二ペソツ山 2012m(東大雪) 積雪期・山スキー 幌加温泉ルート  ■Home
2010年5月上旬 メンバー6名
5/7 曇り 19:30札幌出発→1:30十勝三股・C0
5/8 曇り時々晴れ 5:45幌加登山口→13:10前天狗1870m・C1
5/9 曇り一時晴れ 4:55C1→(7:20-7:40)ニペソツ山→(9:25-9:40)C1→12:50幌加登山口

白いニペソツ山に登りたいと冬季に何度か予定を組むがいずれも悪天で中止が続いた。 どうせなら快晴の下であのピラミダルな鋭鋒を踏みたいものだがなかなか機会に恵まれない。 今回も半ば諦めの予報だったが好転の兆しにぎりぎり判断を迷わされた。 下界ではそろそろ桜の開花も聞こえ雪を求めて登る時期などとうに過ぎてるが今年は雪解けが遅く幸いである。 はたして何処まで白いニペソツを拝めるか?まあダメ元で出かけて見ることにしました。

尾根の取り付きは急でやや煩雑、登り下りが大変    ウペペサンケ山を眺め急斜面から陵線を目指す    二日目、日の出と共にガスの天狗平を出発する
 金曜N自宅を出発し途中でメンバーを拾いながら深夜1時過ぎ十勝三股に到着する。 話に聞いた屋根とトイレの付いた小奇麗な小屋はすぐ見つかり中に入ると空き缶数本と共に先に着いたKさんが既に就寝中だった。 室内に「ここでの寝泊り厳禁」と注意書きが張られていたのは誤算だったがほんの3-4時間の仮眠だからと言い訳してすぐシェラフに潜った。

 土曜日(曇り時々晴れ) 寝たと思ったら4時半にアラームが鳴り眠い目をこすって朝支度を済ませる。 登山口のある幌加へ移動する途中で杉沢の入り口を覗くと案の定、国道からすぐ雪で埋まっていた。 幌加ルートは杉沢より冬の経路が短いのがメリットだが情報が極めて乏しく一抹の不安がある。 しかも上部に雪崩の心配な斜面もあり状況次第では杉沢ルートの下降も視野に入れた。 コース取りは夏の登山道を基本とするが所々ショートカットし登り易そうな尾根から取り付く予定でいる。 出発して程なく生々しい鹿の屍とデカイ熊の足跡に驚かされそそくさとやり過ごした。 作業道から2箇所ほどスキーを脱いだが概ね雪が豊富で幸いだった。 明瞭な道を辿ってる積りが途中でルートを外れ軌道修正する。 c900より作業道を離れ尾根に取り付くと序盤は急で入組んでいるがc1300を越えると退屈なほど平坦な尾根となる。 歩けど標高は上がらず寝不足が祟ってみんな生あくびの連発だった。 やがて尾根が細くなると見通しが利き始め、左にウペペサンケ山、後ろはオッパイ山などクマネシリ山塊を眺めながら標高を稼いでゆく。 はっきりしない空だったが次第に雲が上がり明日の天気を期待せずにはいられない。 たまたま携帯のアンテナの立ったメンバーから「明日は曇りだって」の言葉が聞こえがっかりした。 1662ポコを巻いて狭い尾根上に出るとスキーで歩くのが難しくなるばかりか眼前に壁のような大斜面が迫っていよいよツボになった。 その真っ白な急斜面は尾根上にハイマツが飛び出してる以外は立木一本ない雪崩斜面である。 程よく締まった雪面にキックステップが決まり次第に斜度が増してくる。 稜線まで残り僅かなところで疲れがピークに達したメンバーが遅れだした。 ようやく稜線に出ると凸凹した雪面に岩や枯れ草が露出しモノトーンの風景が広がっている。 風が吹き抜けガス中をさ迷うようにテンバを探し前天狗のすぐ下の斜面を均し1870mテントを設営した。 14時から飲み始め早めにカレーライスを食べる。 Kさんのロング6缶はいつものことだがMさんのザックからミルクコーヒーとジュース合わせて6本も出てきたのはたまげた。 「何でジュースなのよ、ビールじゃねえのか?」Tさんの口からつい本音が漏れたのも頷ける。 明日の早出に備えて19時に就寝、夜は雪が降った。

みるみる青空が広がり山座同定に時の経つのを忘れる  後ろは朝焼けの天狗岳と天狗平、素晴らしい景観だ   秀峰ニペソツ山、荘厳な山容は見る者を圧倒する
 日曜日(晴れ後曇り) 昨日より風が弱く穏やかだった。 5時前にテン場を出発すると明るいガス中を歩いてる感じで日が昇るに従い空がどんどん青くなってきた。 1868ピークに登る頃から十勝連峰と大雪山の山々が朝陽に照らされ山座同定に忙しい程の展望が待ち受ける。 そして今度はニペソツ山頂部の迫力ある光景が目に飛び込んできた。 切れ込んだ白い山肌と剥き出した黒い岩壁、それに光と影が差し込んでまさに荘厳な雰囲気を漂わせている。 山頂まで稜線の東側は崖が続き雪庇が出て気が抜けない。 ハイマツを掴み時々股まで雪に埋まりながらほぼ夏道に沿って辿り、最後に頂上直下のデルタを直上して頂を踏んだ。 生憎ガスが抜けず展望は得られないが白い頂を踏めかつニペソツ山を独占できて満足である。 テンバに戻ると雪が降りだし尾根の途中から雨が落ちるなど落ち着かない天気になってきた。 スキーデポ地から滑降するとさしたる登り返しもなく予定より早く下山する。 幌加温泉の主人に今日の天気を尋ねるとずっと小雨が降っていたと言うから驚くばかり。 まったくテンバから山頂に向う僅かな時間だけ青空だったという奇跡的な天気に感謝である。


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