定天三峰と中山小屋  1114m つぼ・スノーシュー (札幌市)  地図はこちら  ■Home
2013年4月6日 曇り メンバー多数 滑沢林道ルート
7:30滑沢林道→(10:35-10:50)定天三峰→12:35滑沢林道

中山峠の旧道近くに建つ中山小屋には井戸があるという話を聞いたことがあるが、 見たことも場所も分からず何となく縁のない小屋という気がしていた。 たまたま小屋の関係者でもあるko玉さんより一緒に泊まりに行かないかとのお誘いがあり、 仲間数名と同宿させてもらうことにした。 とりあえず土曜は夕刻まで小屋入りすることにして軽く汗の掻けそうな山を選んだ。 さて日曜はどうするかなと思っていたら何と大荒れ予報とのこと、心置きなく飲めそうである。

                    



夕刻まで晴れの予報に欲を出しヒクタ峰から釣り尾根を経由して天狗岳V峰を目指すことにした。 林道をツボで出発すると硬く締った雪の上に昨日のツボ跡が延び快調である。 11名で賑々しいのは良いが、人が多いとつい歩みが散漫になっていけない。 ツボ跡を追いかけ滑川を渡渉した所でこれはV峰に向かったものだと気付く、 一旦戻りかけたもののヒクタ峰に登るのが何だか面倒臭くなってしまった。 「このままV峰に登って温泉寄ったら丁度良い時間に小屋に着くかも・・」 すっかり心が折れ、話はすぐにまとまった。 V峰もメンバーの大半が初めての山でうきうきしながら尾根を登る。 なかなか感じの良い尾根に気を良くしてると急に風が唸り山鳴りも聞こえてくる。 ガスってきたと思ったら益々濃くなり数十メートル先が見えなくなってしまった。 ここは展望の山なのに残念、再び晴れそうな気がしない。 1000mの顕著なポコが核心かと思ったがツボ跡に倣い左からちょっと巻くとお終いって感じだった。 ポコの右には雪庇の釣り尾根が雲のヒクタ峰へ延び、止めて正解だったなと納得する。

         
                    



天狗岳V峰から仰ぎ見る迫力ある本峰を、 並びにヒクタ峰を始めとする360度の大展望を期待したが、 宴会ついでに来たのを見透かされたような天気だった。 視界数十mのガス中では全く話にならないが風はピタリと止んでいた。 のっぺりした山頂には立派なカンバの大木が目立ち、 その中の一本に色褪せて良い感じになってる峰風さんの標識が掛かっていた。 「あの看板、最初から色なんか無くて良かったのにね〜」に同感だが看板も古くなれば それなりに調和するものである。 V峰の先端へ様子を見に行ったメンバーに依ると、 U峰とのコルは凄い落ち込みでザイルが必要とのことだった。 あわよくばと思いザイルも持参したが空しく帰るしかない。 再び1000mポコを巻く頃にはガスが薄くなり下の様子が見え出す。 トラバースしながら雪が硬かったらちょっと厭らしい場所だなと思った。




         
                    



休み休み尾根を下るとガスが晴れ少しずつ景色が見えてきた。 辛うじて盤の沢山が見えてるだけでヒクタ峰や向かいの迷沢山には雲が掛かったままだが、 ここは間違いなく展望の山なのを実感する。 林道に出る頃にはすっかり雪が腐って踏み抜きが多くなる。 あともう少しの辛抱という思いから誰もワカンを履こうとせず疲れた。 この日の為にスノーシューを買って来たメンバーがずっと背負っいぱなしだったのが気の毒だった。 定山渓温泉に向う車中から青空の下に定天がすっと望まれ開いた口が塞がらない。 やっぱり初心貫徹か!あのままヒクタ峰からV峰に登ってたら・・・と思うが、 なかなか上手くいかない。 展望を確かめにまた来たいと思った。




         
                    



定山渓トンネル出口の広い駐車場に車を止め、 凄いスピードで行き交う車にビクビクしながら国道を渡った。 雪で埋まった小沢から最短で旧道へ出れば小屋まで2km程だから30分もあれば着くだろう。 ところが旧道までの登りで30分も掛かりせっかく温泉でさっぱりしたのにまた汗を掻いてしまった。 この道は一度竹の子採りで入ったことがあるが昭和40年代半ばまで現役の国道として使われただけあり広く見通しがよい。 モービルの跡を暫く歩くと赤い目印がぶら下がり、緩やかな尾根に入ってすぐ雪に埋もれた赤い屋根が目に留まった。 出発から丁度一時間だった。 何となく札幌岳の冷水小屋に似てるなと思ったら、 二つとも北電が建てたもので後々、北海学園岳友会に寄贈されたと知り納得する。 年齢的には還暦を迎えたと言うから驚きである。




         
                    



小屋は1時間ほど前に着いたko玉さん等が暖めてくれていた。 二階を好きに使って良いよと言うので梯子みたいな階段を上がってみると、 30人位は寝れそうな大部屋になっていて青畳の匂いが心地良かった。 そしてこの小屋の名物は何と言っても冬でも凍らない井戸である。 丸い井戸を想像してたが1m程の四角い木枠で作られ、 蓋を開けて恐る恐る中を覗いて見るとなるほど真っ暗な底に自分のヘッデンの灯りがゆらゆら揺れていた。 つるべ落としで汲んだ水の美味しいこと、小屋の真下に沢でも流れてるのだろうか? どういう訳で部屋の中に井戸があるのか聞かずじまいだったのが惜しまれる。




         
                    



食べて飲んで佳境に入った頃に、小屋に備え付けの歌集が配られる。 山の歌の他に懐メロなんかもありかなり年季の入ったものだった。 一ページ目から順に大合唱となったが、 全部歌えると言うのは我ながら歳を感じるものがあった。 そんなこんなで10時頃まで覚えていたが・・・気が付くと青畳に寝かされていた。 あとで話を聞くと2時まで飲んでた輩も多々いたとか、私はそのテーブルの下に転がっていたらしい。 翌朝、小屋の中は至って静かだが窓から外を伺うと、木が揺れ横殴りの雨が降っていた。 部屋を片付けそそくさと下山する。 濡れ鼠で帰宅すると中山峠の路面が流され国道通行止めのニュースが・・・間一髪で帰れなくなるところだった。 中山小屋は夏になると週末毎管理人が入り誰でも格安で泊まれるらしい。 小屋から庚申草山(コウシンソウ山)まで草刈りもしてるので是非みなさん遊びに来て下さいとのことだった。




         
























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