ケンネベツ川〜東岳〜硫黄山 1520m・1562m(道東)  ■Home
2009年8月下旬 メンバー3名
8/30 5:55ケンネベツ橋→8:35F1→13:20源頭1250m→乗越し→14:15ショージ川源頭1250m→ハイマツ帯1380m→16:25陵線1500m→16:45東岳→17:45第一火口キャンプ地C1
8/31 5:25第一火口キャンプ地→(6:05-6:15)硫黄山→8:05新噴火口→9:00登山口→9:15カムイワッカ橋 (休憩含)


8/29 曇り後晴れ 週末の天気に合わせ土曜日の朝のんびり札幌を出発した。 途中の弟子屈町で創業50年以上という古い温泉銭湯「亀の湯」に寄ってさっぱりする。 年老いたおばあちゃんが朝6時から番台に座り200円というお代が何とも嬉しい。 ここから西別小屋までは30分足らずだが小屋の手前で空の大型貸切バスとすれ違いちょっと厭な予感がした。 はたして小屋に着くと三十数名の団体が宴会中でビックリしたが30対3じゃ勝ち目はない。 「こんな大人数で押しかけるなよ」と思いつつ他へ移ろうとしたら一階の片隅を空けてもらう。 お酒が入ると山談義に花が咲き朝の早い我々を気遣って頂き9時に消灯した。

 c500mで断崖に阻まれ15mのF1が垂直に落ちる     c580m過ぎに次から次に現れる快適な斜滝       c610m・10mから涸滝に変わるのが此の沢の特徴 
8/30 曇り時々晴れ 翌朝3時に起床して車を知床へと走らせ岬町を流れるケンネベツ川の左岸広場にデポする。 作業道を歩いて真新しい砂防ダムを幾つか越え標高90mより入渓する。 一見ちんけな沢だが大雨でも降ったら一変するのか大岩ばかり転がって歩き難い。 ほぼ0mから始まった標高はさっぱり上がらないが振り返ると淡いピンク色の空に国後島の山々が浮かんでいた。 2時間ほど何も無かったがc390mで最初の小滝を越えると両岸が立ってきて狭い渓谷となる。 そしてc500mで三方を断崖に阻まれるように15mのF1が垂直に落ちていた。 左岸の獣道を使って高巻く途中に熊の糞が落ち笹藪の中から更に10m位のF2が見えまとめて巻いた。 40分以上かかって滝上に出ると小さな釜がありエメラルドグリーンの水を湛えて美しい。 更にc580mでのっぺりした釜付二段の滝6mを越えるとすぐ上に8mの斜滝が続く。 いよいよ面白くなってきたなと思ったら早々と水が伏流し涸れ沢に変わった。 万一を考え少し戻って1リットル程の飲み水を確保し一層重くなったザックを担いでc610m・10m、c650m・15mの滑滝を越える。 水流が戻ることは無かったが綺麗な溜り水や支流で時々喉を潤す。 c740mで10mのハング滝を右岸から高巻くと涸れた階段状の滑滝が高さ200m程も断続的に続く。 白く乾いた岩盤に苔が生え普通の滑とは異質の趣があった。 やがて両岸がぐっと低くなると大岩が点在する源頭となり遅咲きのチングルマやエゾコザクラに迎えられる。 そしてc1250mで遂に沢型が尽きると陵線まで一面ハイマツの海に覆われ容易でない藪漕ぎを覚悟した。 「山と谷」では「陵線まで1-2h」だが信じられない景観である。 そこで一本右のショウジ川源頭の沢型へ乗越した方がまだましだろうと判断した。 ところが僅か200m離れたお隣の沢型まで1時間のハイマツ漕ぎのアルバイトに体力を消耗する。 しかもその沢型は1380mで途切れ1500mの陵線まで1時間半のハイマツ漕ぎを強いられた。 あのまま素直にケンネベツ川を詰めた方が早かったかも知れないが何れももうこりごりである。
     
途中までは快適に登れるが上部の手掛かりが薄い    源頭の谷間に国後島が浮かび平和な一時だった     第一火口キャンプ地より赤く染まる知円別岳 
陵線からは硫黄山を始め羅臼岳の先まで見通せ足元は明日下降するウブシノッタ川の赤茶けたガレがスッパリ切れ落ちている。 浅いハイマツの中に踏み跡が東岳から先へと続き裸地に点在する小さなシレトコスミレを踏まぬよう気を遣う。 そのままザレを進んで従走路と合流し知円別岳を横切ってすぐの急なガレ沢を第一火口キャンプ地へ下った。 何とか日没前に到着できまずはビールで乾杯する。 雪渓水を汲みテントを張り終えると突然Kさんが雄叫びを上げた。 熊でも出たか!と思ったら夕日がガレた壁面を真っ赤に染めまるで巨大なスクリーンでも見てるような感動を覚える。 第一火口キャンプ地は屏風に囲まれたような地形で風が無く綿毛になったチングルマが群生する別天地だ。 ラジオの選挙結果に聞き耳を立てると民主党の歴史的勝利に興奮し酒が旨かった。 唯一残念なのは明日の天気が雨に変わったことである。 ウブシノッタ川からカムイワッカ川に予定を変え更に酔いが回ると「夏道をさっさと下って一番のバスで帰るべ」と言う話になった。 みんな相当疲れており一気にトーンダウンしたが仕方が無い。 23時過ぎ目を覚ますと既に雨が降り始めていたが朝方には止んでいた。

8/31 曇り 雪渓の脇から従走路に出て空身で硫黄山に登った。 登山路が以前より不明瞭で今にも岩が崩れそうな感じがする。 高曇りだが視界が効き遠く阿寒岳まで見えていた。 幸い雨に当たらず下山すると始発のシャトルバスがタイミングよく到着した。 ウトロ自然センターで降ろされるとこれまた羅臼行きのバスが発車するところだった。 慌しくもトントンと事が運び後はGさんがヒッチハイクで車を回収するのを待つばかりだ。 1時間後、熊の湯で汗を流し交代で運転して21時半に帰宅した。


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