モセカルベツ川〜硫黄山〜イダシュベツ川 遡行 1562.5m  地図はこちら  ■Home
2007年8月初旬 メンバー2名
12日 茂瀬刈橋4:47→入渓5:10→c680二股10:42→c735三連滑滝11:08→従走路C1・17:10
13日 C1・4:25→知円別岳4:45→硫黄山6:06→第一火口7:00→660m二股10:37→伊田主橋13:40 (休憩含)

知床半島を沢から沢へ横断するのは贅沢な計画である。 知床公園線は車が規制されシャトルバスの乗車や車の回収などやや面倒だが目的とする沢はそれを凌駕する魅力があった。 特にモセカルベツ川は素晴らしい沢と聞き期待は膨らむ一方である。

   c380、落差30m程の滝をフリーで登る       苔の緑が鮮やかな長い滑をのんびり楽しんだ       楽しくなるような滑滝のオンパレードだった

 8月12日 曇り 西別小屋を3時に出発し羅臼町の先にあるモセカルベツ川沿いの小さな神社に車を停める。 右岸の作業道は始め車が入れる程だが後に草が踏まれた跡を辿って国道から1km弱で入渓となる。 先行者の踏み後は数日内のもので上流域に3張分のテント跡と焚き火跡が残っていたから大人数だったようだ。 しっとり苔むした沢は雰囲気が良く遡行をはじめて直ぐに小滝がででくるが初めは困難なものはない。 釜を持った数mの滝が程よい間隔で次々と現れ逸る気を押さえ直登したり高巻いたりして行く。 今日は第一火口まで行けば良いだけだから遡行自体は何時ものペースより遅い方だった。 お互いの実力を知っているので無理せずマイペースで遡行できるのが一番良い。 c380地点に出ると落差30m程の滝に一瞬ドキッとするが近づくと右岸側のホールドが割としっかりしている。 ノンザイルで意外と簡単に登れるが流石に高さがあってあまり良い気持ちはしない。 でその上に出ると今度は横幅いっぱいに広がる美しい滝10mが右岸から支流も加わり一つの大きな釜に落ちている。 c420の釜持ち二連の滝2m・8mも直登出来ず何れも左岸を高巻いた。 どうやらこの沢の核心部に入ったようで胸が高鳴ってくる。 滑が続き黒っぽい岩盤に新緑のような苔が鮮やかだった。 c500とc550の傾斜の緩い10mの滝は快適で気持ち良くc580の10mは手掛かりが充分とは言えないが直登可能だ。 そしてC680の二股を過ぎて少し行くとスケールの大きな景観に息を呑まされる。 右は苔に覆われたスラブ状の岸壁を40m以上の高さから水が伝い落ち本流の左は釜持ち30m以上の滑滝になっている。 本流の滑滝をよく見ると20m・8mの二段に別れ一番上に6mの滝が覗いている。 1・2段目を左岸の乾いた岩から上がると3段目はチムニー状の滝でバスタブ位の釜へ勢いよく水が落ちていた。 中間にハーケンが2個打ってあり此れにビレーを取って落ち口の右から微妙に抜ける。 これで核心は終った筈だが問題はその後の源頭の詰めだった。 開けた沢は所々お花畑も点在し巨岩帯が顔を出して雰囲気はトムラウシの源頭によく似ている。 大きな雪渓がまだ残りチングルマやエゾコザクラの咲く喉かな低潅木帯を気楽に詰めれば良いと思っていた。 1070m二股で右に入ると潅木の籔となり一旦引き返して左のガレを詰めようとしたが更に左の歩き易い花畑へ逃げてしまった。 案の定直ぐ籔になったが戻るのも面倒でそのままガレを目指したがハイ松を抜けるのに1時間以上を要してしまう。 疲れてくると僅か10分の我慢が出来ずに安易な方へ走るのは山も日常も変わらぬ良い教訓だった。 ガレに出ると藪漕ぎ無くすんなり従走路へ抜けた。 上は風が強く時間も押して来たので予定の第一火口を諦め従走路沿いにテントを張る。 濡れた服を着替えテントに入るとホットしganさん特製秋刀魚の蒲焼どんぶりを食べ7時30頃に就寝する。 夜中は星が綺麗だった。
     
c700過ぎ30m滝を登る・最上段6mが厄介   イダシュベツ川・c660の滑滝を下るフリー      イダシュベツ川・c350二連一段目、迫力ある
 8月13日 晴れ 翌日、2時起床し予定通り4時過ぎ出発する。 知円別岳分岐に出ると吹上げる風が強烈だったがピークは従走路から僅か30m上で折角だから寄ってみる。 知円別岳の山頂から国後島に上る御来光を拝んだ、知床連山が朝日に輝き雲が棚引いて素晴らしい風景だった。 第一火口分岐に荷をデポし硫黄山をピストンして分岐から火口へ大きな雪渓が残る砂礫地を下った。 第一火口から大きな岩場をどんどん下るとやがて木の被った涸れ沢となりリュックに引っ掛かって煩わしい。 c1110で一旦水が出るが再び涸れ本格的に流れ出すのはc1000からだった。 巨岩帯の涸れ沢は荒涼として特異な感じがするが此れを登るのは辛いかも知れない。 何本もの細かな分岐と合流し大きな涸れ滝を何度も懸垂で降りる。 やがて涸れた滑から水のある滑に変わり10m−15m位の滝2-3本を懸垂で降りる。 圧巻はc350の2連の爆流する大滝10m超で上段を懸垂するとぐるり岩場に囲まれ一見逃げ場が見当たらない。 下段の滝も10m超はあり覗くと下が釜で不用意な懸垂は出来ない。 左岸5m程を上り滝口をトラバースして潅木を伝って下り残り6mを空中懸垂で下に立った。 この2段の滝の登りは右岸をまとめて高巻くのどろう。 350m二股に残る分厚い雪渓が涼しい風を運んで来る。今日は暑くて沢中でも酷い汗を掻いた。 後は変化のない沢を下ると橋が見え林道にでる。 直ぐにほぼ満席のシャトルバスが停まってくれ観光客でごった返す知床五胡を経由しビジターセンターで下車した。 バスの観光客に山屋の匂いがキツカッタかも知れず遅まきながら服と下着を脱いでカッパを羽織った。 照り付ける太陽の下で30分程ヒッチハイクするが反応がなく暑くてカッパの中は汗ダラダラだった。 ようやくカヌーを積んだ岩見沢の車が停まってくれ運よくモセカルベツ橋まで乗せてもらった。 知床を17時出発して0時30分帰宅する。長い週末が漸く終った。


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