クワウンナイ川〜トムラウシ山 2141m(大雪)  ■Home
2006年7月中旬  総時間28:55(休憩含) 標高差1575m 行程35.5km
15日 曇一時雨/11km 天人峡P5:00→ポン出合5:25→c620函6:15→カウン沢出合15:30→魚止の滝16:40
16日 晴後時々雨/9.5km 魚止の滝5:30→奥二股6:15→ハングの滝7:45→二股の滝8:45→源頭10:25→縦走路12:20→トムラウシ山13:55→ヒサゴ沼17:00
17日 曇後雨/15km ヒサゴ沼6:20→化雲岳7:40→天人峡P13:05


「日本で最も美しい沢」の計画もこれまで雨で二度流れたがメンバーのOさんは30年間幾度も雨で流れ続けたと言うから僕などまだ可愛い方だ。 Oさんの憧れ続けた切なる願いを実現させてあげたいと思ったが三連休の予報は案の定?傘マークが付いたり消えたりと気掛かりなものだった。 取り敢えず5名で札幌を20時過ぎ出発し23時過ぎ天人峡駐車場に着くと幸い雨は上っていた。 急いでテントを設営し先に着いた北見のKさんと早速安着祝いを始める。 明日の水量が気になるが飲めばどうでもよくなるのはお互い困った性分である。

620mの函、巻き道は明瞭である      783mの出合いを過ぎるとようやく沢らしい渓相になる    水量の加減で余計なへつりが加わる
 1日目 曇り  5時出発、ポンカウンナイ川は遡行済みなので林道から出合いまで何の迷いも無く進んだ。 ポンカウンってこんなに小さかったかなと思われるほどカウンナイ川は大きかった。 前日の雨で水量が多く徒渉は腿から股まであり気が抜けないが遡行に問題なく胸を撫で下ろした。 後は予報を信じ少なくとも明日まで雨が降らないことを祈るのみである。 一時間ほどで現れる・620のゴルジュは中の流れが半端でなく右岸の巻道を使う。 更に小一時間ほど進むと何やら暗い雲が垂れ込みポツリポツリと降りだした。 すぐさま本降りとなり岸に上がって待機するが決してOさんの前で天気を愚痴ってはいけない。 幸い雲の動きを見ると長く続きそうもなく案の定30分もしないで止んでくれた。 ゴーロ帯の行程は中々捗らず・783の出合いを過ぎると川幅が狭くなってようやく川から沢の趣となる。 それにともない徒渉も一段と手強くなり渡るタイミングを見逃すとその先でへつりが待っていたりする。 おそらく普段は何でもなく行ける場所でも今日は若干の難しさがプラスされてるようだ。 化雲の沢出合より下の左岸草地によさそうな3張分の天場があった。二股を過ぎまだまだゴーロは続きメンバーに疲れも出て一休みする。 ちょうど2mほどの滝があり函の前だったので釣竿を垂れてみるとオショロコマがバンバン食いついて来た。 美しい魚で忍びないが一人二匹づつ型の良いのを確保する。 やがて滝の轟音と共に豪快な「魚止の滝」が現れた。 左岸巻道の取り付きに2張分の天場があり焚き火の跡があった。 (確認してないが対岸にもテンバがあるらしい)2張設営してすぐ薪集めに奔走するがどれも濡れ木ばかりである。 焚き木に火を点けても湿って徒労に思えたがKさんの一時間に及ぶ執念が終に置き火となって煌々と燃え上がった。やった〜!  家でも食えない上等なすき焼きとたっぷり担いだ缶ビール、そしてオショロコマの塩焼きに舌鼓を打つ。 夜空に星が輝きコップの中はいつの間にかウイスキーに代わっている。滝の爆音を子守唄にgood night
     
一日目、F1魚止の滝にテント並べる         滝上に出るといよいよ滑が始まった         1,170m奥二股両門の滝出合い
 2日目 晴れ後曇り  お〜い、良い天気だぞ〜!テントの外から嬉しい声が聞こえる。 早々にラーメンを食べ身支度を終える。 魚止の滝F1の巻道から滝上に出ると玄武岩の見事な滑滝が続いていた。 厚いコケの上をジャブジャブ歩くのは何とも気分爽快だが僕の磨り減ったスパイク地下足袋は実に良く滑った。 フェルトにすればよかった?・・全くの選択ミス。 下手な処で滑ったらウォータースライダーの如く流れて行きそうである。 出来るだけ滑らないコケの上を歩きたいが水流の強い処に足を置くときは冷や冷やした。 しかも何故か足元の水飛沫を見ていると目が回りそうになる。 Oさんが転んで流されなかなか止まらず焦った。 すぐ十数bの登れぬ滝F2が現れ右岸のザレた草地に踏み後を見つけこれを巻く。 そして20分程で1,170m奥二股両門の滝出合いとなった。 右股から三段の滝30bとその奥に数十bの垂滝が流れ落ち左股F3は5bの滝が同じ釜に落ちている。 F3の右岸を小さく巻いて滝上に出てみると全く目を疑うような光景が広がっていた。 話に聞いてた「滝の瀬十三丁」が朝日にキラキラ輝きずっと先まで延びている。 「百聞は一見にしかず」とはこのことか!こんなに広く長く美しい滑は見たことが無い。 Oさんはじめ3度目のHさんまでメンバー全員が歓喜の声を上げた。 たっぷり2km近く楽しませてもらったが10b滝F6を右岸から巻くと遂に滑は終焉した。 この滝は右の水際が階段状で直登できKさん等が先回りして待っていた。 全く思った以上に素晴らしい滑だった。 初日のだれる程長い遡行が「滝の瀬十三丁」を一層引き立てたのは確実である。
     
ドラマチックに朝日が差し込む「滝の瀬十三丁」         1305mF7・10bハングの滝             1450mF10・最終8b簾状の滝
1305mに印された10bハングの滝F7は右岸を高巻くと途中で5bの垂壁があり残置ロープが垂れている。 これを使って攀じ登り後続へは念のためにザイルで確保する。 登り切った処に3箇所小じんまりしたテンバがあった。 1360m二股の滝の中尾根から二段の滝を連続で大高巻きする。 滝上に出ると左岸の草地に明瞭な踏み跡がありその先に快適なテンバがある。 水量はどんどん細り階段状の小滝にぐんぐん高度を上げると終にナキウサギの声が響くお花畑の源頭である。 ここで水を汲み雪渓を詰め大きなガレを歩いてようやく従走路に出る。 ザックをデポし空身でトムラウシ山を往復しヒサゴ沼に向うまで何度も雨と雹に打たれた。 分岐からヒサゴ沼へ急な雪渓を下るとテンバはオーバーユースしかも地面がぬかるんで最悪だった。 外は雨となりテント内に身を寄せ食事と酒宴が続く。

 3日目 晴れ後雨 夜中は満点の星が出ていたそうで空は昨日よりスッキリし沼からニペが望まれる。 泥だらけのテントを片付け一番遅い出発となったが天人峡に下るだけなので随分と気が楽だ。 雪渓を登って稜線に出ると春の花が一面に咲き乱れ小化雲を過ぎるまでチングルマとエゾコザクラの競演が続く。 泥だらけの登山道に文句を垂れながら歩くとたまに遠くの空が唸っている。 始め自衛隊の演習かと思たが滝見台を過ぎ突然の雷雨に見舞われ逃げるように下った。
今回のクワウンナイ川は二泊で行動に余裕が持てたし稜線のお花が満開で時期的に最高だったと思う。 話に拠ると秋のクワウンナイも紅葉が素晴らしいらしい次はそれにしよう! 
下山後の温泉は何よりの楽しみである。 汚れた格好で気が引けたが厭な顔もされず「しきしま荘」のまったりしたお湯が疲れ切った体に沁みこんだ。
     
源頭では色の濃いエゾコザクラに出迎えられる    従走路へは雪田と大きなガレが累々と積み重なる   ヒサゴ沼は評判通り泥のテンバと化していた

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