芽室岳 1753m 〜ルベシベ山 1740m 〜ピパイロ岳 1916m 〜伏美岳 1792m (北日高) 残雪期縦走 ■Home  
2008年5月上旬 メンバー4名
5/2N 晴れ 札幌18:00→剣小屋21:30(C0)
5/3 晴れ 芽室岳登山口8:20→芽室岳13:00→・1822P後16:55・C1
5/4 晴れ C1・4:55→ルベシベ分岐8:55→ルベシベ山9:45→・1695P前14:35・C2
5/5 曇り後雨 C2・4:35→・1590コル8:20→ピパイロ分岐10:35→ピパイロ岳11:30→伏美岳15:15→伏美岳登山口17:30

去年のGWに同じ計画したが芽室岳まで登ると烈風で無念の撤退をした。 今年の懸念は雪の状態だがなにせ桜が二週間も早咲きするほど暖かく肝心の山に雪が残ってるか心配である。 登りと下りに登山路があるとは言え果たしてどんなものか?・・・祈るような気持ちで出発した。

前夜、剣小屋に着き軽く安着祝いをしてると○山岳会のグループが入って来た。 小屋は広いのにわざわざ向いに陣取って宴会を始めるものだから直ぐ寝るのもはばかれる。 聞けば神威岳から札内岳の予定らしくお互いの健闘を祈って11時半頃お開きにさせて貰った。 朝起きると知った顔の2人(S&A)がいた。 Sさんとは日高の縦走を共にしたことがあるが妙な組み合わせだ? 聞けば我々と同じコースを単独で辿るSさんの荷揚げにAさんがお付き合いしたらしく一足先に出発して行った。

主陵線に出ると雪は無くハイ松の中の夏路を登る     これから辿る南の主稜線と地図を見比べる    この暑さに後ろの芽室岳もすっかり黒ずんでいた

5/3 晴れ 

 6時過ぎI端車を下山側の伏美岳登山口にデポに行くと何とすんなり奥まで入れた。 去年は舗装道までだったので7kmの林道歩きを開放されラッキーだった!  残るメンバーU山さんとは8時頃の待合わせだが既に近くまで来ており予定より早く合流する。 芽室登山口には結構な数の車が停まっていた。 登山道は夏道状態でなかなか雪が現れず暫くしてスキーを担いだAさんが降りてきて「上で少し滑ってきたと言う」 話の通り1100mから上は厚い残雪だったが陵線に出るとしっかりハイ松が出ていた。 雪の消えた山頂から南の主陵線を眺めると意外に雪が付いている。 「何とかなりそうだ」取り敢えず縦走の目処が立ちホット胸を撫で下ろした。 ここからピパイロJPまでは未踏の主陵線で一山越えた先に豆粒のような先行者が見えた。 誰かが冗談で「帰るなら今のうちだよ」と言ったが本当に先が長そうだった。 その陵線を進んでいきなりハイ松に捕まったが程なく締った雪が現れ先行者の足跡を追った。 お日様と雪の照り返しでシャツ1枚でも暑いくらいだが雪の状態はそれほど悪くなかった。 主陵線を境に南斜面と日高側はハイ松が広がり十勝側に雪渓が残っている。 だがたびたび潅木やハイ松が行く手を遮り雪を求めて斜面を上り下りするのが大変だった。 15時頃にSさんに追いつくとテントに包まり早々と水作りを始めている。 藪でポールを紛失したと言うから「我々のテントに入りませんか」と誘ったが今夜の居場所を決めたようだ。 まだ時間も早く先に進むと帯広の単独者がテントを張っていた。 平坦な陵上は何処でもテントを張れぎりぎり17時30分まで行動した。 予定の2km先にテントを張りまずはビールで乾杯、いつもの発泡酒だがエビス以上の味がした。 「ガソリンは2L持ってきたから何泊しても大丈夫だ」とI幡さんは心強く水は余って捨てるほど作った。 I幡留さんの作ってくれたトン汁は具沢山で汗を掻いた体に美味い!興部町特産のチーズとウインナーをご馳走になった。 あ〜こんなに日本酒がすすんで良いのだろうか、一応明日に備え9時過ぎ就寝、靴下とズボンの裾が湿ってるせいか夜中は久々に寒かった。
     
ハイ松の通過が堪える、日の当たる南斜面が特に酷い     藪のあちこちから嬉しい悲鳴が聞こえた!  二日目、1726Pを越え五の沢源頭からルベシベ分岐へ

5/4 晴れ 

 3時半起床、5時前に出発、今日は長丁場で優に10km以上の行動を予定している。 朝からもやって生暖かくアイゼン、ピッケルはただのお荷物だった。 ピラミダルな1726峰の上部は黒々とし頂に「二十九」と書かれた三角点が設置されていたが日高には名前の無い立派な山が多い。 陵線上の雪は心細く各ピークは概ねハイ松による藪漕ぎで体力を消耗した。 ルベシベ分岐の手前は特に黒々していたがうまい具合に鹿道を見つけパンケヌーシ五の沢の雪渓を詰めコルに上がった。 コルにはテントがポツンと置かれピパイロからの縦走と思ったが足跡の向きが逆で何処から来たのか不思議だった。 ザックをデポし軽身でルベシベ山を往復し初ピークを踏む。 再び主陵線に戻り1644ピークに登ると頂はあたかも整地されたようで傍らに抜けた三角点が置かれていた。 熊か鹿が掘り起こしたと思いたいが人間様の仕業かと疑いたくなるほど見事に均されている。 ここから下る南斜面は一面のハイ松と潅木で抜けるのに1時間以上も掛かった。 もっとも売りに出るような旬の葱が密生しザックはあっと言う間に嬉しい重さを増した。 雪に抜かって思うように進まない。 先にポツンと置かれたテントの主である帯広のパーティーが時間切れとかでピパイロを諦め戻ってきた。 すれ違い際にネギ臭いねと言われる。 何処から登ってきたのか訪ねると八の沢からだと言う。 どうりで芽室側に足跡が無かった訳だと納得する。 疲れでメンバーの足取りが重くなり予定のテン場まで3km程残し打ち止めとした。 各自持ち込んだお酒の量は順に U山>I幡>Y内>I幡留で自分より上手がいたとは驚きだった。 更にザックの中には手付かずのウイスキーが1L以上残っており酒に困ることはなさそうだ。 U山さんが生卵を持参しまさか山でカツ丼を食えるとは、しかもネギ入り!ああ幸せ!  
     
ルベシベ山、ハイ松の尾根筋に登山路が付いていた    よくもこんな雪の無い陵線歩いて来たものだ    次第に細くなり最後にピパイロJPが待ち構える

5/5 曇りのち雨

 連日の好天に気を許しブロックを積むのを怠ったものだから風でテントがバタバタと煩かった。 外に出てみると高曇りだが昨日より視界が効き雲海が広がり幻想的である。 風に煽られながら遅れを取り戻すべく4時30分に出発した。 今まで割と平坦だった稜線は岩場が目立つようになったが幸い日が高くなると風は止んだ。 ピパイロ分岐が次第に壁になって威圧してくる。 そして当初二日目のテン場として考えていた最終コルに到着する。 今朝出発してから途中にテン場となる適地はなく昨日は無理しないで正解だった。 それにしても此処は小鳥が囀りまるで楽園にでも来たような穏やかさである。 日が当たってまったりし眼前に聳える1967峰やチロロ岳を眺めながら一日中ぼけっと過ごしたくなる様な場所だった。 さて1パーティー、2単独者揃ってピパイロ分岐まで350mの登りが始まる。 高度感のある急斜面にステップを刻むと遂に雪が尽き100mの一級藪漕ぎを残すだけになった。 ザックに枝が引っ掛かり腕力の弱い女性には酷なのか涙目になってるのが分かるがもう少しの辛抱である。 そして稜線まで登って見渡すと行く先のピパイロ岳に雪が無く主脈1967峰も白黒斑模様になっていた。 GWの日高にはやや妙な眺めだが辿りし陵線の先には芽室岳が随分と遠くに見え感無量だった。 さて此処から幾度か歩いた稜線で気も楽である。 一昨年N田さん達が苦労したと言う細い岩陵は雪が付いていたら確かに怖いだろうなと思う。 日の当たる草付きに早くもツクモ草が数株咲いている・・本当に異常気象かもしれない。
     
屏風のようなピパイロの登りが待ち構えている    最後にハイ松を攀じって辿った陵線を見下ろした    白黒斑の北日高の峰々、ピパイロ山頂で一息付く

伏美岳から神威岳へ抜ける会の別パーティーはどの辺りにいるのだろう?既に下山したかも知れないな。 ピパイロからは残雪を下ってあっと言う間にコルだがそれから伏美岳への登りが辛い。 メンバーの足取りが急に遅くなりついに小雨が降りだしてきた。 風が冷たく伏美岳の山頂を素通りするとすぐ雪渓が現れたが7合目から下は夏道状態だった。 幸い雨は小康を保ち明るい内に着ける安心感もあってか女性メンバーの口数が戻っていた。 3合目を過ぎると沢音が聞こえ17時30分ようやく登山口に着いた。 駐車場には我々の車の他に会の別パーティーの車がポツンとあるだけだった。 やはり雪が無く苦戦してるのだろうか?これ以上雨が酷くならないのを願い車を発車させる。 いやー辛い縦走だったがいつもながら終われば充実感で一杯だ!芽室小屋で車を回収し帰宅の途に着いた。

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