北鎌尾根〜槍ヶ岳〜大キレット〜北穂高岳  (北アルプス)  ■Home
2011年8月上旬 メンバー3名
コース概要: 中房温泉〜燕岳〜大天井岳〜貧乏沢〜北鎌沢右股〜北鎌尾根〜槍ヶ岳〜大キレット〜北穂高岳〜涸沢〜上高地
4泊5日(全テント泊)

7/31 曇り時々雨  札幌→羽田→新宿(高速バス)→松本(JR)→穂高(タクシー)→18:10中房温泉C0
8/1  曇り後時々雨 5:10中房温泉→9:35燕山荘→喜作新道→13:00大天井岳→14:50貧乏沢下降→17:25北鎌沢出合C1
8/2  曇り     5:05北鎌沢出合→北鎌沢右股→8:00北鎌尾根コル→10:00P9天狗腰掛→11:10独標12:20→16:20北鎌平
8/3  曇り時々雨  4:40北鎌平→6:30槍ヶ岳→9:45南岳→大キレット→13:40北穂高岳→16:50涸沢C3
8/4  曇り後晴   5:00涸沢→8:50上高地→松本(高速バス)→立川(JR)→羽田→札幌

<1-4日目 (中房温泉〜北鎌尾根〜槍ヶ岳)前編はこちら>

<4日目 北鎌平〜槍ヶ岳〜大キレット〜涸沢>           


 8/3 槍ヶ岳山頂はぞくぞく登ってくる登山者で溢れのんびりしてもいられず下山することにする。 山頂から「槍の肩」まで登り下りでルートが別れ、ほぼ垂直に立つ鉄梯子もそれぞれ用意されてるが いずれも数珠繋ぎで槍ヶ岳山荘まで1時間あまりを要した。 山荘のTVで天気を確認すると曇り時々雨で最後まで見放されたようだが気を取り直して一路標高3101mの大喰岳に向かう。


         
          


右手の笠ガ岳と西鎌尾根に雲が掛かっているが青空も望まれ今山行の中ではかなり上等な展望である。 大喰岳まではちょっとした登り返しだが「北鎌尾根」を達成し気の抜けた三人には辛く、 既に大キレットを縦走した経験のあるkaさんとkiさんはなお更という感じだった。 進むに従い槍ヶ岳の表情が変わり、 大喰岳からは日本のマッターホルンと称されるような天を突くダイナミックな姿に圧倒される。


         
          


大喰岳をあとに中岳に向かう途中、足元のザレた斜面にイワギキョウやウスユキソウ、ヨツバシオガマなど が雨露を抱いて輝いていた。 中岳を過ぎ天狗原の分岐にかかる。 ここは数年前に単独で大キレット〜ジャンダルムを繋ごうとした時に台風で諦めた場所だった。 足の不調とバテ気味で辛そうなkaさんが遅れ出す。 雨が降り出しカッパを着てkaさんを待つと30分ほど遅れて南岳に到着、相当疲れ切ってる様子である。 kaさんより「自分はキレットに向かうのは無理であり、南岳新道から下って槍平山荘に泊り、 明日は新穂高で温泉でも入ってからバスに乗るので松本で合流しよう」との提案だった。 無理強いするのも何なのでkiさんと二人で山行を続けることにした。


         
          


大キレットは南岳南壁(獅子鼻)からこれでもかというくらい一気に落ち込み、 二度目のkiさんもこんなに下ったかなと呟くほどだが、これから先の登り返しを思うとうんざりする。 足元のマーキングに従い岩場を慎重に下ると最後に長い鉄梯子が連続し、漸く鞍部に向うだらだらした陵線に変わった。 そして再び登りに変わると大キレットの難所である長谷川ピーク(馬の背)と呼ばれる痩せた岩稜が連続する。


         
          


スッパリ切れ落ちた岩稜にまるで大型船のアンカーでも吊り下げるような太い鎖が張られ、 これを握り締めながら小さな鉄板の足場を伝って通過する。 雨に濡れた岩が滑りそうで、この時ばかりはガスで下が見えず幸いだったかも知れない。 コルで初めて二人連れとすれ違う、 後にも先にもすれ違ったのはこの登山者のみでキレットを縦走する人は圧倒的に北穂高岳へ向う方が多いようだ。


         
          


少し行くとナイフリッジの岩搭を先行者が這いつくように登ってるのが見えちょっと厭らしそうである。 ここは飛騨泣きと呼ばれる大キレットの中でも一番の難所だが 印に従って登ると鎖とボルトが打たれ手掛かり足掛かりに不自由しなかった。 ここを越えると北穂高岳北壁の大岩壁を前にちょっとした休み場があり10人程のグループが出発していった。

         
          


垂直に見える大岩壁が近づくと30mほど先で石が突然バラバラ降ってきた。 驚いて見上げると先行グループが登ってたが「ラーク!」のコールもなく、再び落石がありそうで厭な感じである。 大きな岩場を回り込むようにスタコラ登り詰めると、漸く北穂高小屋の真下に出てほっとした。 山荘はガスに包まれ真っ白で肌寒むかったがこの時のビールは旨かった! 先のグループは話声から韓国人のツアーだと判ったがあちらでは落石を起こしても声すら出さないのだろうか? さて、涸沢のテン場へ梯子や鎖場を下ると何組か登ってきたが中には小さな子連れの登山者もいて驚いた。

         
<5日目 涸沢〜上高地〜札幌>           


 8/4 色とりどりのテントが並ぶ涸沢カール、小屋のトイレは綺麗だし人が多く賑やかである。 ただ岩のゴツゴツしたテン床は快適とは言い難く、大雪渓から吹き降ろす風が寒くツエルトの中で身を縮めながら朝を迎えた。 今日はパノラマコースから上高地に下山するだけだが、 上高地アルペンホテルの入浴受付が10時までなので何としてもそれまでには着きたい。 まだ薄暗い中、登山路を探しながら出発し涸沢ヒュッテに続く石段を下った先で漸く 「健脚者向き要注意」の案内板を見つけた。


         
          


険しいと言ってもせいぜい尾根道だろうと高を括ったら結構な岩場で足元が悪くロープと鎖が所々に垂れていた。 沢筋には雪渓が残り階段状にステップが切られているが足を滑らせれば本谷側へ真っ逆さまである。 振り返るたび涸沢が小さくなりどこかの写真か絵で見た景色が広がって名残惜しかった。 屏風のコルに出て稜線を小さくアップダウンすると屏風の耳が見える分岐があり登れば展望が素晴らしいそうだった。 どんどん下って奥又白谷の出合い、更に厭になるころ漸く上高地からの治山林道に出る。 ここから1時間半で上高地に到着、河童橋の土産店で安着祝いして風呂へ直行しました。          



          


その後、松本のバスターミナルでkaさんと待ち合わせたが如何したのかなかなか姿を現さない。 下山して一度連絡を取った切りだが何かアクシデントでもあったのだろうかと心配になる。 これに乗り遅れたら如何するか?今日中に帰れるかなどいろいろ頭を過り、 もう乗車を諦める発車1分前で姿を現わしほっと胸を撫で下ろした。 何でもたまたま入った近くの蕎麦屋で待たされやきもきしてたらしい。
新宿行きの高速バスに乗り込んでようやく落ち着き、これで全て旨く行ったという安堵から静かに酒盛りを始める。 ところが中央高速に乗って自体は一変する。 事故による渋滞に巻き込まれにっちもさっちも進まず2-3時間は遅れるとのアナウンスだ。 飛行機は変更の利かないチケットでこのままでは確実に間に合わない。 特別にお願いして立川の停留所で降ろしてもらい、そこからJRとモノレールを乗り継いで羽田に着いたのは出発時刻の10分前だった。 私だけたまたま30分遅い最終便だったので駆けつけビールを飲んでから出発、千歳空港で2人が待つ車で帰宅しました。 最初から最後までハプニング続きで気の抜けぬ楽しい山行になりました。          
























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