松倉川 水の沢出会〜アヤメ谷地  遡行  745m(道南)  ■Home
2006年5月下旬 晴れ 総時間5:38(休憩含) 標高差435m 距離5.5km
水の沢林道出会い9:52→入渓9:56→御神木12:22→c460二股12:45→流木の滝13:51→黒滝14:50→アヤメ谷地15:30

入渓してすぐ雑魚止まりの滝            淀み一つ無い美しい渓相が続く            c400過ぎ小さなゴルジュを右岸から巻く
松倉川に初めて行ったのは小学校低学年の遠足だった。 同じ市内でも生まれ育った近所の河川とは違い広くて綺麗な川原がいっぺんに好きになった。 以来たまに根先公園まで自転車でやってきては水遊びに興じたり石で堰を造って小魚を追った思い出がある。 何年か前に松倉川を遡行した人から綺麗な渓畔だったことを聞かされ訪ねてみたい思いに駆られていたが 思いがけずHYMLの函館オフミで実現する運びになった。メンバーは地元2名と遠征組5名である。
遡行前に函館の鎌鹿さん(山と渓谷の店・自然倶楽部)より頂いた情報が参考になり、 松倉川案内図PRパンフレット(函館松倉川を考える会)に絵地図と紹介文が載っている。 遡行に必要な情報は「ダムがムダな理由」ー松倉川を考える会編ーの購入を薦められる。
4時札幌から車を飛ばして8時に上湯の川の公園に集合し身支度を済ませ2台で出発。 ダルマ大師の交差点を西旭岡団地に入ってすぐ松倉川へ左折し細い市道を北上して鱒川小中学校を過ぎる。 春蝉の鳴く長閑な農場と古い民家や看板に時代を感じる。 左下に松倉川を見ながら砂利道を行くと左手に寅沢林道分岐となり入林届けの置かれた大船林道を直進する。 団地から12km程入った水の沢林道の分岐に4人を残し更に2台で15km進んだアヤメ湿原に一台デポしに行く。 林道は山菜採りの車が何台も入り盛況で管理状態も砕石を入れるなど良い方だ。 途中で三森山分岐、万畳敷・南茅部方面分岐を過ごし峠の最高点を下り始めて小さな湿原が現れる。 今朝、中山峠から見た山々にはまだビッシリ雪が残っていたが道南は既に夏山の装いで谷間と袴越岳の尾根に白いものが少し見えるだけだった。 林道がこんなに長いとは正直思わず下で待たせた人達は途中で事故ったかと心配していた。
少し歩いていよいよ松倉川に掛かる水の沢橋から入渓する。 ん〜何だか良い感じ!  好天に恵まれ気温も上がって絶好の沢日和だ、水の冷たさも雪解けの増水も問題なく久々の水の感触に心が躍る。 小さな沢にブナの新緑が覆いそれが川面に映ってしっとり落ち着いた空間をつくり出している。 PRパンフには奥入瀬に引けを取らぬと書かれていたがそれはちょっと言い過ぎだろう(笑) 今日は山頂を踏む訳でもなく今流で言うスローライフを楽しむような粋な遡行をしたいものだ。
入渓して10分程で高さ3-5b程の滝が連続する「雑魚止まりの滝」が現れる。 名前通りか否かこの滝の上流は釣り糸を持ってこなかったのが悔やまれるほど魚影が濃い。 とはいえ砂防ダムに絶たれ冬の間も必死に生きている岩魚君を想うといたずらに釣る気にはなれないだろう。
唯のブタ沢だったらどうしよう?当初懐いた一抹の不安は見事に吹っ飛んだ!  滑や小滝、函が次々に現れ足元にあがる水飛沫の感触がとても心地良い。
時期的に水量が多いせいか滝つぼや函は小さいながらも結構な深さがある。 c400過ぎで僅か2b滝の小ゴルジュを右から巻く場面もあった。
そして今遡行で唯一ヒッヤとしたのは高さ1bの小滝から流れ落ちる小さな釜の淵の横断だった。 後ろの笑声に振り返ると一人が足を滑らせ3bにも満たない釜の中で泳いでいた。 すぐ上がってくるだろうと思ったが緩い流れに巻かれ水を飲んで焦り出している。 これはヤバイと手を貸そうとした後続も一瞬バランスを崩し泡や二人でドボンするところだった。 無事上がりホット胸を撫で下ろしたが過去に流下、滑落死亡事故もあった沢というから油断できない。
地図で伐採林道が交わるc430の左岸に樹齢300年のブナの御神木があり小さな鳥居が立て掛けられていた。 通常は水の沢分岐から御神木まで楽しめば充分のようで実際、二股からアヤメ谷地までの渓相は決して良いとは言えず後半ダレる。
本流の先にある天女と羽衣の滝30bを見ると松倉八景の半分は堪能できるとのことで寄りたかったが 二股から更に2時間は見なければならず諦めることにした。 次第に沢床はゴロ岩と倒木が煩く何よりあれほどあったネギが急に無くなり採り損ねてたのが残念だ。
まもなくc570で流木の掛かった二段の滝が現れる。 はじめの2bを登って滝下に出てみると8bはある滝の両岸はのっぺりして手掛かりに乏しく歯が立たない。 少し急だが右岸を高巻けば十bちょいで済むなと思ったがズルズル滑る斜面の下は岩盤でバイルも使えずだめだ。 ならばと左岸から笹藪を捩り40b程高巻いて沢身に戻った。 僅か20分ほどの高巻きだが久々に腕が張る。 それにしてもメンバーの内3名は還暦過ぎだが気力と体力は相当なものだ!
もう何も無いだろうなって思ってたら最後c690で通称「黒滝」が待っていた。 滝口が二つに分かれ30bほど離れてそれぞれ黒い岩肌を濡らしている。 右は10bのハング状で水量が圧倒的に多く左は5b団子状の岩の上に1.5bの滝である。 迷い無く左の滝に取り付いてはみたが上の1.5bが意外に曲者のようで苦労している。 二番手がようやく上りザイルを垂らしたお陰で高巻きせずに済んだがここは岩が脆く無理は禁物である。
最後の林道に登る僅か3bの段差に真新しい梯子が掛かけられてたが湿原から導水管のメンテナンス目的だろうか? アヤメ谷地の流水口は水が一気に流れ出ぬよう木枠で調整されていた。 まだ彩り一つ無く殺風景な草原にしか見えないが湿地一面に咲くアヤメを一度見てみたいものだ。 遊遊(温泉)でさっぱりし行啓通の居酒屋で懇親会を行う。
     
c570流木の掛かった8bの滝             c690の黒滝、これは右の大きい方10b        静かな佇まいアヤメ谷地

松倉川 水の沢出会〜天女の滝・羽衣の滝  遡行    ■Home
2006年6月下旬 曇り 総時間5:15(休憩含) 標高差475m 距離6.0km
水の沢林道出会い10:40→c460二股13:00→天女の滝・羽衣の滝14:20→林道15:55

c530二股にある 左20b「天女の滝」と 右30b「羽衣の滝」          
約一月後、天女と羽衣の滝を見たくて再び入渓する。 遠征組のメンバーが少し入れ替わっただけで函館組は前回と変わらない。 終了点の林道に車を一台廻し水の沢林道出会いより入渓する。 水量は前より幾らか少ないが水温はむしろ冷たく感じる。 生憎の曇り空で渓相の美しさも半減し初見のメンバーには悪いが入渓が遅れたぶん少し歩を早めた。
c460二股で休憩をとりいよいよ右股へと入って行く。 両岸がスラブ状に高く迫り沢は急に狭くなる。 流木が堆積し少しゴミゴミしてくるが小さな函や溜まりにはあい変らず岩魚の影が走っている。 小一時間程で前方に高さのある滝が見え隠れする。 お〜あれだな!c530で二股の右に「羽衣の滝」があるはずだ。 勇んで進むと遂に高さ30b以上はある大滝が水飛沫を上げその景観に一同感嘆の声が上った。 初めてこの滝を見つけた人はどんなに興奮しただろう! フリクションを効かせ岩の割れ目を伝ってかなり上まで登れそうだが詰めは下からはよく判らない。 時間に余裕があれば上からザイルを垂らして一遊びしたいところだ。
戻るとすぐ滝口まで20bはあるフェイス状の「天女の滝」である。 赤茶けた岩肌を滑るように水が流れまともには登れそうもない。 左岸後方から40b程高巻き15分で滝上に出る。 僅かな水流を辿ると一時間で林道へ出たが結局この枝沢は二つの大滝だけが唯一の見所だった。 滝見物にはブナの御神木に下る林道を往復すると良いだろう。 次回は立岩の滝へ紅葉の時季訪れてみたい。 夜の部は同行のSa宅「一人歩きの北海道山紀行」で盛り上がる。

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