ペテガリ岳〜ルベツネ山〜1599峰〜ヤオロマップ岳〜コイカクシュサツナイ岳  ■Home
1736m〜1727m〜1600m〜1794m〜1721m (中日高 夏季縦走)   
2006年8月30日-9月3日 メンバー2名 行動時間27:00(休憩含)
1日目(曇り):札幌16:00→札内川ヒュッテC0/20:40
2日目(曇り):札内川ヒュッテ6:45→神威山荘尾根越え12:30→ペテガリ山荘C0/15:20
3日目(曇り時雨):ペテガリ山荘4:50 →ペテガリ岳(11:50-12:40)→CカールC1/14:50
4日目(晴れ時曇り):Cカール5:20→ルベツネ岳(7:30-7:40)→1599峰(11:55-12:10)→ヤオロマップ岳C2/17:10
5日目(雨後曇り):ヤオロマップ岳5:50→コイカクシュサツナイ岳7:50→下二股10:10→札内川ヒュッテ12:25

日高山脈の縦走は何としても達成したい目標だが今回はその内のペテガリ〜ヤオロ間を函館のSakaさんのリベンジを兼ね御一緒した。 アップダウンを繰り返すペテガリ岳の登り、ルベツネ〜1599峰の猛烈なハイ松はまさに思い出に残るハードな山行でした。

<8/30> 自宅を16時頃出発し20時中札内のスーパーで合流する。 まだ8月だと言うのに気温は13℃と寒く山中シェラフカバーの積りだったが車中泊用の寝袋をザックに押し込んだ。 冷たいビールと食糧を仕入れ札内川ヒュッテの二階で安着祝を始める。 階下で岩石採取の学生2名が酒盛りしているだけで他に登山者もなくあずましい。


立派な山荘だが何せ此処までやたら遠い      二度目のペテガリ山頂、前より酷いガス       ペテガリCカール、とても居心地良い所

<8/31> 車を一台コイカク沢の出合にデポしのんびり天馬街道をドライブして神威山荘で身支度する。 去年はペテガリ山荘まで車で入ったが今回は林道ゲートの鍵が変えられ尾根越えで行くしかない。 神威山荘からペテガリ山荘へ藪漕ぎとダニを覚悟のルートである。 山荘から800m程戻った林道分岐にテープが何個か下がり車は中に入れないので邪魔にならぬよう寄せて出発する。 10分程歩いた処でSakaさんが2年前に逆から来た時とどうも様子が違うと言うので一旦戻り一本奥の林道を確認したがやはりこの道で正しかった。 林道を少し歩いてニシュオマナイ川を渡ると対面から小沢が入り・376の右股に沿って作業道跡を辿る。 何とスッキリした道だろう!聞いたのとは大分違う。しかもご丁寧にテープがいっぱい下がり迷う心配もない。 c500付近の小さな滝を右岸から巻きc600より枯れ沢を登る。 笹籔の中の踏み跡は尾根の鞍部までしっかり続いている。 尾根から小沢を下って開けたベッピリガイ沢を渡ると立派な林道が延びていた。 退屈な林道を1時間ちょい歩き結局3時間かからずペテガリ山荘に着くことができた。 籔もダニも杞憂に終り思ってたよりずっと楽なルートだった。 日の高い内から一杯やってると横浜から来たと言う3名が到着する。 綺麗な山荘にも関わらず今日はたった2組の貸切である。 水場もあるしトイレは照明つき、二階に20名は寝れるだろう・・何とも勿体無い気がする。


朝日を浴びるCカール、テンバから稜線を見上げる      テンバから雲海の十勝側に日が昇る         カールから稜線1535コルに上ったところ 

<9/1> 4時 外はまだ薄暗く星が出ている。 ペテガリ岳に登って今日中に神威山荘まで帰りたいと言う横浜組を見送り出発の準備をする。 登山者名簿を覗くと7・8月に集中して意外に多くの名前が記されている。 先の人達もそうだったが100名山を終え200名山・300名山狙いの道外勢が大半のようだ。 ザックの重さは25kgを超えゆっくりとトドマツのジグザクを登っていく。 朝靄が消え背後には真青な空が広がって山頂からの眺望が楽しみである。 尾根に忠実に付けられた登山道は長くしかも何度も上り下りを繰り返す。 小ピークを幾つも越え、いい加減うんざりするが今回は一方通行なのがせめてもの救いだ。 1839峰とルベツネが意外に近く南側にベッピリガイ山と中ノ岳が望まれる。 こちらも何時かやりたいがペテガリ岳から中ノ岳まで踏み跡などあるのだろうか?  空は次第に雲で覆われ樹林の中は無風で蒸し暑く頭の手拭はすぐ汗でぐっしょりになる。 1301展望台からコルに下るといよいよ本日のメインイベント標高差500mの登りが待っている。 ガス中を休み休み登っていると遂にポツポツ雨に降られカッパの出番となる。 登りの苦しさより雨が一番厭だが幸い空は明るく酷くならなかった。 潅木が疎らになりザレの草付き斜面を登ると上に小さな山頂標識が見え出す。 出発からちょうど7時間で視界の効かない山頂に二人してどっかり腰を下ろした。 雨の様にころんとした虫が降ってくる。 1時間ほど休んで稜線を北上すると日高側から風が付き再び雨になる。 腰位のハイマツの中に踏み跡が付いて割と歩き易いが次第に岩が出て細い稜線を登り下りする。 濡れたハイマツを掻き分け全身ずぶ濡れになりながら2時間程で1535コルに着いた。 小さなテープがハイマツの枝に巻かれ東の谷に向かって転がり落ちるような急斜に踏み跡が続いている。 笹やブッシュに捕まりながら15分程降ると100m下のガレのカール底に整地したテン床が二つあった。 水を求めて更に数分踏み跡を降ると冷たい水がコンコンと湧き出ていた。 険しい稜線から開放されたせいかカールはとても居心地良く感じる。 既に花季は終わっているが花畑が点在し警戒心の薄いナキウサギがチョコマカ顔を見せてくれた。 焚き火で濡れた服を乾かしていると無情にも再び雨が落ちテントの中に入る。 僕のウイスキー1500tとSakaさんのラム酒500tは二泊分として適量だった。 食べ物が豊富で縦走を終え太ってしまったのは悲しい。 相方は早々と寝息を立てている・・一人飲んでると眠くなり外に出ると星が一杯降っていた。

     
1599峰の登りから見たルベツネ         ルベツネ山頂で、バックは1839峰         ルベツネから1588ピークに向かう

<9/2> 5時18分、ご来光を見ながらCカールとお別れする。 20分で稜線へ出ると昨日はガスで見えなかったが前後のピークが朝日に輝き一際高く聳えている。 踏み跡が辛うじて付いてるもののハイマツと潅木が酷く1720ピークまで僅か200m弱登るのに1時間もかかった。 二人とも未踏の領域に入り一段と手強いハイマツ漕ぎに今日一日半端な行程でないことを覚悟する。 ただ昨日と違い涼しくて汗を掻かないだけ調子が良い。 1720ピークに登って振り返るとペテガリ岳が端整な姿を見せ、ルベツネ山の先に1688ピークから続く急峻な岩峰が垣間見える。 ルベツネ山のピークが近づくと籔が幾分浅くなってCカールから2時間10分で未踏のピークを踏んだ。 平らな山頂からは1599峰からヤオロまでの長い稜線と更に先に1839峰が半円を描くように延びている。 ルベツネ山から下る稜線は狭い上に日高側がスッパリ落ちて100mの下降に気を遣う。 1688岩峰ピークの前後はアップダウンを繰り返すナイフリッジで冬場はさぞ恐ろしい場所だろう。 今はハイマツが手掛かりになって緊張するが怖さは感じない。 1599峰に向って下ると極端にハイマツと潅木が手強くなり噂に違わぬリンゴ畑に苦しんだ。 (ペテガリCカールとヤオロ間にテンバ跡は無かったが強いて言えばルベツネ山頂、 1469最低鞍部へ下る手前のc1640付近と1599峰の登り途中に平坦な草地があった。) ルベツネから4時間以上掛かり漸く1599峰に辿り着く、二人とも念願の山で感無量である。 ペテガリからの長い稜線を振り返りガッチリ握手してお互いの健闘を称えた。 まずは目標の12時までに着き一安心だが後半のヤオロへはまだかなり遠い。 予定では中間の1569ピークまで2時間、残りヤオロまで2時間だがこのペースでは無理かも知れない。 次の1569ピークまで夏道があれば30分で行ける近さたが実際この間が一番苦しかった。 笹が微かな踏み跡を隠し太いハイ松が行く手を阻む、大敵は背の低いダケカンバで大型ザックを背負って枝を潜るのは本当にうんざりする。 まさに笹・ハイ松・カンバのジャングルでここは二度と通りたくないと思った。 登れどニセピークの連続で3時間弱かかって1569ピークに達したが日が短いので先を急いだ。 ヤオロへは一旦標高1500mのコルまで籔を辛抱すれば後は登るに従い岩場が目立って楽になる。 日没まで何としてもヤオロに着いて水を取りに行きたい。 土曜なので1839峰狙いの登山者でテン床が埋まってるかも知れない。  Sakaさんも相当苦しい様子だが頑張って岩を登るしかない。 最後かと思われる大きな岩峰を越えると三角点があり意外にも貸切でSakaさんに大声で伝える。 二人ですぐヤオロマップ左沢側の踏み跡を下って水場を探しに行くと100m程下の小さな窪みに細く水が垂れていた。 コップ一杯に一分近くかかるが何と旨い水だろう! 30分程水を汲み陵上に戻ると寒くて堪らず急いでテントを設営する。 ここまで来れば終わったも同然、本当に苦しく長い一日だったが予定通りに事が運びほっとする。 甘露水で割ったウイスキーで酔ったのかようやくSakaさんの饒舌が戻った。 疲れて食は進まないが無理して腹に入れる。 20時前後に二人ともダウンした。


     
1599峰への登り、一瞬ガスがとれる      1599峰でヤオロを眺め腹ごしらえするsakaさん    ヤオロの水場、更に下にはよく出る場所があるらしい

<9/3> 2時前にオシッコがしたくて目が覚めたが外に出るのが億劫でうつらうつら朝方まで我慢した。 未明から遠くで雷の音がしたがお日様が昇ると青空が見えまずまずだ。 ところが歩き出して間も無く日高側の空が真っ黒な雲に覆われこちらに向かってくる。 ポツリポツリから本降りの雨になるのに時間は掛からなかった。 コイカク沢の増水が頭をよぎるが幸い稜線を境に十勝側の雨量は少なく酷くなる前に下降できそうだ。 以前にも通った路だったがハイマツがこんなに煩かったかなと思う。 コイカクへの前峰を休み休み登り夏尾根頭から急斜を下降する。 急な上に雨で足元が滑り後ろのSakaさんから「あっ」とか「おっ」とか聞こえてくる。 上二股が近づくと笹薮の中から凄い沢音が聞こえたが幸い水量は普段と変わらなかった。 2年前の台風で倒木が酷く沢は荒れている。 長く単調な沢を半分程下って休んでいると若いアベックがカムエクから縦走して降りて来た。 Sakaさんの知合いだったが日高の山の中に美人が現れ驚いた。 山の疲れで眼力は鈍っているもののカワイイ。 二人の背中を見送りながら「同行する相手があんなだったらなあ〜」と顔を見合わせて笑った。 砂防ダムを越え観測施設を過ぎるとあと僅か、橋が見え林道に上るとデポした車が待っていた。 まさに体力勝負のハードな山行を終え本当に疲れたがこの達成感が堪らない。 ピョウタンの滝レストランのカレーの大盛り550円はボリュームがあってお勧めだ。   神威山荘で車を回収し、新しくなった三石温泉380円でサッパリする。 明日函館に帰るというsakaさんと別れ帰札した。


   
ヤオロ山頂のテンバ、コイカク台地が見える         ヤオロ山頂から辿ってきた山並みが見渡せる、1599峰の右尖がりはポンヤオロ

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