ポンクワウンナイ川〜カウン沢〜クワウンナイ川(天人峡周回フルコース)
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2008年9月中旬 メンバー3名
9/12 18:30札幌→22:40天人峡C0
9/13 5:00天人峡→5:30ポンクワウンナイ川入渓→8:00二段ゴルジュの滝→9:25大滝→15:35両門の滝c1450→16:00二股c1485→17:40・c1810源頭C1
9/14 5:00・C1→小化雲岳(5:25-5:40)→5:55カウン沢→6:50二股c1560→8:00F4・c1450→9:30F3・1350→11:00F2→12:50F1c1140→15:05クワウンナイ川出合→16:05魚止の滝
9/15 4:50魚止の滝→6:05ハングの滝→6:55二股の滝→10:30従走路→化雲岳(12:45-13:00)→17:40天人峡
敬老の日の三連休を利用して天人峡を基点に三つの沢を歩いてきました。
三和さんが本で数行だけ紹介した「ポンクワウンナイ川から地獄谷」を参考に暖めていたもので、
ポンクワウンナイ川→カウン沢→クワウンナイ川滝ノ瀬十三丁の贅沢なルートである。
カウン沢には大きな滝が三つ程あるらしいが何せ情報が少なくザイルの選択やエスケープルートの設定など行く間際まで迷った。
ゴルジュの滝1段目、水量少なく今回は楽勝 ゴルジュの滝2段目、凄い爆音、登り始めやや難 支流から落ちる垂滝の前で はいポーズ!
[ポンクワウンナイ川遡行]
9月13日 曇り時々晴れ 予定通り5時に出発しポンクワウンナイ川へ入渓する。
前回に比べ水量が少ないが普段はこんなものなのだろう。
右岸の大崩壊地も時間が経ってかなり収まっていた。
c770の小滝を直登し二俣を過ぎれば二段ゴルジュの滝が現れこの沢の核心が始まる。
前回は雨後で水に勢いがあり未練残して巻いた滝だが今回は始めから登ることに決めていた。
所属する会では昔よく好んでこの沢に入った記録があり古いメンバーから話を聞くたび逃した滝が気になっていた。
一段目5mを左岸のバンドに走るクラックから登ってゴルジュに入ると二段目8mは右岸に残置シュリンゲが垂れている。
此れを足掛かりに身を引き上げるが中々どうしてパーティーにある程度の力量が求められる微妙な登りだった。
Hさんのザックがめちゃくちゃ重く引っ張り上げるのが大変だった。
すぐに右岸から支流が垂滝となって合流し続くゴルジュの滝はどう見ても水が深く中を突っ込む気がしない。
さてそろそろ来る雰囲気だなと思いつつ緩い10mの滝を左岸から直上すれば例によって30mの大滝が現れる。
ここは折角登った滝を戻って右岸の高巻き箇所を探す。
この高巻きは100m以上登らねばならず下手すりゃ岩が出て難儀したりもするが今回は木が続いて快調に高度を上げる。
ところがHさんが遅れてなかなか姿を現さず沢身に戻るまで大幅な時間を要した。
早々にバテるとは予想外であり遡行中も度々転んでハラハラさせられる。
いったい何が入ってるのか彼のザックを少し軽くする必要があり今日中にカウン沢の源頭に着けるか怪しくなってきた。
直登可能な滑滝がバンバン現れ快適である c1300過ぎから滑が暫く続く、秋のポンも綺麗 源頭まで飽きることなく登れ大好きな沢だ
ハングの滝に残るハーケンとシュリンゲは年代物の筈だが見た目はそれほど古い感じがしない。
今は崩れた岩から容易に登れるが昔は残置を足掛かりにヒヤヒヤ攀じったのだろう。
次の10m滝は濡れたぼろ岩を騙しながら登りIさんと二人掛りでザックを吊り上げた。
c1180の10m滝は忘れられないほろ苦い想いのする滝である。
ホールドに従い左岸から右岸に渡れば直登できそうだが先に登ったIさんが途中で降りてきた。
登るにはシャワー必須で気力が湧かずあっさり巻いたが今回は高巻きが三度目でこれが最後だった。
見覚えのある滝を次々に越えていくとc1280で現れるのは左上がフェイス状のバンドを持った8mの滝である。
Iさんが意欲的に先行してバンドから抜け後続はザイルを貰う。
滝口に巻かれた新しい捨て縄は沢身に降りるのに使ったのだろうが少し潅木を進めば簡単に降りられる。
c1450にある門のような形をした滝は水流の際から身を上げたが後の二人は高巻いた。
後は特に難しい滝もなく階段状の滑へと変化していく。
苔は柔らかなクッションの様に足に優しく、さらさら流れる水は暫しの安らぎを与えてくれた。
やがて流れは細くなって途絶えガレ場を目指して重たい足を上げる。
Hさんが先頭を歩くと誤ってc1490右股に入り、たまたまその先に単独者のテントがあるものだから危うく騙されそうになった。
17時を過ぎ日暮れが迫っているがよいテン場が見つからない。
稜線近くまで登ればふかふかのお花畑があってテン場に困らない筈だからもう少しの辛抱である。
小化雲岳山頂まであと100mの高さまで頑張るとひょっこり平らな草地が現れテントを張った。
ガスって寒くて堪らず濡れた服を着替え漸く一息付く。
夕食のクリームシチューを煮ながら乾杯、疲れた体にお酒が染み込んでいった。
ニンジンが硬くて反省、サツマイモが意外に合ったが何を入れても旨そうな気がする。
たまたま寝つきの良いオジサンが揃ったようで20時寝袋に入るとバッタンキューだった。
雄大な庭園の如くカウン沢の源頭に踏み入る 滑や小滝の続く明るい沢じゃないですか! c1420・F4・25m 釜が気になり右へそして振られる
[カウン沢下降]
9月14日 曇り時々晴れ 夜中にテントを叩く雨で目が覚め外に放り出したままの服と装備が気になった。
3時半に起床、濡れて冷めたい下着と服を着る一瞬が堪らない。
外はガスってなかなか明るくならず出発を5時まで待たされた。
薄暗くて先がよく見えず山頂目指してコンパスを切るがハイマツに捕まり右へ逃げると草地になって30分で小化雲岳に着いた。
視界は無く朝露に濡れた体は寒くて堪らず長居は無用、そそくさとカウン沢の源頭を目指して山頂を後にする。
沢形を下ると次第に視界が開け紅葉の始まった日本庭園のような源頭が広がっていた。
直ぐに水が流れ始めると枝沢が集まって水量はポンクワウンナイ川の源頭より多くなった。
沢に沿ってシカ道を下ると良さそうなテン場がいたる処にあり特にc1560二股の左岸はふかふかの草地だった。
やがて転石の沢は滑床や小滝が断続的に現れ明るい沢の雰囲気となる。
何やら滑の先がストンと切れてるなと思ったらいきなりF4・ビッグな25m滝のお出ましだった。
左岸に捨て縄が残置されているが別の幹にザイルを廻し滑の先までじわじわ進んで下を覗くと大きな釜が目に入った。
ザイルを投げ着地を確認し意を決して下降し釜を避けて着地する。
二番手のHさんに合図を送り固唾を呑んで見守った。
見てるこちらの方がハラハラさせられる懸垂だったが何とか無事に着地して胸を撫で下ろす。
放心状態の彼は貴重品の入ったポシェットを置き忘れてしまったらしい。
カウン沢は滑と小滝が多く明るく綺麗な沢だが巨大な3つの滝に圧倒され他の印象が薄まるのはどうしようもない。
c1360・F3・30m 空中で水飛沫をたっぷり受け震える c1120・F1・40m 支点から覗けばチビリそうな高さ F1 人が豆粒に見える、踏ん切りが付かないでいる
次のF3はもっと大きい30m超の大滝だった。
左岸にザイルをセットし懸垂しかけたが覗くと水の直爆を受ける位置で右岸にザイルをセットし直す。
こちらは降り口の上に岩が被って洞のようになっており、まるで飛行機から落下傘部隊が飛び降りる穴のようだった。
何もここまでビビらせなくても良いのにと思いながらぶら下ると直ぐに空中となり水飛沫をたっぷり浴びて釜の際に着地する。
とにかく寒くて皆が降りるまでガタガタ震えた。
まったく精神的に良くない大滝が2コ続き普通の懸垂(F2ゴルジュの滝)がどうってことなく思えてくる。
c1260と1240で合流する支流は凄い高所から羽衣の滝の様に流れ落ちていた。
さてこのペースでは予定したテン場(二股の滝)に届かず明日の行動を考えねばならない。
日が短く魚止の滝からだと明るい内に天人峡へ下るのが無理かも知れないがこのままクワウンナイ川を下って帰る手もあった。
ちなみにエスケープに考えたc1200から尾根を乗越し滝ノ瀬十三丁へ出る斜面はかなり急である。
さて問題のF1だが左岸の一番出っ張った立ち木に残置の捨て縄があるがこれを使わずザイルをセットした。
下を覗けば今まで以上に恐怖を感ずる高さで、すぐ10m下にある枝を挟んでザイルが垂れてしまったので一旦引き上げセットし直す。
懸垂すると直ぐ空中になって身動きが効かず、枝の間を垂れるザイル通りに身を落とす必要がある。
一旦着地するが更に数m下の釜の淵まで下降しATCを解除した。
下から見ても凄い高さで釜から支点まで40m以上はあるだろう。
二番手、三番手とも上から身を乗り出す時はチビリそうになったと言い、二人とも枝に引っ掛かっかってヒヤリとしたが事なきを得た。
ここは支点の位置をずらすのとザックを先に降ろせばよかったが上からだと下の様子がよく分からない難しさがある。
この滝が終わると大きなゴーロ歩きだけでクワウンナイ川との出合いだった。
明日はヘッデン覚悟だが夏道の下山なので予定通り決行することにした。
魚止めの滝にテントを張って焚き火をし暖を取る。
未だ興奮覚めやらぬ懸垂の余韻につい酒が空っぽになった。
今夜も揃って爆睡、夜は星が出ていた。
空が白んできた滝ノ瀬十三丁、やっぱ昼間の方が良い 行ってみたかった秋のクワウンナイ川を満喫する 小化雲岳は一面チングルマの綿毛に覆われていた
[クワウンナイ川遡行]
9月15日 晴れ 3時起床、4時45分出発する。
魚止めの滝は右岸を容易に直登できるらしいが今日はまだ薄暗いので素直に高巻いた。
まだ薄暗い滑を歩くのもいいもんだ?だがのんびりと言う雰囲気じゃ無くあっと言う間に滝ノ瀬十三丁が終わってしまう。
朝から青い空が広がり昨日までのスリルある沢歩きが終わって気が抜けたか源頭で1時間近くロスし従走路へ着いた。
展望がすこぶる良いが今年はどういう訳か紅葉がいま一つ、たぶんこれ以上赤くならずに涸れてしまうのだろう。
化雲岳が近くに見えあと1時間程かと思ったが長くて暑い、大汗掻いてやっと着くと今度は寒い!雪が降るんじゃないかと思った。
天人峡へ至る従走路はIさんが始めてとのことで大いに感激してたが相変わらず長い、けど第2花園からの木道も少し延びた気がする。
下山したのは足元がぎりぎり見える17時40分でコテコテだったがメンバーそれぞれ生涯忘れえぬカウン沢の下降に感無量だった。