黒岳の白水沢を遡行した翌日、ニペソツ山の南方にある丸山と墳泉塔を訪ねることにした。
噴泉塔とは温泉成分が堆積した塚のようなもので文化財として保護されている。
発見されたのは1980年(昭和55年)と新しく2m程ある塔は毎年6-7cmづつ成長していると言うから驚きである。
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通行止めの置かれた林道を出発、5kmあまりを辿る 崩壊した道、谷底が目に入って良い気持ちがしない 沢水により岩や草木までもが茶色に染まっていた
墳泉塔はパンフレットに載っているくらいだから楽勝かと思いきやアプローチが大変である。
糠平湖の手前で幌加ダムへの林道を進み、途中幾つか分岐を過ごし通行止めのヘアピンに車を止めた。
ここから沢沿いの林道を歩いてすぐ崩落箇所があり更に少し先で四ノ沢を過ぎる。
やがて緩やかな尾根を登ってゆくと幼木と草が覆う作業道に変わった。
高所の道は二箇所ほど崩壊し、数十m下に沢があってなかなかワイルドである。
五ノ沢を徒渉し右岸に移ってからは再び明瞭な高巻き道が続く。
道が途切れいよいよ沢中を進むと滑の岩盤や小滝で少し気を良くする。
だが所々に巻き道が付いてわざわざ沢中を歩く必要はなかったようだ。
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雪渓かと思ったら石灰が堆積した白い滑だった 秘沼と共に忽然と現れた噴泉塔、今も成長を続ける この黒い沼は明治時代の爆烈火口の跡である
赤茶けた水が印象的で東丸山分岐から丸山分岐にかけて倒木が目立っていた。
倒木を抜けて雪渓かと思ったら石灰が堆積した滑で奥に沼と手前に2m位の塔が立っていた。
滑の至る所からぷくぷくと冷泉が湧き枯葉が固着している。
想像した地獄谷の景観と違って匂いや地熱がなく静寂な居空間が広がっていた。
こんもりした塔の先は湿っているだけで年に7cmも成長するとは想像すらできない。
さていい時間になってしまい丸山に後ろ髪を引かれつつ戻ることにした。
調子よく下ると五ノ沢の徒渉を見逃し30分あまりロスする。
墳泉塔は結構遠かったが貴重な場所なので手軽に行けない方が良いのかも知れない。
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