秘境オタモイ・赤岩探訪(地蔵尊〜竜宮閣〜白龍胎内巡り) (小樽市)  ■Home
2014年11月24日 曇り後雨 オタモイ〜赤岩峠〜祝津 メンバー4名
9:45オタモイ入山口→10:00△オタモイ山→地蔵尊→竜宮閣→11:30唐門→12:10△赤岩山→12:50赤岩峠→13:05△下赤岩山→白龍胎内巡り→13:50祝津入山口

午後から雨が降る前にオタモイ山と地蔵尊,更に気になる竜宮閣の探訪を予定した。 小樽で待ち合わせると空は意外に明るく降っても大したことはなさそうだ、 折角ならと祝津までの探勝路を歩いてみることにした。

                    

 
          
オタモイとはアイヌ語で(オタ・モイ 砂の・入江)の意味、 北原ミレイの石狩挽歌が思い出されて何となく寂しさを覚えるが、 かつてこの地に道内きってのレジャー施設「オタモイ遊園地」があったのを知る人は少ない。 小樽で割烹を営んでいた加藤秋太郎という人物が昭和初期に私財を投じて完成させたもので、 当時の絵には「竜宮閣」という料亭や海辺を散歩する芸者さんなどが描かれている。 一見やや長閑な風景にも見えるが断崖に迫り出す建物にただただ驚くばかり、よくこんな場所に作ったものである。



                    

 
          
まずは海岸段丘が連なる低山の一つオタモイ山(209m)に向かう。 オタモイ三丁目の住宅地の奥に登り口があって、オタモイ地蔵尊との分岐に「平和じぞう堂」という小屋があった。 中には白い布を着たお地蔵さんが何体も祀られ、 またこざっぱりした小屋の様子から熱心な信者さんがいるようだ。 小屋の裏手に延びる踏み跡を辿ると呆気なく山頂で三角点「オタモイ」の周りだけ笹が刈られていた。



                    

 
          
オタモイ山の山頂で恐る恐る崖に近づくとはるか下にかつて芸者さんが歩いた砂浜とオタモイ地蔵尊の赤い屋根、 そして竜宮閣のあった展望台が見える。 下まで百m以上あって目の眩むような高さだが広い海と断崖風景が見渡せて爽快だ、 僅か10分程の登りでこんな眺めが得られるとは思わなかった。



                    

 
          
さてオタモイ地蔵尊に直接下りたいが道は崖崩れで通行止めになっていた。 鉄パイプをすり抜けるといきなりボロボロの急斜面だったがその下に九十九折りの道が続いている。 やれやれ何とか辿り着けたと思ったら堂守りのおじさんが冬囲いの最中でビックリ、 てっきり無人だと思っていたが先代からずっとここで暮らしていると言う。 にしん番屋だった家のすぐ裏には上から崩れた大岩が転がって何とも恐ろしい光景である。 良縁と子宝に御利益があると云う地蔵堂にお参りして展望台に向かった。



                    

 
          
崖を削って付けられ遊歩道からの眺めは良く、一応、落石防止ネットが張られ手摺もあるがグニャグニャで頼りない感じである。 手掘りの狭いトンネルを抜けると転落して亡くなった大工を供養するお地蔵さんが置かれていた。 そして海に突き出た竜宮閣跡に到着、想像以上に狭く、崖下にコンクリの基礎が残っている。 海から資材を釣り上げての難工事だったらしいがよくこんな場所に清水寺みたいな建物を作ったものだ。 だがその建物もこれからという時に失火で焼失したと云う、近くのボロボロになった唐門を前に歳月の無常を感じた。



                    

 
          
竜宮閣展望台からの風景
写真@、オタモイ地蔵尊とおじさんの家が見える。 その上はオタモイ山の崖斜面で今にも崩れた岩に押しつぶされそうである。 更に荒々しい断崖が続く岬の先には窓岩が見え、晴れていれば鮮やかなコバルトブルーの海が広がっている筈である。
写真A、弁天閣への遊歩道、もの凄い断崖絶壁に道が付いる。 橋の下はザップンザップンと波打ち、高所恐怖症の人にはちょっと辛いかも知れないが眺めは最高だ。 子供からお年寄りまで多くの見物客がビクビクしながら歩いたであろうと想像される。



                    

 
          
崖の路からだだっ広い場所に出るとオタモイ探訪も終わりに思えたが、 そこは当時、弁天食堂や演芸場、相撲場、遊園地などがあった所で建物の基礎や欄干が残っていた。 加藤秋太郎という人物はよほど豪快な人柄だったのか有名人の興行を無料で見せるなど最盛期には一日に数千人が押し寄せたという。 その一大娯楽施設も今はすっかり忘れ去られ、それが「夢の里・オタモイ遊園地」と言われる由縁であろうか。 さて七曲りと呼ばれるヘアピンを登ってゆくとお伽話に出てくるような唐門が現れ、 オタモイ〜祝津へと続く小樽海岸自然探勝路の起点になっていた。



                    

 
          
唐門から緩やかな山道を辿ると木々の間に海が見え、市街地方向に天狗山と塩谷丸山が望まれた。 アンテナに囲まれた赤岩山(371m)は二度目だが三角点は藪に覆われあまり訪れる人がいないようだった。 山頂から程なくベンチのある見晴台で、ランチを頂きながらオタモイ海岸と雄大な日本海を見渡す。 木がスカスカしたこの時期は低山歩きも退屈せず、ツルリンドウの赤い実を見ながら赤岩峠へと下ってゆく。



                    

 
          
赤岩峠の白龍神社は明治の初め修験僧が洞窟に篭って修行した際、白龍が天に昇るのを見たという伝説から祭られた。 遊歩道にお地蔵さんが並び、クライミングでお馴染みの岩塔が次々に現れる。 東のチムニー岩を過ぎるとテーブル岩に鎮座する不動明王が見え、 確か下赤岩山(278m)はこの辺りだった筈だが不明、とりあえず山道を外れ胎内巡りへと下りてゆく。 一般的には鳥居から登ってくる方が廻り易いと思うが、今回はたまたま歩く向きから逆コースで行く。 針金とロープ、鉄梯子を頼りに下ってゆくと、以前は無かった長尺梯子がずっと下まで掛けられていた。 大日如来と白龍が祭られている洞窟からは海が望まれ、更にどんどん下って大黒岩の基部を回り込み鳥居へ抜ける。



                    

 
          
鳥居から山道に戻ると程なくゴールが見え出し、ホテルの手前で終了する。 高島漁港の裏にある中華「かたの」はカウンターや床が少し傾いて山の帰りでも遠慮なく立ち寄れる雰囲気が良い。 たまに有名人も立ち寄るらしく評判のあんかけ焼きそばもさることながら五目ラーメンが美味かった。 オタモイ山から赤岩峠を越えて祝津まで約9kmの散策路はワイルドな景観と美しい海が堪能でき、 また小樽の歴史にちょと触れることができて山の端境期にお勧めのコースである。

<2022年の 塩谷丸山・樺山〜酒屋ノ沢・オタモイ山 はこちら>


          

          
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