、稜線まで高々100m程の藪漕ぎがやけに長く感じる。
そしてポコの様な稜線の笹中に二等三角点とその傍に峰風さんの山頂標識が転がっていた。
展望を遮るカンバの枝がなんとも邪魔で、風がぴゅ〜とも吹かず虫の煩い山頂をあとにする。
山頂は木々が展望を遮りさっぱりだったが、下ってすぐ木の間越しに日高山脈が望まれた。
中央にどっしりしたイドンナップ岳、その左に雪筋の残る幌尻岳、
右にカムエクから1839峰まで素晴らしい眺めが広がり思いがけぬ山座同定に時の経つのを忘れる。
F1を巻いてから再び滑る沢に閉口したが、林道が上まで延びて意外に早く車に到着できた。