ペンケモユーパロ川〜夕張岳  (夕張市)   ■Home
2015年8月16日 曇り後時々晴れ メンバー4名
6:40林道→7:30入渓・590m→13:10前岳湿原→15:35冷水コース登山口

ペンケモユーパロ川の由来はアイヌ語で「上流にある小さなタ張川」の意味、タ張はユーパロ「鉱泉が湧き出るところ」が転訛したものである。 何も無い沢だと聞いていたが岩が綺麗らしい。 タ張岳は「花の百名山」だけでなく「日本の地質百選」にも選定された山だけにちょっと気になる。



前日は清水沢の駐車場にテント、北海盆唄を聞きながら一杯やる。 翌朝曇り、下山用の車をデポする途中で熊に会い、そして地図にない奥鹿島林道のゲートを出発する。 道は550mまでしっかり続くがその先から古い作業道の踏み跡を辿り590mで入渓、かなりの時間短縮だった。 雨の影響で水が濁っているが時々へビの皮をイメージさせる綺麗な岩が目に留まる。 夕張山地は日高山脈と同様、プレートがぶつかり合って海から隆起した山だが、 その時にこの独特な模様の蛇紋岩が出来るらしい。 広範囲に見られるのは世界的に貴重らしく特にこの沢の上流に多く分布しているそうだ。




両岸狭まる680mの左岸に祠の様な窪みがあり、すぐ5mのF1(写真上右)が構えていた。 古い残置ロープで右岸から登ると、更に6mのF2が控え右岸を直登する。 何も無い沢だと高を括ってスパイク地下足袋で来たが滑って気を遣う。 ルパンにザイルを用意している間にするする登ってきて驚く、運動能力が高く犬にしておくのが勿体ない。 写真はF3か4だが全般に小振りな滝ばかりで印象に残るようなのが出てこない。 ふと目をやると山とか沢で珍しいピンクのエゾアジサイが咲いている。 やはりここは塩基性(アルカリ性)の岩で出来た特別な山なんだと思う。



800mから背丈以上もある大岩が目立ち、やがて巨岩が積み重なる連瀑帯となる。 岩陰にひっそり咲くダイモンジソウ(大文字草)を愛で、ワイルドな景観に気を良くしながら登ってゆくと950m付近で岩が埋め尽くす崩壊地を通過する。 どうやら左岸支流からの地滑りらしいが倒木の様子からまだそれほど月日が経ってないようだ。 唯一滝マークがあった場所だけに残念である。 これを過ぎると再び巨岩帯が続いてなかなか楽しい。



1050mで両岸狭まる先に6mチムニーの滝、左岸から巻いて一休みする。 すぐ先の二俣はつい足が左に向かってしまいそうな景観で、 それを詰めて前岳の三角点を踏んでみるのも面白いかも知れない。 ここを右に入ると緩やかな流れになってもう滝など出る雰囲気ではなくなる。 しっかりした流れが奥まで続くが微妙な分岐が二つ・三つ出てきて迷路のようだ。 源頭付近の草地に初めて見るミヤマアケボノソウ(深山曙草)、なかなか渋い花だ。 水は1380mで涸れ、沢形を探しながら笹を分けると見覚えのある小さな岩塔とガマ岩が望まれた。



この小さな岩塔を目指して前岳湿原の木道に出る。 詰めはドンピシャだったがガスが晴れそうもないので本峰に寄らず下山とする。 エゾトリカブト(蝦夷鳥兜)が盛りと咲き、エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)に秋の訪れを感じながらテクテク下った。 沢中に転がる岩を見ながらの遡行も乙なもの、沢登りとしての物足りなさは否めないが気になる沢を終え満足する。








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