野塚川北面沢〜オムシャヌプリ〜野塚川南東面沢 (南日高) 1363m  ■Home
2008年8月下旬 曇り時々雨 メンバー8名
4:25・c390林道→5:40入渓570m二股→7:25・820m二股→(9:00-9:25)オムシャヌプリ→11:00・1232mコル→14:00・570m二股→15:00林道(休憩含)

林道の崩壊で30分ほど歩き本流が道を横切る390m地点にテントを設営した。 以前はここまで車が入れたので僅か30分といえかなり遠くなった感じがする。 さっそく数人が竿をだすと小振りのヤマメが十数匹釣れ素揚げにして頂いた。 風があって焚き火は轟々と燃え虫一匹飛ばないので暫く外でごろ寝する。 早々と21時にテントに入ったせいか3時の目覚ましが苦にならず外に出ると満天の星だった。 妙に生暖かい空気の中で支度を済ませ予定通り4時過ぎに出発した。 対岸に渡ると古い作業道が450m二股まで延びその後は笹の被った踏み跡が500mまで続くがかなり不明瞭である。 更に鹿道を繋いで実質570m二股から遡行が始まった。

ただ飲みたいが為にわざわざテントを担いだ      左股に入ってすぐの滝、ひょいひょい登る     さらにV字状の小滝が連続し息つく暇も無い

左股に入って少し行くと緩い3段の滑滝が連なり、すぐ釜付6mの滝が右に屈曲する。 ちょうど右岸高所から支流が合流しゾクゾクする光景に興奮を覚える場所である。 今回はじめて沢をご一緒する方もいたがまあ何とか全員ノーザイルで滝を越えていく。 すぐV字状の小滝が連続し休む間も無く630mで次の滝が構えていた。 右岸からは清水が伝い、本流8mの滝を登って後続にザイルをと思ったら左岸から巻いてきて不意をつかれた。 次の二段4mの滝はGさん一人が水流を突破したが後続は右岸を巻いた。 どうも先行と後続の思いがちぐはぐで連携に欠くがまあ致し方ないことだ。 8m程の斜滝を3つ登ったり巻いたりする。 次は750mで記憶にある釜付の滝である。 高さは4mにも満たないが落ち口に残置ハーケンと捨て縄が付いてやや微妙な感じがする場所だ。 以前ここを下った時はもっと滝が高く釜は深かったような気がしたが改めて見るとそうでもない。 ここは右岸から巻けそうだがEさんがへつって捨て縄を掴んで越えお助けを出した。 この沢で唯一の核心と言える。 830mで顕著な二股となるが正面に見える支流の斜滝の方が水量は明らかに多い。 一休みしていると遂に空が泣き始め風で体が芯から冷えた。 890mの15m滝は左岸を巻き、930mの樋状二段滝は右岸から巻いた。 滝は直登できなければ巻きが容易で全く悪場のない沢である。 最後に長い滑があった筈だが970mで15mの緩い滑滝が現れその上に更に滑が続いた。 水の音が急に静かになると源頭の雰囲気に変わりあとは涸れ沢を詰めるだけになった。 途中から東峰とのコルに抜けるとロックガーデンがあって藪漕ぎせずに済むが山頂への直登を試みる。 30分ばかり軽いハイマツ漕ぎのアルバイトが待っていた。

この沢一番の核心だったかな?c750m釜付4m滝     最後に15mの緩い滑滝を越えれば源頭は近い     野塚川南東面沢は期待外れに終わってしまう

ガスの陵線に飛び出すと山頂までほんの数mだった。 最後尾が少し遅れて到着し風下に寄り添って一休みする。 下降は陵線を野塚岳手前のコルまで辿り南東面沢に入る予定だ。 強風に体を振られながら踏み跡を辿るが1時間経っても予定の半分しか進んでいない。 頬を打つ雨が時に霰に変わりふと先日トムラで起きたツアー事故が頭をよぎった。 さぞ寒かっただろうにお気の毒である。 1232ピークを越え視界が一瞬戻ると残るもう一つのピークが眼前に現れあと15分の辛抱だ。 だがメンバーから「此処から下ってしまうべ」の誘いに異を唱える者はいなかった。 ここまで来てルートを外すのも勿体無いが早く陵線から脱出したいのが本音である。 適当な沢型を30分ほど下ると風がピタリと止み大休憩を取った。 みるみる雲が取れて下界の眺めが広がり漸く生き返った心境だ。 下降を続けると750mの南東面沢出合までさしたるものは無く右の本流を伺うが似たり寄ったりの感じがした。 途中、4mと10mの滝でザイルを使ったが後は特筆すべき滝場もないままに終わった。 下降しただけできっちり登れば面白いかも知れないが北面沢に比べ印象が薄いのは否めない。 テン場に戻ると何事も無かったように穏やかで「さっきの嵐はいったい何だったんだ」と言いたくなるような青空が広がっていた。


inserted by FC2 system