カムイエクウチカウシ山〜1823峰〜コイカクシュサツナイ岳 残雪期縦走  ■Home
 1979m〜1826m〜1721m (中日高) 
2005年5月上旬 行動時間36:25(休憩含)
1日目(曇り後雨):札幌14:00→札内ダム18:40(C0)
2日目(曇り後晴れ):札内ダム6:15→七の沢出会10:20→1650m17:05(C1)
3日目(晴れ):1650m(C1)6:20→1807峰7:10→ピラミッド峰7:55→カムエク(9:35-9:55)→ピラミッド峰11:10→1807峰11:45→1737峰16:40→1760m17:00(C2)
4日目(晴れ時々曇り):1760m(C2)6:05→1823峰6:25→1643峰8:10→コイカク台地12:10→コイカク頭12:50→コイカク川上二股16:40(C3)
5日目(晴れ時々曇り):上二股(C3)6:00→コイカク川出合林道8:40→札内川ヒュッテ9:05→札内ダム10:15→札幌15:10

GW山行は2日から5日まで日高のクライマックスというべきカムエク〜1823峰〜コイカク縦走を予定した。 メンバーはCLS氏、SL私、M E君とM嬢の計4名で構成、日程は3泊4日に予備日を入れる。

ヒュッテから先の林道部、はっきり言って歩き難い  1200m上部、最後まで雪が軟く苦労する。      初日から2時間弱の遅れ稜線ピーク手前でC1とする

5月1日 午後
札幌の自宅を出発し中札内にて個人食・酒を仕入れ19時頃、札内川ダムのゲートに着く。 30分程して若手E君到着、車中で寝袋に包まりチビチビやりながら残りの2名を待つがいつの間にか寝てしまう。 夜半に車の音で2名の到着と予報より早い雨を知る。
     
主稜線に出ると息が詰まるような痩せ尾根が続いている カムエク側も似たり寄ったり。手前ピラミッド峰   日高の盟主にこの時期登れるとは、最高に幸せ!

5月2日 4時起床 6時15分出発
朝から雨でいまいちテンションが上がらないがまずは装備を分担する。 雨中の行動を覚悟で身支度を終えると出発時間に合わせたかのように雨が止んでくれた。やった〜晴れるぞ! 明かり一つ無いトンネルの中は足元も覚束ないが舗装なので歩き易く、 長いトンネルや橋を幾つも抜け7時半ようやく札内川ヒュッテを通過する。 それから先の道路は斜面から落ちた雪が山のように塞ぐが黙々と歩くしかない。 13kmの道程を4時間以上かかって10時半ようやく七ノ沢出会に着く。 いや〜長いアプローチだったが日高の中ではましな方かも知れない。 いつの間に出来たのか七ノ沢に掛かる立派な橋を渡りいよいよ尾根に取り付くと肝心の雪が無い。 日の当たる斜面にギョウジャニンニクが芽を出し長閑さを感じるがM嬢が急斜の藪漕ぎに苦戦している。 足が滑って笹を掴みながら150m程攀じ登るとようやく雪の上に出たが今度は雪が軟くてズボズボ埋まる。 雪の上ではM嬢が快調になり、代わってE君が遅れだす。 13時頃、明日登る予定の1823峰が左手に見え、コイカクもその奥に台地状の姿で聳えている。 今日中に予定の主稜線まで届かぬことが判り17時ちょうどc1700mの平坦部でC1とした。 テン場から1823峰のピークが夕日に照らされ胸が高鳴る。 食担は毎日M嬢のお任せコース、米を焚き野菜等を炒めてご飯に盛って戴く。 調味料など小分けしてるのはさすがで男同士だとこうはいかない。 翌朝は残したご飯でお茶付けのパターンだが手っ取り早くて良い。
   
カムエク山頂からピラミッド峰(中央)〜1807峰(左端)〜1823峰(右端)井戸の淵を歩く思いがする。    1807峰から空身でカムエクをアタック

5月3日 4時起床 6時20分出発
朝の冷え込みで雪はバリバリに固まっている。 今日もいきなり急登に苦しみながらアイゼンを効かせ高度を稼ぐ。 そろそろ凄い高さになってきて下を意識するとお尻がムズムズし、ピッケルを握る手に自ずと力が入る。 小さな潅木でも何でも支えにしなければ不安な程、急な斜面を登って7時10分主稜線に出ると1839峰が目に飛び込んできた。 そこは目の眩むナイフリッジと大小の岩峰が延々と続くまさに日高山脈のど真ん中だった。 P1807三角点に荷をデポしサブザックの軽装に足取りも軽く7時55分ピラミッド峰そして9時40分カムイエクウチカウシ山に着いた。 幌尻、エサオマン、札内、勝幌・・風は強いが日高の大展望に至福の喜びを感じる。 八の沢カールには二つの大きな雪崩跡が見える。 11時45分P1807に戻りテン場予定の1823峰に向かって進むが、これが大変だった。 細い稜線上は概ね日高側に這松が出て下は崖となり、十勝側は雪庇で下は谷底まで雪が付いている。 どちらかと言えば十勝側に落ちた方が綺麗な体で死ねるかもって冗談言いながら、 絶対に踏み外せない思いで歩いた。 日が高くなると埋まる雪との戦いでなかなかカムエクが遠くならず体力が消耗していく。 E君がかなりバテた様子で17時、1823峰の手前300mの雪庇上でC2とした。 ブロックをL字型に積んで風避けとしたためテントの居住性は増した。 外はまだ明るくずっとカムエクを眺めていたいが5月と言え流石に稜線は寒くじっとしてると5分と身が持たない。
     
慎重に行こうね、落っこったら一貫の終わりだよ   雪庇上でC2、日高の山々が夕日に染まっていく     1823峰を過ぎてもまだまだ岩峰が続く、奥コイカク

5月4日 4時起床6時5分出発
恐る恐るテントから顔を出すと高曇りでほっとする。 C2出発し6時25分 遂に未踏だった1823峰の頂上を踏む。 この頂を踏みたくて今山行に加わったようなものだ感無量とはこんな心境か! 以前コイカクに登ったとき指をくわえ見入った山だが思いは実現するものである。 岩稜の痩せ尾根はコブの登降を幾度となく繰り返す。 アイゼンをひっかけないよう慎重に歩を進めるが、何と登り下りの多いことだろう。 8時10分1643Pを通過すると1839峰が常に視界に入ってくる。 相変わらずE君が遅れ岩場はM嬢が苦手なのかペースが一向に捗らない、 はたして今日中の下山は叶うだろうか? コルからコイカクへは一気に300mの登りで下からは崖にしか見えない。 強い西風に振られながら12時10分コイカク台地に上がると見覚えある稜線の先に真っ白な1839峰が望まれた。 孤高の山とはよく言うが、何処から見てもすぐ言い当てられるのだから決して寂しくは無いだろうな。 辿ってきた峰々を眺めて大休止、どの顔も束の間の緊張が解け満足感で一杯という様子。 コイカク尾根の西側は一面に広がる這松で青々としている。 雪を繋いでコイカク頭まで来たがこのペースだと頂上往復に1時間以上かかるだろう。 時間が押してるので未踏の二人には悪いが目前で諦めてもらい下降とする。 ところが予定の冬尾根は雪庇が酷く、見てる最中にもブロック雪崩が発生して下るどこの話でない。 そこで夏尾根に向かうと下ったばかりのツボ跡があった。 よくこんな急な処を降りたもんだとぼやいてみるが他にルートが無いので諦めるしかない。 谷間に目が行くとまるでビルの屋上から足を踏み出す気分で緊張する。 時にバックステップを刻んで難所を下った。 斜面が急でワカンも使えず転ぶわ、滑るわ、埋まるわ時間ばかりどんどん経って行く。 ようやく上二股に辿り着いたのが16時40分、今日中に降りたかったがメンバーの疲労もあり、平坦な沢沿いでC3とした。 予備食のα米二袋だけが夕食でM嬢が不公平の無いようにスプーンで分け合う様がなんとも可笑しい。 ただ塩をかけただけのご飯など家ではとっても食べれないが不思議と美味かった。
     
ヤオロマップ岳(左)と雪の消えたコイカク南西面   その先には何処からでも目に付く1839峰       コイカク夏尾根、少しずつ降るのが精一杯

5月5日 4時起床6時出発
山は朝焼けとても静かな朝を迎える。 雪解け水で水量が多く、渡渉でこけないよう気を使う。 靴の中は冷たくないが股まで浸かるとさすがにしびれる。 8時40分道々に出て全員で固い握手を交わす。 こういう時の笑顔って本当に良いもんだ。 札内川ヒュッテの前では先行の二人が荷を広げていた。 29日から1週間ペテガリ西尾根〜コイカクを縦走してきたとかで如何にも山屋の風貌だ。 かなり年季の入った装備なので年齢を聞くと65歳と60歳のコンビだった。 達者ならずうーっと日高に入れる証だがこの日に備え毎日20kgの荷を担いで藻岩山に通っと言うから凄いもんだ。 10時15分ほとんど足を棒にしながら札内ダムに到着ようやく縦走が終了する。 日高の中でも最高級の景色を堪能し且つ充実感に満ちた5日間だった。

エサオマン〜カムエク 縦走はこちら
     
コイカク川上二股でC3、なんと予備日突入       荷を背負って不安定な上に靴が良く滑る       中央の両サイド二人がペテガリ組、撮影E君









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