群別川本流〜群別岳〜同左股沢(増田の沢) 1376m (増毛山地)   ■Home
2010年8月上旬 曇り時々晴れ メンバー4名
5:15林道→6:30入渓→6:50・c590二股(増田の沢出合)→(10:15-10:35)群別岳→13:25・c590二股→14:30林道

群別川本流は道内五大鋭鋒の一つ群別岳に突き上げる未遡行で気になる沢の一つである。 「北海道の山と谷」によれば山頂まで7-8時間とあるから当然一泊行かと思っていたがどうやら日帰が可能らしい。 林道から入渓点まで地図にない道を辿り、下降は増田の沢を使うのがミソとのことである。 この沢を何度か日帰りした知人から地図を頂き準備万端、あとは決行あるのみだ! 幸い週半ばに休みが取れ天気も良い、メンバーに打診し速やかに山行が決まった。

 F1・魚止めの滝・15m 左岸順層を直登する      滝上からはゴルジュ帯となり俄然面白くなる     小滝を登った先に現れる大きなF2・廉の滝・15m   
前夜、浜益海浜公園で待ち合わせると海水浴客のテントが並び人と車でごった返していた。 1kmほど離れた「きらり」に避難してテントを設営、ジンギスカンを摘みビールがすすんだ。 翌朝は3時半に起床、身支度して車で群別の集落へ向かう。 林道に入って暫くすると道が荒れ路肩が陥没した処で通行止めになる。 終端土場に着くとなるほど背丈を越えるネマガリ竹の中に「熊の平」へと続く一本道が延びていた。 荒れた道脇には山菜採りが残したゴミが目に付き呆れる程である。 起き掛けの体に辛い登りが続く、あまりに長いので変だなと思ったら本流へ下る小沢を見過ごしてしまった。 やれやれ30分余りロスしてようやくc550mで本流に入渓する。 雨続きで水量がやや多い、草木がなぎ倒され増水した跡が残っていた。 淡々と歩いてc590m二股を過ぎ少し行くとc645mで「魚止めの滝」15mが現れる。 左岸は順層で古いロープがフックスされてるがなるべく当てにせず直登する。 滝上にはお釜とプールがあり、すぐゴルジュ帯に突入となる。 Iさんが沸点に達し「なまらいっしょ」の連発!巻きとへつりで抜けると普通の渓相に戻った。 散発的に淵と小滝が現れ、c770m二股を過ぎて手掛かりの薄い3mの小滝を三者三様で登る。 c820mで5mの小滝を登った谷間の向こうに見応えある「廉の滝」F2・15mが現れた。 左岸は順層で取り付き易いが抜けの悪い滝で、それを見ていた3名はサックリ右岸から巻いた。

 c930mこの沢一番のF3・郡別大滝30mは迫力満点   郡別大滝のあともう何もないかと思ったらF4・15m  終盤の小滝でぐんぐん高度を稼ぐ、思わずバンザイ
おー凄い!遂にc930mで高所より水飛沫を垂らす「郡別大滝」30mが現れた。 「あのバンドを登ってあれ伝って・・」と下であれこれ考えるがこの高さに舌を巻く。 取りあえず一番無難そうな右岸ルンゼから滝口直下のテラスへ斜上する。 テラスの灌木に残置スリングと古いハーケンがあり懸垂支点に使ったようだ。 テラスに立つとちょうど頭上の落ち口から水が勢いよく噴出し放物線を描いている。 黒光りして滑りそうなテラスの上をおっかなびっくりシャワー浴びて左岸へ渡り滝上へ上がる。 背後に黄金山が平和に佇んでいた。 手元の地図にはここまで滝マークが4つあり勘定が合わないがこれが最後である。 もう大きいのは終わったんだと思っていたら最後にc990mでF4・15mが出てきた。 ちょうど日も射して気持ち良く左岸水流脇を直登する。 小滝・滑滝が続きぐんぐん高度を上げるとやがて水流は細ってシナノキンバイが咲く草原ぽい源頭へと導かれる。 1230mでいよいよ水が涸れ、源頭から先は低い笹とガレが交互に現れる。 急なガレは登り難くやがてハイマツ帯となるが幸い5分で抜け山頂だった。 高曇りながら視界が効き展望が良い。 増毛と暑寒の山々、夕張〜芦別〜十勝連峰〜大雪山が一望できる。 札幌の山々の右に羊蹄山も見えていた。

雪を踏むか沢登りでしか登れない近くて遠い山     左の南陵岩峰まで藪を漕ぎ増田の沢を下降する    この沢唯一の「牧の滝」20mは階段状で右岸を下った
下りは南の陵線沿いに笹藪を漕いで南峰まで辿る。 南峰岩頭に登ると青々とした増毛の山が囲み、幌天狗が尖って見えた。 陵線の適当なところから増田の沢の源頭を目指すと崖にぶち当たり、一旦陵線まで登り返した。 笹を掴みながら下ってゆくと程なく沢型に入り水がちょろちょろ流れ出す。 草が被って歩き難いが次第にしっかりした流れに変わると何となく滝の予感、c790mに階段状「牧の滝」F1・20mがあり右岸を下った。 淡々と二股出合いを過ぎ予定より早く車に戻れ嬉しい。
遡行の楽しさと道なき鋭鋒を極める一挙両得の沢と言える。 本流の谷間に忽然と姿を現す大滝は新鮮でインパクトがあった。 どちらかと言えば体力勝負の沢だが長い割りに滝の数がやや少ない感じもする。         

<残雪期の群別岳はこちら>


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