豊似湖〜観音岳 932m(えりも町)  地図はこちら  ■Home
 2012年10月21日 晴れ メンバー5名
 8:00豊似湖→9:00沼見峠→(10:30-10:50)観音岳→12:20豊似湖

観音岳は豊似岳の子峰で1000mに満たない山だが日高らしい端正な姿が登頂意欲をそそる。 いかにも信仰的な意味合いの山名は中腹に祀られた古い馬頭観音碑に由来すると思われ、 アイヌ語地名の多い日高にあって和名の山は珍しい。 この山にはかつて豊似湖から何らかのルートがあったようだがそれが登山路なのか詳細不明、 藪中に残る踏み跡を期待して登ってみることにした。


          


のんびり広尾町のサンタランドを後にして豊似湖へ向かう林道を走ると朝日の差し込む森の美しさに見惚れる。 駐車場には白い恋人のCMで有名になった観光地らしくトイレや案内板が整備されていた。 案内板を良く見ると豊似湖から観音岳までの道が消され踏み跡を期待して出発する。 歩き出してすぐ足元をチョロチョロした物が走りナキウサギかと思ったら愛嬌のあるシマリスが出迎えてくれた。          


         
          


深い樹林を抜け初めて見る豊似湖はちょっと神秘的だった。 周囲1kmの湖は河川の出入りのない内陸湖で上から見る形から馬蹄湖とかハートレイクとか呼ばれている。 湖岸を半周するように歩いてたら方向音痴も甚だしく全く関係無い涸れ沢に向かっていた。 まだ酒が残っていたのかも知れない、 慌てて戻りハートの窪みから案内板(写真下)に従い尾根に大きくジグを切って猿留山道(さるるさんどう)へと向った。          


         
          


猿留山道とは江戸幕府が寛政十一年(1799)に蝦夷地防衛のために造らせたもので 伊能忠敬が測量し、松浦武四郎が旅したとされ、 黄金道路が開通するまで使われた生活路でもある。 「えりも町郷土資料館」のHPに詳しく、 字本町から字目黒まで海岸沿いに或いは山間に七里半(30km)に及ぶ蝦夷三険の 一つとされる。 この道を切り開いた先人や僕になったアイヌの苦労を偲びながら ほんの一部を歩かせて貰う。        


         
          


その通過点の沼見峠(写真上)からハートの豊似湖が見えるかなと期待したが木が邪魔していま一つだった。 傍に江戸時代の古い年代が刻まれた馬頭観音碑が並び、 ここで猿留山道と別れ胸までの笹薮を数十分漕いで700mの東尾根基部に出る。          


         
          


そこには小さな祠があり中に奥山半僧坊大権現(おくやまはんぞうぼうだいごんげん)の御分身が祀られていた。 半僧坊大権現とは東海の名刹(深奥山方廣寺)の鎮守神で 海上交通と旅人の安全を祈願し海と山道を見据えるこの地に置かれたものと思われる。 風化の様子からかなり古い時代のものだが年代は記されていない。          


         
          


東尾根の笹は低く、何処からともなくシカ道が延びてきて歩き易い。 昨日と打って変わり青空と気持ち良い風景が広がるが相変わらず風が強く、 時々笹原に寝転ろんで音調別の海を眺めたりする。 太平洋が広がり穏やかに光る海の景色が心を和ませてくれた。          


         
          


顕著なピークを一つ越えると観音岳(写真左)の山頂は近く、次々に到着したメンバーがその展望に声を上げる。 まずもって向いに豊似岳のすきっとした山容に迎えられ、隣にギザギザの二観別岳、奥にアポイ岳が望まれた。 日高の主陵線は少し霞んでるが楽古岳の尖がりに並んで十勝岳まで何とか分かる。 昨日の広尾岳も頭くらい見えても良さそうだがちょっと苦しい。 百人浜と襟裳岬も遠くに見ることができすこぶる眺望の良い山だった。          


         
          


晩秋の豊似岳(写真左)と楽古岳〜十勝岳(写真右)の日高山脈が霞む。 下りはのんびり笹を分けながらも沼見峠まであっと言う間だった。 豊似湖分岐から素直に来た路を下れば良いものをまっすぐ猿留山道を進んでみる。 涸れたワラビが路一面に広がりさながらワラビ山道だった。 当たり前だが豊似湖がどんどん離れ出したので適当な尾根から藪を漕いで湖岸に下降する。 湖が近づくといかにもナキウサギが好みそうなゴツゴツした岩が積み重なって歩き難かったが無事駐車場に戻る。 百人浜コミュニティーセンターで汗を流し、帰りの車中から眺めるえりも・様似の山並が楽しかった。

<昨日登った 西広尾川北面直登沢〜広尾岳 はこちら>          


         
























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