乙部はアイヌ語で(オトペ 川口に沼の多い川)の意味、乙部岳は渡島半島の分水嶺をなす一等三角点の山で昔は九郎岳と呼ばれていた。
九郎岳といっても道南に多い人に因む山ではなく源九郎義経が由来、
義経が最初に蝦夷に渡ったといわれるのが乙部で山腹に祠が祀られるなど義経伝説が色濃く残る山である。
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乙部町はnoriちゃんの父親の出身地ということで彼女がかねがね登りたいと所望する山だった。
たまたま私の母親もこの町の出身で十八年前に姫待ち峠から登っているが改めて登山道から登る良い機会だ、
その序に乙部岳の南1.5kmの△九郎岳にも寄ってみたいと思う。
誰もいない静かな逆川ダム公園にテントを張って早朝、山に向かった。
姫川の林道を進むと沢コース登山口の看板が立っていたが薄暗く昨日の小鉾岳の再来を思せる。
出発すると杉木立の中に刈り分けが続いて一安心、アップダウンを経て水の綺麗な小沢と出合う。
ルパンをジャブジャブ沢で遊ばせながら涼しい沢沿いの道を辿るとやがて行者祠と呼ばれる大岩に到着する。
案内板には修験者が身を清めて・・云々と書かれているが義経との関わりがいま一つ分かり難い。
さて550m二股で沢と別れ急尾根に刻まれたジグザグ道を登ってゆくとガス中にぼんやり天狗岩が現れ、程なく稜線に出るが残念ながら九郎岳に通じる道は無かった。
稜線の東側に薄っすら踏み跡らしきがあるものの所々に新しい枝の切口を見ながら結構な藪を漕ぐ。
そして200mほど先のピンテの近くに三角点を見付け周りの下草を刈る。
初ピークに喜ぶkanaちゃんと憔悴したnoriちゃんが対照的だった。
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稜線に戻って登山道の有難味を感じながら1010ポコに向かう。
ポコを過ぎてもガスって乙部岳の頂上すら見えないが細い稜線を渡る風が心地よい。
ようやく山頂標識とレーダードームが姿を現し、noriちゃんが念願のピークを踏んだ。
周りは一等三角点の展望が広がっているはずだが雲の中で残念、だがそれなりに満足そうである。
尾根コースを下ると少し下界の風景が見えてきたが本殿分岐まで笹が被り、下りだからどうってことないが笹よりダニに閉口する。
小鉾岳もそうだが登山人口の少ない地方からどんどん登山道が消滅するかと思うとちょっと寂しい。
新しくなった乙部温泉でさっぱりして帰途につく。
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<昨日の 小鉾岳 はこちら>