日勝峠〜ペケレベツ岳〜ウエンザル岳〜(幌内岳)〜芽室岳西峰〜芽室岳 残雪期縦走
1532m〜1576m〜(1695m)〜1746m〜1754m (北日高)
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2009年4月中旬 メンバー2名
4/9N 晴れ 札幌17:00→町営育成牧場C0・21:00
4/10 晴れ C0・6:30→日勝峠9:00→ペケレベツ岳12:00→北ウエンザル岳1458m13:25→1390mピーク手前C1・14:40
4/11 晴れ C1・6:30→ウエンザル岳1576.4m・7:30→幌内岳分岐1654m・9:00→幌内岳1695.4m(10:15-10:40)→幌内岳分岐11:05→芽室岳西峰14:15→1690mピークC2・15:15
4/12 晴れ C2・6:10→芽室岳(6:30-6:40)→C2・(6:55-8:00)→芽室小屋10:00→町営育成牧場10:55
お正月を日高の稜線で迎えようと去年の暮れに同じコースを目指して日勝峠から山に入った。
ところがあまりにも雪が少なく藪でペースが捗らないためペケレベツ岳で引き返すしかなかった。
お陰で新年は引っ越して間もない新居で過ごすことが出来たが当ての無い休暇の何と空しいことか。
やはり日高を歩くのは春先に限るとばかり今回は好天を狙っての再挑戦である。
日数は厳冬期の半分で済みそうだが風邪を引いてしまい一抹の不安を抱えながらの出発になった。
4/9N 晴れ
2台の車で札幌を出発し日勝峠のパーキングに寄り「じゃ私の車をデポしましょうか?」と言って相方から一瞬怪訝な顔をされる。
あっそうだった。このまま2台で芽室岳の下山口まで行き明日の朝に1台で戻ってくる手はずなのに何を言ってるのだろうか。
自分で計画しておきながらこのボケぶりに呆れる。
育成牧場の施設を過ぎるとすぐ砂利路になるが道路の除雪がそこまでで路肩にテントを張った。
早々と安着祝いを始めたものの珍しく酒が勧まずビール2本でシェラフにもぐった。
昨夜は帯広の夜景に見とれ今朝は御来光を拝んだ ペケレベツ岳と北ウエンザル岳が朝日に輝いている 後ろのウエンザル岳に向って2日目が始まる
4/10 晴れ
4時に起きると風が強く木々が揺れている。
一台を牧場脇にデポしIさんの運転で日勝峠に向うと更に風が強く先が案じられた。
この分だと稜線に上がったとしても歩くどころでないのは目に見えており暫く車の中で様子を見るしかない。
泣く子と天気には勝てないか、今回もだめかなぁ?半ば諦め気分で2時間近くうとうとすると少し風が納まっていた。
取り敢えず行ってみますか?ということで固雪にスキーアイゼンを効かせ稜線の鞍部へ出ると風がゴーゴーと鳴ってるものの大丈夫そうである。
きっと山の神様が見方してくれたのだ!そう思うと気も軽くあとは風邪さえ治ってくれれば何も言うことは無い!
出発からペケレベツ岳手前の鞍部までは前回の経験から主稜線の小ピークを外して大きく巻くと半分程の時間ですんだ。
だがペケレの登りは見た目以上にきつく「前もこの登りが辛かったよなぁ」とぼやくIさんだが不調の私も今日一番の踏ん張りどころだった。
登り切ると風がまともに当たりそそくさと山頂をやり過ごすと今度は急な下りが待っていた。
重いザックを背負って上手く滑れず雪庇の手前で止れなかったらやばいなと思うと斜滑降すら慎重になる。
二人とも見事なへっぴり腰だが怪我せず下ればそれで十分だった。
下った先は平坦な鞍部で北ウエンザル岳1458mの南を巻けば程なく予定のテン場だがもう少し先に進むことにした。
だが奥に聳えるウエンザル岳1576mまで越える気力はなく1390m付近で稜線に張り出す雪庇を崩して初日のテン場とした。
雪庇が風避けになって静かな夜を過ごせ帯広を中心とした近隣の夜景がとても綺麗だった。
もつ鍋を突つき終わるとIさんはうとうとし始め8時前に揃って就寝した。
さて2日目は何処までいけるだろうか、ウエンザル岳より望む北日高の峰々 幸いこの程度のハイマツで済んでよかった
4/11 晴れ
4時に起床すると空は既に薄ぼんやり明るく5時過ぎに帯広の街から御来光が上がった。
一晩たって雪面はガチガチに変わりシーデポしてアイゼンで出発する。
たが昨日のようなペースとはいかずスキーアイゼンでも大丈夫じゃない?とばかり担いだスキーを下ろした。
だがいきなりウエンザル岳の登りがまだ調子の上がらない体に辛く100歩で一休みのペースが僅か20歩で息が上がった。
立ち止まるたびモノゲンロートに染まる遠くの山々が徐々に現れ早く山頂から全容を見たいと気ばかり焦るが全く体が言うことを聞いてくれない。
そしてやっとこさ頂に立つと雲一つない青空の下に夕張岳〜芦別岳〜十勝連峰〜大雪山のパノラマが広がっていた。
朝日が照らした山々はまるで絵でも見てるように美しく言葉を失った。
さて目指す芽室岳もいよいよ近く「寄り道」さえしなければ今日中に小屋まで下れそうだがどうしよう?
寄り道なんて言ったら幌内岳1695mに失礼だが主稜線から1km以上も外れ往復で2時間は見込まれた。
体調のせいか今一つ気乗りしないがみすみす素通りするのも勿体無い。
決め手は「家なんかに早く帰るより山に居た方がいっしょや・・」とIさんの言葉だった。
幌内分岐1654mで荷を降ろしIさんを待ってるとスキーアイゼンが2つとも外れて無いのに気が付いた。
一つは足元に落ちてたがハイ松の根元に隠れたもう一つを見つけるのに行ったり来たり随分時間を食った。
なんといっても今回の主役なだけに無くては大変と必死だった。
さてパンと水だけ持って幌内岳に向うと雪上にアイゼンの歯形が付いており、
お世辞にも派手とは言えぬこの山を目指す人もいるんだと感心する。
幌内岳の山頂からは尾根続きのペンケヌーシ岳が距離の割りにかなり遠くに見える。
さすが三角点の山だけあって御馴染みの山々がぐるっと囲むように並んで展望が良い!
やっぱっり来て良かった。
幌内分岐に戻り再びザックを背負って南斜面をトラバースするとハイ松の海だったが構わずスキーのまま踏んで抜けた。
各ピークを繋ぐ稜線は概ね広く雪庇はそこそこ大きいがスキーで歩くには打ってつけである。
途中、芽室小屋へ延びる顕著な尾根筋から登ってきたツボ跡はおそらく幌内岳に向ったものだろう。
更に少し行った先で今朝のものと思われる熊の足跡が稜線を横断し十勝側の斜面に下っていた。
芽室岳西峰まで400m以上の登りが待っている 2日目のテンバより芽室岳西峰を振り返る 芽室小屋への下降は沢に向って一直線だ
さていよいよ芽室岳西峰まで400m以上の登りを残すだけになった。
スキーで半分以上登ったところでハイ松が邪魔になり右に逃げると真っ白な斜面が下から山頂まで繋がっている。
この謂わば広大な雪崩斜面にジグを切って登り切ると想像に難くない景色が待っていた。
去年のGWに歩いた芽室岳からピパイロ岳の白い山脈はまだ冬の様相をたたえている。
「ああ本当にいい眺めだ!」この累々とした日高の山並みが好きでわざわざ辛い思いをしに来たのである。
さて此処もスキーで登ったはいいが下りが大変であまりに急なため途中までツボで降りた。
下降尾根のポコ1690mまで下ると風の当たらぬ窪地を見つけそこにブロックを積めば今日の仕事はお終いだ。
明日は空身で芽室岳本峰に登り御来光を拝んだらのんびり下山するだけである。
無風でずっと外にいても全然寒くなくGWまで雪が持つか心配なほどだった。
そして日が落ちると再び眼下に帯広の夜景が広がった。
4/12 晴れ時々曇り
夜半から風がバタバタとテントを揺らし4時に目覚ましが鳴るが体がだるくて起き上がれない。
おしっこに外へ出ると既にお日様は地平線から出ており凄い風が吹いてるが寒くはなかった。
アイゼンを履いてバリバリになった斜面を芽室岳山頂まで登ると昨日とは違う灰色の日高山脈が冬に舞い戻ったようで寒々しい。
テントに戻って朝食を済ませアイゼンで下山を始める。
下降尾根を下る予定だったがこのままだだっ広いカールのような沢形を下った方が良さそうに思えた。
立ち木一本無い急斜面がずっと下まで続き間違っても滑落できないが一歩一歩慎重に下っても流石に早い。
500m以上一気に下ると少し雪が軟くなり斜度はまだそれなりに急だがスキーを履いて滑ってみる。
たまに谷が狭まって滝などがないか先の様子が気になるがびっしり雪で埋まった沢は快適に滑って行けた。
いよいよ小屋が近づくと沢が開き雪を繋ぐのに少し苦労したが尾根を下るよりスッキリして正解だったと思う。
小屋から車まで4kmあったがスキーを履いたまま1時間弱で到着する。
里はすっかり春が進み道脇の水溜りにはお玉じゃくしが元気良く泳いでいた。
芽室町の「鳳凰の温」でさっぱりし清水町の国道沿いにある「とんかつのみしな」で食べたかつ丼は最高だが腹ペコの胃袋でも流石に大盛りはきつかった。