ピンネシリ〜吉田岳〜アポイ岳 957m・825m・810m (様似町) ■Home |
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澄み渡る青空が広がり実に気持ちの良い朝を迎えた。
アポイ岳に花の写真を撮りに行くhiroponと共にキャンプ場を出発、ピンネシリ登山口まで送ってもらう。
林道途中でクリンソウの群落が朝日を浴びて輝き、早々撮影会が始まる。
陽が当たると色が飛んでだめらしいが、どうせバカチョンだからとバシャバシャ撮った。
花の山とは聞いていたが登山口を出発して程なく、足元にオオサクラソウとスミレの花が迎えてくれた。
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ダニ対策は万全で望んだ。
下着の上はカッパのズボンとヤッケ、犬用のダニ除けスプレーを全身に吹きかけ、
さあどっからでもかかって来いと言う感じである。
今のところ功を奏したようでダニが一匹も寄り付かない。
と言うか思ったよりすっきりした道で拍子抜けする。
ジグザグに登って樹林帯を抜けると背後に日高の山々が、行く手には前衛峰と共にピンネシリが望まれた。
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稜線が近づくにつれ花の種類が増えてくる。
アポイタチツボスミレが多い中に鮮やかなエゾキスミレが目立つ、
紫も白もアポイアズマギクだとは知らなかったが徐々に白の割合が増えてくるのが面白い。
そして嬉しいことに今まで数えるだけしか見たことの無い黒百合が二箇所で咲いていた。
さてピンネシリの山頂は三つコブが並ぶ真ん中だが、手前のピンネ北峰957が気になり寄ってみることにした。
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北峰はハイマツと潅木に囲まれ展望もなく、枝にピンクテープを結び縦走路に戻った。
そして程なく初ピークのピンネシリ本峰を踏む、狭い頂からは大展望が得られ、特に南日高山脈の眺望が素晴らしい。
よもぎさんは2回目だが前回ガスだったとのことで感激ひとしお、
北さんはかれこれ10回以上は登ってるとのことだがタンクトップはあまりに無防備だ。
ザックを下して点検すると北さんの服にマダニが10匹以上這っていた。
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ピンネシリを過ぎると紫色の中に白いアポイアズマギクが目に付くようになる。
そして稜線のワラビを採りながらふと見上げるとチシマザクラが咲いていた。
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ピンネシリから尾根伝いに下っていくとミヤコササに覆われたダケカンバ林となる。
道がトラバース気味に付いて不思議だが、
所々に鹿のヌタ場があるので鹿道を人が利用したのかも知れない。
風が無くなると暑くて堪らないがヤッケは脱げない、もうちょっとの辛抱だ。
北さんの脇の下に喰い込んだダニを引っこ抜く、結局これだけで済んだ。
吉田岳の手前、風の渡る稜上で一休みする。
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ロープの張った登山道の周りはちょっとしたお花畑が広がり、色とりどりの花が咲いていた。
大雪山のようなボリュームこそ無いが、海の風景にチングルマと言うのも風情があって良い。
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チシマフウロやフデリンドウの淡い色合いが清々しい。
従走路にはチングルマ、キンバイ、ハクサンチドリ、アポイアズマギク、などの他、
花の好きの人なら狂気蘭舞するような珍しい花もあったのではないかと思う。
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アポイ岳に戻る二人連れと入れ替わるように吉田岳山頂に到着する。
流石にここからはヤッケを脱ぐ、結局ダニは一匹も付かず気にし過ぎだったかも知れないがカッパの下はかなり有効だったと思う。
それはさておき眺望は抜群だった。
日高山脈南端の山々が手に取る様に近く、幌満ダム、様似やえりも方面の海岸線を見下ろす風景に感激する。
20年ほど前に吉田岳まで来ているがこんな山だったか?
これほど記憶がないのは登ったことがないのと一緒だなあなんて思いながらアポイ岳に向かった。
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吉田岳からアポイ岳の稜線はゴツゴツした岩場が目立ち、
かんらん岩の隙間に身を寄せ合うようにサマニユキワリソウやミヤマオダマキが咲いていた。
コルから振り返るピンネシリと吉田岳の鋭鋒や、
海をバックにアポイ岳の尾根に取り付く登山者の姿など山好きにはたまらない風景である。
そしてアポイ岳の中腹でじっと座り込んでいたのは花の先生hiroponだった。
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hiroponが加わると初めて聞く花の名前と立ち止まる回数が増えた。
初見のアポイクワガタもこの山の固有種で下山途中の馬の背にいっぱい咲いていた。
全体に花の時期がずれ込んでるらしいが彼の有名なヒダカソウにはお目にかかれなかった。
ダケカンバに囲まれたアポイ岳の山頂はジャージ姿の若者で賑わい、次々に登山者が登ってくる。
折角だから幌満お花畑に寄ってみることにした。
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山頂から真っ直ぐ南尾根を下ってゆく、岩場とヤマツツジの潅木に比較的歩き易い道が続いている。
眼下が開け、幌満お花畑に登山者が見える。
棘のある葉っぱに玉のような黄色い花、ヒロハヘビノボラズと言うらしいが口が回らない。
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急な道を下った所がロープの張られたお花畑だが、盗掘の影響で花は殆どお目に掛かれない。
花の代わりに会ったのがアポイ岳に登る途中の藤井とさおちゃんだった。
つつじに囲まれ対面の幌満岳を眺めながら暫しまったりする。
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樹林の中に展望の無いトラバースが続き、シラネアオイに慰められながら退屈な道を抜ける。
8合目で合流するや今度は燦燦と日が降り注いで登ってくる人が気の毒なほど暑い。
道脇に咲くチシマキンレイカの黄色い花から元気を貰い、非難小屋からの長い路をテクテク下った。
一度歩いてみたかった従走路は「花よし、景色よし、天気よし」と三拍子揃い、
おまけに「ダニに喰われず」言うことなしでした。
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