太田神社(本殿)  おおたさん 485m (大成町)  ■Home
2014年8月18日 曇り時々晴れ 単独
10:15参道→(10:50-11:00)→11:25参道

お盆帰省を利用してせたな町の太田神社に寄ってみることにした。 ここは断崖絶壁にそそり立つ道内最古の山岳霊場として知られ、本殿に辿り付くためには試練のような崖をよじ登らなければならない。 かつて円空や菅江真澄など高名な僧や紀行家の他、探険家の松浦武四郎が訪れた名勝で一度は参拝に訪れてみたいと思っていた。
                    

  
          
追分ソーランラインを北上してせたな町のトンネルを抜けると青い海と断崖の景色の中に小さな鳥居が見えてきた。 車が止まって旅行者がカメラを向けていたのは聞きしに勝る急勾配の石段で、これを見た家内は予想通り車の中で待つと言う。 アブを払いながら身支度を急ぎ、下で待たせるのも何なので一気に駆け上がろうと思ったが中間の鳥居に達する前にゼイゼイハアハア、 あまりに急で息が続かない。 下をちら見すると転げ落ちるような高さにギョッ、続く石段からはしっかり手すりを掴んでマイペースの歩みに変わった。

                    

  
          
石段を上がり切って振り返るとその斜度たるや尋常でなく、 普通の人ならここまで来たことを後悔し足腰に震えがくる高さである。 けどまだたったの50m、全体の十分の一にも満たない高さだ、 この後に続くもっと急な山道で改めてここは修験の道なのだと気づかされる。 と言ってもお助けロープや鉄梯子が用意され、登山する者としては先程の階段より馴染みがあって安心だった。 滴る汗を拭いやがて女人堂と呼ばれる社で一休み、ここは女人禁制の山で一昔前まで女性はここまでとされていたようだ。 ブーンと煩い蚊に追い立てられながら右に回り込むといよいよ「北尋坊の崖」と言う最終試練の場が差し迫る。

                    

  
          
鬱陶しい木々と蚊から解放され見晴の良い空間に出ると赤茶けた岩壁が立ちはだかっていた。 社殿が納まってるであろう洞穴が絶壁の途中に見え、その基部へと一見頼りなさそうな橋を渡る。 ゆらゆら揺れる足元には谷底が透けなかなかスリリングである。 いよいよ7mの垂直に近い崖を見上げ、果たして鎖なんか無かった時代の円空はどんなルートを取ったのだろうと想像する。 下を見れば身の竦む高さで、どうやら円空は仏師としての他にクライマーとしても長けていた様である。

                    

  
          
ようやく社殿のある洞穴に辿り着く、海抜0mからの登りは結構なものだったが気が集中していたせいか短く感じられた。 こじんまりした社の横には縦長の丸い玉石が置かれている。 これはパワーストーンってやつだな、その傍には「可愛い彼女が出来ますように」の絵馬が・・、 確かここは航海の安全を守る神様だったと思うが、命掛けだったぶん何んにでも御利益がありそうだ。 ひんやりした洞穴からは眼下に青い海が美しく、奥尻島がくっきりと浮かんでいた。

                    

  
          
ここは昔から太田神社と呼んでいたが本殿の門柱には「太田山神社」と刻まれていた。 岬にある拝殿を訪れたらこちらには「太田神社」と書かれ、違いがよく分からない。 まっどっちでも良いことだが社務所の看板を見るとやっぱり「太田神社」が正当のような気がする。 境内には円空、菅江真澄、松浦武四郎の歌碑が海辺に建って観光名所の一つという感じだった。

                    

  
          
拝殿の向かいには大成町の杉材で復元した円空仏三体が展示され、 何れも荒削りで素朴な特徴が良く出ている。 また直ぐ横の崖っぷちには定灯籠(じょうとうろう)と呼ばれる道内最古の灯台があり、今も暗くなると幻想的に灯るらしい。 ここから見る海は殊のほか美しく、海沿いの道路には先程の鳥居とその上に本殿のある断崖が望まれた。 さて参拝できた喜びが覚めやらぬうち札幌に帰るとする。 道路マップではこの先が行き止まりなので一旦大成まで戻ったが、 新しいトンネルが出来て道道740号が瀬棚まで通じていたとは知らなかった。










































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