札幌岳豊滝コースの途中から見える尖がりがパゴダの塔と呼ばれる岩峰である。
パゴダとはミャンマー様式の仏塔のことでいかにも信仰の山らしいネーミングに感心する。
ちょっと気になっていたこのパゴダなる岩塔と盤の沢山をセットで巡ってみることにした。
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道路情報館から盤ノ沢山の奥に棘の様な尖がりが見えていた。
たまに水汲みに寄る神社で山行の安全を祈願し、固く締まった雪をツボで出発する。
予報通り風が強く雲の流れは速いが札幌岳の稜線にブロックされ至って穏やかである。
さてパゴダの塔へは豊滝コースのc600付近から沢を渡って西尾根を直登することにした。
尾根に取り付くと雪が固くアイゼンが欲しいところだがすぐ軟らかくなるだろうと熊のステップを階段代わりに登ってゆく。
するとぽっかり開いた熊穴に出くわし、どうやら昨夜ビバークしたって感じだが戻ってこないうちに先を急いだ。
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急斜を登り詰めると黒い岩陰が近づき、基部を回り込んで岩塔と対面する。
割と大きな岩だがくさび形で尾根上からは仏陀の塔には見えない。
また岩の周りの木が切ってあり、ふと大きさ形からこれとよく似た稀府岳の天狗岩を思い出した。
木が邪魔で展望はいまひとつだがここから見る盤ノ沢山(写真右)がすこぶる尖ってまるで別な山のようである。
恐らくもう来ることはないだろう岩に触れて次に向かった。
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パゴダの塔を出発すると岩があっと言う間に小さくなってゆく。
緩やかながら入り組んだ尾根には大小の熊の足跡が点在し、雄叫びを上げながら歩く。
明るくなだらかなポコを越え、コルから盤ノ沢山の南東斜面に取り付いた。
斜度が次第にきつく灌木を掴みながら登ってゆくと雪が切れハイマツや木が目立ち始める。
そして雪を繋いで登った頂陵からはなかなか良い展望が得られる。
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【盤ノ沢山最高点からの眺め】
札幌岳の山頂に掛かっていた雲が取れてまずまずの展望を見せてくれた。
午後から曇り予報だが空が青みを帯びてこれだけ見えれば上等である。
パゴダの塔が再び小さな棘に変わり、狭薄山(点名:大札幌)と小札幌が頭を出して札幌三兄弟が辛うじて並ぶ。
久しぶりに見る眺めは新鮮でまた札幌岳を中心とする山塊の大きさを改めて実感する。
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最高点を踏むのは積雪期ばかり3度目で黒く新しい標識が掛けられていた。
縦に長い盤ノ沢山は600m先の山頂までこの時期ならではのスリリングな稜線歩きが楽しめ、特に最高点から100m程が結構痩せている。
そして右に兜岩や焼山などを眺めながらピークに到着、下から今日のツボ跡が延びていた。
パゴダの塔だけでは歩き足りないかと盤ノ沢山をセットにして正解だった。
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