函館に用事の序に半日で登れる山を物色し、旧戸井町の釜谷富士と汐首山を予定した。
釜谷富士は地図に山名も三角点もない、いわゆる「おらが富士」として地元で呼び親しまれている山だ。
また汐首山は子供の頃によく遊んだ函館の大森浜から海辺の先に見える山で展望が楽しみである。
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【釜谷富士】 8:25国道→(9:10-9:15)釜谷富士→9:45国道
札幌は季節外れの大雪らしいがこちらは絶好の登山日和である。
バッテリーが弱々しく万一のことを考えて国道沿いのコンビニから歩くことにした。
終端の廃農家から藪を分けるとやや鬱陶しいがすぐ獣道を見付ける。
取り付いた西尾根はスカスカした灌木の中に踏み跡が続き、風に吹かれながら登ってゆくとオニアザミが一輪だけ健気に咲いていた。
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そしてニセピークに出ると下に海と建物が垣間見え、そこから岩混じりの痩せた稜線を進む。
稜線は柏の木が多く、枝に残った枯葉が邪魔で視界は良くない。
半ば諦め気分で稜線の先に向かうと枝越にぱっと眺望が開け、弧を描く海岸の先に島の様な函館山を見ることが出来た。
反対側は特徴のない山並みが広がっている。
釜谷富士はなんてことない里山で展望も一瞬だが富士と名前が付くせいか妙に満足感の得られる山だった。
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【汐首山】10:00NTT道路ゲート→(10:45-10:50)汐首山→11:20NTT道路ゲート
汐首という地名はアイヌ語で「シリポク 山の下」に由来し、津軽海峡を隔てた汐首岬と下北岬は17.5kmと目と鼻の距離である。
さて国道から山に入る道を進むと施錠されたゲートで、NTTの管理道路になっていた。
たいした距離じゃないので空き地に車を止めてテクテク歩く。
ジグザク道を適当にカットして稜線に出るとなだらかな高原の様な風景が広がっていた。
目指す山頂にはアンテナが建って眺めが良さそう、道脇には放牧された馬が静かに草を食みながらこちらを見ている。
広い高原の中に馬と自分と風の音がするだけで何となく寂しい感じがしないでもなく、とぼとぼとアンテナを目指す。
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実に広々とした山頂に三角点「汐首山」が埋まっていた。
先日訪れた三角点「厚別」はマンホールの中だったがそれとは雲泥の差で立木一本ない解放的な風景である。
やや丸みを帯びた海峡の先に下北の山々が見える筈だが靄って残念、薄っすら函館山と先程登った釜谷富士が小さく望まれた。
北に恵山と海向山、古部丸山と思しき山を認め、風の強い山頂をあとにする。
さて下山して車のエンジンが掛からず焦る。
ロードサービスを呼んだらバッテリーではなくセルの故障だったがさすがプロ、何とかエンジンを掛けてくれた。
あわよくばもう一山と思っていたがそれどころではなく「札幌までエンジン切らないで帰って下さいね」の言いつけを守って帰宅、思い出に残る山になった。
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