2008年3月上旬 晴れ メンバー6名
8日 9:15白金温泉→14:00BC1200m
9日 5:35BC→7:10スキーデポ1650m→山頂(8:55-9:15)→10:50BC→13:55白金温泉
週末は3月下旬〜4月上旬の陽気になるとのことで今朝の寒さもどこか気の抜けた感じだ。
1時間ほど早く待ち合わせ場所に着くと他のメンバーも次々に到着し予定より早く出発する。
何せ林道だけで8kmあり雪が深ければラッセルで敗退もありだが先行者のトレースがあってラッキーだった。
順調な出だしだが快晴の予報なのに山は雲に隠れたままで一向に姿を見せてくれない。
「まさかこんな調子で終わるってことないよなぁ?」との呟きに
「晴れたら気温も上がって板に雪くっついて大変でしょ」との返事で、なるほど何事も良い方に解釈すればいい訳だと感心する。
トレースのお陰で随分楽させて貰ったが林道を3時間も歩くといい加減うんざりし水無川の小橋を渡ってようやく次の橋で林道とさよならした。
長かった林道から開放されタンネの森を進む 雰囲気のよいテン場だ!向こうはベベツ岳 明日の好天を願い夕日が沈むのを見届けた
ポン水無川沿いの緩い尾根には大きな樹木が目立ち奥深く分け入るに従って雰囲気が良くなった。
トレースを拝借してると順調過ぎて物足りなく、また早くテン場に着くのも何なのでわざわざラッセルを始めた。
森林限界はもう目と鼻の先でその上に西尾根の広大な斜面が雲の中へと続いている。
よく見ると崖に沿った尾根筋はゴツゴツと岩が目立ちスキーで登ってもすぐ限界になりそうだった。
それより西尾根の右隣に広がる大きな谷形の斜面が気になってしょうがない。
地図を見ると1700m付近で尾根に合流しており、明日は登頂と滑降をダブルで楽しもうとルートは此れに決定した。
西尾根の末端まで登り風の当たらぬ場所にザックを下ろすと一帯は見事なタンネの森が広がっている。
テントを設営し日の高い内から飲み始めると外はいつの間にか青空が広がりやがて真っ赤な夕日が山麓に沈んだ。
T井さんの作ったマーボ春雨丼とウドの漬物を頂きI幡さんの日本酒が効いて8時に寝袋に入った。
朝焼けに映える扇沼山を眺めながら登る ベベツ岳と美瑛富士の高さを越えると稜線だ 西尾根から覗く荒々しい岩陵の連なり
翌日まだ薄暗い中を出発し西尾根に隣接する広大な谷間をK城さん先頭で登った。
間違いなく雪崩斜面のど真ん中に居るが雪は30cmほど沈むだけで状態は良い。
登るにつれ右斜面からドームの様な美瑛富士の頂が現れ、左斜面には昨夏登った扇沼山がモノゲンロートに染まっている。
ダークブルーの風景が徐々に淡いピンク色に変わり早く稜線に出てみたいと気が急いだ。
キックターンを繰り返し高度を稼ぐとシールだけでは辛くなりスキーアイゼンを付ける。
1650mを過ぎK城さんはまだスキーで登ろうとするが下りを考えアイゼンに替えた。
要所にデポ旗を立てクラストした急斜面を登り左の崖淵を覗いてみると北西稜と中央陵の迫力ある岩壁に心が擽られる。
気温は-12℃と高目だが陵上に出ると顔を突き刺すような強風に雪煙が舞っていた。
耐風姿勢で歩き最後に一段高い山塊を登って山頂に到着すると息を呑む展望が広がっていた。
突き抜けるような青空の下に十勝連峰の白い山々が連なり、方やトムラウシ山をはじめ大雪方面の雄大な景色は圧巻である。
陵上は風が強く思うように前へ進まない 氷雪の山塊を一歩つづ登れば山頂である 頬を打つ氷のつぶても何のその感激で一杯!
下りは標高差450m、広大な無木立の斜面を大滑降と行きたいところだが雪が硬く斜度が余りに急だった。
非情にも力量の差が歴然と現れる場面である。
まずトップを切ってT井さんが果敢に突っ込んだ。
「皆と違って練習にお金を掛けてるからね」と言わんばかりにターンを繰り返し見る見る小さくなって行く。
命が惜しいからとてもあんな真似はできない。
折角の大斜面で勿体無いが残るメンバーは慎重に斜滑降から始まった。
「あっさり新雪が降ってくれたら最高だったのに」好き放題のことを言いながら中腹まで降りるとサラサラ雪に変わって俄然気持ちが良くなる。
誰もいないゲレンデを自由気ままに滑るとあっという間にBCだった。
U山さんが「山頂で出しそびれた」とおもむろにザックからシャンパンの瓶を取り出しオプタテ冬山登頂を祈念し皆で乾杯した。
BCから林道までは緩斜面だがよく滑り、林道も意外と半分以上は滑ってまずまずだ。
滝のような汗を掻きながら何度も振り返っては高所に刻まれたシュプールを目で追いニンマリする。
先行者の車がまだ残ったままだがはたして何処へ消えたのだろうか?
今回は好条件に恵まれ忘れ得ぬ山行を一つ増すことができた。
ピークを踏むには厳冬期なら厳しくスキーを楽しむには残雪期なら物足りない・・なかなか登るタイミングの難しい山だと感じた。
<夏のオプタテシケ山はこちら> <残雪期のオプタテシケ山・東尾根はこちら>
思い思いに会心?のシュプールを描き豪快に滑る 振り返えるたび見とれてしまう良い山だった
真っ白な十勝連峰の山々、全く「素晴らしい眺望」の一言に尽きる! トムラウシ山・大雪山へ続く山々、やっぱり冬山はこういう天気じゃないとね