神威岳〜中ノ岳〜ペテガリ岳 1600m・1519m・1736m (南日高) 残雪期 ツボ  ■Home
       2011年5月上旬 ニシュオマナイ川ルート 主陵線縦走 メンバー5名
       5/2 19:00札幌出発→21:00三石道駅C0
       5/3 4:30C0→5:50林道ゲート→9:35神威山荘→13:40尾根取付き→16:15神威岳1200mC1
       5/4 6:20C1→7:50神威岳分岐→11:10ニシュオマナイ岳→15:00中ノ岳手前c1350mC2
       5/5 6:10C2→6:50中ノ岳→12:35ペテガリ岳分岐→14:15ペテガリ岳→17:00西尾根c1100mC3
       5/6 5:25C3→10:30ペテガリ山荘→14:55神威山荘→18:10林道ゲート

日勝峠から楽古岳まで120kmあまり、日高の主陵線をこつこつ繋いできたが最後に厄介なペテガリ岳〜神威岳が残ってしまった。 日高の縦走は6年間で20回(内4回敗退)を数え、効率が悪いが今回で完遂したいと思っている。 特に神威岳に3年連続で通えばもういい加減うんざりと言うのが本音である。

 5/2N 雨後曇り  GWなのにぱっとしない天気が続く、出発から雨でやな感じだが高速の途中で止んでくれた。 三石の道駅で2名と合流、風が強く明日からの山行が案じられる。 車の間にテントを挟んでC0するがGWのせいか一晩中車の出入が多く煩かった。

車の窓からピンクに染まる山並み,二つ目神威岳    林道を3時間ちょい歩いて漸く神威岳が姿を現した     c1200のテンバから望むニシュオマナイ岳

 5/3 晴れ時々曇り  4時起床し元浦川へ移動、神威橋から3kmほどのゲートを出発する。 室蘭ナンバーの車が2台止って、もしや我々と同じ予定かと思ったが足跡が無く?下山用にデポした車だと分かる。 林道には小規模な落石が何箇所もあったが去年のような残雪が無く早く着きそうだ。 途中でコザクラに慰められ、歩いて3時間ほどすると前方にニシュオマナイ岳の鋭鋒が望まれる。 神威山荘が見えると小屋の煙突から煙が上がっている? 中では苫小牧の女性一人が縦走してくる仲間を待っていた。 昨日、風雨の中を出迎えのご馳走とお酒を担いで来たと言う。 昨日のニシュオマナイ川は増水して会のメンバーが降りてきても渡れなかっただろうとのことだった。 幸い雪解けで水量が多いものの徒渉に問題はなく彼女に見送られ、沢足袋、素足など様々なスタイルで渡った。 ゴミ袋を重ねて渡った私は上から浸水してズボンを濡らした。 今年はc700まで雪がなく必然的に徒渉する回数も多く、そして750mで標高尾根に取り付くと雪の下の笹が滑って苦労する。 3泊分のザックが重く我慢のしどころである。 そして程なくトヨニ岳から縦走して来たパーティーの声が聞こえ、 「おーい!下で彼女が待ってるぞー」と呼びかけると一本隣の尾根から返事が返ってきた。 テン場を1200mまで上げると去年よりニシュオマナイ岳が黒ずんで見えたが夕日でそれなりに美しい。 予定通りの進捗と野菜鍋、酒とつまみが豊富で楽しい晩だった。 ところがラジオで雨予報を聴いてガッカリ、どうせ停滞だろうと酒を飲み寝込んでしまう。 夜中に寒さで目が覚め慌てて寝袋に入ったが風邪を引いた様である。


ニシュオマナイ岳から中ノ岳へトンガリ群を行く   歩幅リッジを慎重に進む、絶対に落ちてはいけない   中ノ岳手前のC2を出発、ガスが晴れ青空が広がる  

 5/4 曇り時々雪  起きると20cmの新雪が積もっていた。 朝方は山並みも見えていたがすぐ視界100mのガスで、雨になったら停滞覚悟で出発する。 神威岳JPを下降して主陵線へ移るとき両側の深い谷が目に入って厭らしい。 メンバーが「降りるの無理じゃない?」と心配するがピッケルで雪庇を崩して下る。 程なく去年の撤退箇所を通過、未踏の陵線に不安と興奮を覚えた。 細い陵上を辿るとトンガリコーンみたいな大小の突起に威圧される。 先頭は特に神経を擦り減らすが不撤退の覚悟で越えて行く。 振り返るとぎょっとする景観で戻るのも厭だった。 初ピークのニシュオマナイ岳1493mは生憎のガスだが雨の代わりに雪で、何より風が無いのが幸いである。 中ノ岳の手前にもトンガリが待ち伏せ、中には八剣山みたいなのもあった。 そして山頂手前の肩にテントが一つあり予定に届かないがC2とした。 話し声がするので声を掛けたが顔を見せず随分素っ気ないパーティーである。 ただ我々と逆の縦走で明日はお互い少し楽できそうだった。 今日もテントの中で物干しするが匂わない鼻に生んでくれた親に感謝する。 米を焚きマーボ丼を食べ9時就寝、軽量化の積りだったペラペラの寝袋が寒くて仇になる。



中ノ岳にて、ニシュオマナイ岳からの稜線を振り返る   中ノ岳にて、中日高の一大パノラマをバックに     ピラミダルなペテガリ岳に1839等が続いて壮大だ

 5/5 晴れ後曇り  起きるとガスだったがみるみる晴れてきた。 中ノ岳に登りながら、また山頂で日高山脈の大パノラマに感動する。 十勝岳〜ピリカヌプリ〜ソエマツ岳〜神威岳〜ニシュオマナイ岳〜ペテガリ岳〜1839〜コイカクまで、雪化粧した白い山脈が朝陽に輝いていた。 本当に来て良かったと思える瞬間である。 対面のピラミダルなペテガリ岳まで陵線が弧を描き意外に近く感じられた。 そして中ノ岳山頂から急斜面を下ると再びトンガリが待ち受ける。 昨日のパーティーのツボ跡を辿って今日はY子さんが積極的である。 途中で代ってねと言いながら目をキラキラさせ長い細尾根に入った。 東側が雪庇になりツボ跡は必要以上に稜上を避け西側の斜面を伝っている。 ペテガリ沢の沢底を足下に見ながらピッケルを突き刺し、アイゼン団子を落としながらでとても疲れる。 そんなこんなで1469mからの陵線通過に時間を食い、いつの間にか山はすっかりガスに覆われてしまった。 ペテガリJPに着くとポンヤオロからペテガリ岳方向に別のツボ跡が延びていた。 後で分かったがGW期間中この山域に入ったのは4パーティーで近年まれにみる大賑わいである。 そしてペテガリ岳がいよいよ近づき雪の中から飛び出した三角点にタッチ、遂に日高山脈主陵線が繋がって感無量である。 しかも幾度か縦走を共にしたSさんも同時にフィニッシュして嬉しい限りだ。 メンバーが「日高山脈縦走おめでとう2011.5.5」と印刷した紙を用意していた。 記念写真を撮ったら長居は無用、コンパスを西尾根に定め下降する。 夏に二度登っているが記憶が曖昧で神威岳や中ノ岳のような急な下りをイメージしたが淡々として拍子抜けする。 アイゼンを外し広い無木立の斜面を下るといよいよ登り返しで、ルートを外すはズボズボ埋まるはで一向にペースが上がらない。 暖かなペテガリ山荘で安着祝いをしたかったが時間切れ確実である。 尾根を半分下った所でC3、風が無く穏やかな場所だったが再び寒い夜を我慢した。



青空の元で快調に中ノ岳からペテガリ岳へ向う    あっと言う間にガス、狭く長い陵線が待っていた   ペテガリ岳まで繋いで念願の日高縦走を完遂する

 5/6 晴れ後曇り  3時半に目覚ましが鳴る。まだ寝袋の中に居たいがぐずぐずしていられない。 外に出たメンバーが「良い天気だわ、1839が見える、ペテガリも」と言うなり一同揃って撮影会が始まる。 今朝は-6度、雪が締まって快調なスタートだったが尾根に出たとたんズボっときた。 まだポコの登り返しが3つも4つもあり山荘まで結構時間が掛かりそうだ。 更に神威山荘までの尾根乗越しと、最後の林道歩きを考えれば今晩家の布団で寝れるのは五分五分である。 雲一つない青空の下にペテガリ岳とルベツネ山、1839が見え、更に中ノ岳の陰から神威岳が見え始め、我ながらよく歩いたものと感慨に耽る。 1000mを下ると早くも雪が乏しく夏道を辿るが不明瞭で漸くペテガリ山荘に到着した。 小屋の周辺には雪の片鱗も無く、ダニに好かれたTさんに10匹付いていた。 ベッピリガイ沢の林道に残雪が無かったのは予想外で、久々に沢登りしてるようで退屈しない。 再びニシュオマナイ川とご対面、靴のままじゃぶじゃぶ徒渉したが大失敗だった。 その後の林道歩きでSさんは靴下を真っ赤に染め、Tさんは大きなマメを2コ作り、私は親指の爪を駄目にした。 日没ぎりぎりにゲートの車に到着し山行を終える。  



西尾根のテンバC3から1839、絶好のロケーション      中ノ岳からベッピリガイ山の支尾根と神威岳      ペテガリ岳から7時間50分掛かって到着した 

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<2010 神威岳〜ペテガリ岳、縦走敗退はこちら>
<2009 神威岳〜ソエマツ岳〜ピリカヌプリ〜トヨニ岳 はこちら>


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